私は型枠大工になって25年になります。
木造大工は木造の建物を造るのに対して型枠大工は建物だけではなく家の塀から高層ビルとか橋までコンクリートの構造物すべてにかかわっています。
木造大工はテレビなどで紹介される機会が多いので、一般の方でもなんとなく想像できると思いますが、型枠大工の仕事はそういった機会があまりないのでわかりにくいと思います。
型枠大工はドロドロのコンクリートを、設計図どおりの形を造る為の枠を作る仕事です。
型枠工事全般から言えば、コンクリートが出来上がった後は枠は不要なので取り外して搬出します。
ですので昔は「仮枠大工」という言い方もしました。
他の回答者の方が「大雑把」といっていましたが、大昔は出来上がったコンクリートを左官屋がモルタルで塗って修正していましたが、現在の型枠大工に求められる精度は3ミリ以内です。
また、コンクリートの比重は水の2.3倍で1メートル四方の型枠に充填されるコンクリートの圧力は2.3トンにもなります。
形どおりに型枠を作るだけではなく、生コンクリートの圧力に耐える為に適切に金物を配置し頑丈にしなければなりませんからそれを覚えるには知識や経験が必要です。
「型枠大工は簡単」みたいな意見がありますが、その人たちは上辺だけしか見ていません。
現に私もベテランの木造大工の知り合いが何人かいて、暇なときに応援に来たことがありましたが、b一ヶ月ほどいても簡単な仕事しかさせられませんでした。
仕事の内容自体はまったく違う職業だと考えたほうがいいと思います。
もしあなたが型枠大工になるのでしたら、仕事のすそ野が広いため、企業によって土木専門だったり民間のマンション専門だったりと、会社によってコンパネ(木製のベニヤ)やメタルフォーム(鋼製型枠)だったりと工法も変わってきますので、入社する前によく話を聞いてからが良いと思います。
マンションなどは剥がした型枠を上の階を造るために、コンクリートが固まるたびに、人力で手渡しして上げるため体力が必要で、工期も短いため忙しいです。しかし、体力はなれてきますし、規模にもよりますが一棟あたりの人数が比較的に少ない(5人~15人)ので、がんばりしだいで給料も早くあげてもらえます。また独立もしやすく、2~3年で独立し個人で建物の一部分を請け負うことも会社によっては可能です。また、若い職人をやる気にさせるためあえて個人請負(スパン請けといいます)を推奨している会社もあります。
大型の土木工事などはクレーンなどを使うことが多いため、民間の建築工事より体力的には楽です。大きな構造物の場合は細かく複雑なものがありませんので、仕事を覚えるのは早いかもしれません。また、建築工事よりすべての資材が(型枠以外のものも)大きく重いため安全重視で工期も長いので民間の仕事のような忙しさはありません。しかし、民間の建築工事のように景気に左右されにくいため、急に暇になったり首になるということはめったにありませんので、安定を求めるのでしたら土木関係の会社を選べばよいと思います。また、橋やトンネルや道路など何十年も残りますので、将来、子供や孫に「これは俺たちがが造ったんだぞ」と言うことができますのでそれはすごくやりがいがあると思います。
職人とは手仕事だけではなく、経験や努力があって始めて職人と呼べるものだと思っていますので、もしあなたがまだお若いのでしたら、木造大工でも型枠大工でも2~3年やってみて、いやならまた考えれば良いと思いますよ。