こんにちは。
>ある人から、DNAの配列で人間が何種類かに分けられると聞きました。
>分ける事ができるのか。
できます。ですが、この試みはまだ始まったばかりです。
>どういう種類に分ける事ができるのか。
「ミトコンドリアDNA」や「民族系列マーカー(遺伝子の変異頻度情報による)」などで、そのひとがどの人種に起源を持つかといった「系統樹的な分類」と、「SNP(一塩基多型のDNA配列)」データーの集積による「生理的な分類」ができると思います。
「ミトコンドリアDNA」とは、細胞のミトコンドリア内にあるもうひとつのDNAです。母親からしかもらえませんので、これを調べると、遥か昔まで「女系」即ち、お母さんのお母さんを辿って行くことができます。
「遺伝子の変異頻度」とは、DNAに残った突然変異の記録です。DNAの大部分は遺伝子として使われていないデタラメな部分ですが、そこにも突然変異は起こります。それは使われていないので、生物の実際の形態進化とは関係ありませんが、「分子進化」と言い、それが何時起こったかなどによって、現在はあらゆる生物系統分類に使われています。
「SNP(一塩基多型のDNA配列)」は、ある特定部位のDNA配列の「一文字」が別のものと入れ替わった部分です。有名どころでは、お酒を飲めるひとと飲めないひとの体質の違いもSNPであり、たった一文字の違いであることが既に調べられています。
>その分けられた人間はDNA以外にも例えば性格等で関連(共通点)がでてくるのか。
系統的な分類では、はっきりとした特徴は出て来ないと思いますが、先にも述べたように、人類を「分子進化」によって分類するという意味では、「生物学的人種分類」としては極めて正確だと言われています。
それに比べてSPNでは、身体的・生理的特徴、化学物質に対する反応や病気に強い弱いなど様々なものを比較することができます。但し、このSPNの種類はヒトで140万固ほどあると言われていますから、全部特定して、尚且つ人種分類データーとして蓄積するのは大変なことだと思います。又、どちらかと言えば、病気の治療などに役立つものであり、どの程度人種分類に適しているのかは、私には分かりません。
>DNAの種類はDNA鑑定する以外にも判別する手段はあるのか。
質問の意味が少々分かりづらいです。間違っていたらごめんなさい。
「DNA鑑定」と言われるそのものが、DNAのある部分を選択して行なっているもので、DNAの全てを解析しているわけではありません。警察で使っているのは、ある特定のDNA配列が刳り返される「ミニ・サテライト」という部分だそうです。ですから、DNAの分類は、やはり、部分的なDNA鑑定の積み重ねによって行なわれるということになると思います。
さて、人種は白人、黒人、黄色人種に大別されますよね。黄色人種・モンゴロイドの系統では、更に我々日本人から、フィリピン人、北アメリカ人(カナダ・エスキモーやアメリカ・インディアン)、ブラジル原住民、ミクロネシア人まで様々です。
古来より科学者達は、皮膚の色や骨格、髪の毛の形など、主に身体的特徴によって人種というものを分類して来ました。しかしながら、既に18世紀頃の科学者は、混血などによる「連続的な特色の変化」や、暮している社会・自然環境などによる後天的な要素が合いまみえて、何処に線を引いても上手くゆかないことに気付いていました。つまり、従来の人種分類は、社会的・地理的なものであっても、決して生物学的なものではないということなんです。そして、近年のヒトゲノム解析という成果が、そのことに引導を渡してしまったわけです。
ですから、「あるひと」がそう仰ったのは、DNAを使えば、人間を正確に「生物学的人種分類することが可能だ」、という意味に考えて良いと思います。