re:5374013 サイクルの最大効率と異なるサイクルの効率の比較について
質問番号:5374013
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa5374013.html
に関して解答を書いている間に締め切られてしまいましたので、あらたに質問として起こします。
熱力学でサイクルの効率を考えるとき、熱効率は
η=W/Q1 (Q1:吸熱)
で定義されます。ここでエネルギーの保存則
W = Q2 - Q1 (Q2:放熱 Q1:吸熱)
を使うと熱効率は
η=W/Q1=1-Q2/Q1
と書くことができます。
ここで、このエネルギー保存の式がサイクルの可逆不可逆によらず成立しているとしてしまうと、不可逆のカルノーサイクルの効率も最大効率になってしまいます。わかりやすく、不可逆が断熱過程にあるとして等温過程を可逆とするとQ1, Q2は全体が可逆なカルノーサイクルと正確に等しいですから。したがって、このエネルギー保存の式は不可逆過程では成り立たず、散逸するエネルギーをδQとして
Q1-Q2 = W + δQ > W
と修正する必要があります。
不可逆過程が存在する場合、サイクルが完全に元に戻っているとすると、外部のどこかにエントロピー生成があるはずです。不可逆過程では熱源も外部も含めた全体を一つの孤立系として、全体のエントロピーが増大しないといけませんから。したがって、このエントロピー生成によって生じた束縛エネルギーがδQに対応するはずです。
前置きはこのくらいにして、本題に入ることにします。
少し考えてみるとカルノーサイクルとほかのサイクル、たとえば、オットーサイクルの効率を比較するというのは結構厄介な問題だということに気がつきます。
可逆カルノーのサイクルに限っても、T1=500Kに固定したとしてT2=400KとT2=100KではT2=100Kの方が効率がいいですが、どちらも熱力学的な意味では最大効率です。
オットーサイクルにしても、四つの温度をどう設定するかで効率の値は変わってきますが、全過程が可逆であればそれは値の大小によらず全て熱力学的な意味では最大効率です。
なので、可逆サイクルであっても条件の設定によって最大効率のときの効率の値は変わってしまいますから、異なるサイクルの効率を比較する場合、条件を対等にして比較しないと意味がないことになります。そこで、この対等な条件という物を模索しないといけないのですが、これがどうにもわからないのです。結局考えてみても、Q1, Q2の値が等しいという条件で外に取り出せるWの大小を比較するしかないように思うのですが、そうすると、可逆サイクルではW=Q1-Q2が成り立つので、可逆であればすべてのサイクルの効率は等しいという結論になってしまいます。
よくみるカルノーサイクルとオットーサイクルの効率の比較では、オットーサイクルの最高温度、最低温度をカルノーサイクルの熱源の温度に等しく置いています。こうすると、オットーサイクルのTS線図がカルノーサイクルのTS線図の中にすっぽり入ってしまうのでオットーサイクルのほうが効率が低いことになるのですが、これは、
「オットーサイクルの最高温度、最低温度をカルノーサイクルの熱源の温度に等しく置く」
という新たな条件を付加したうえでの比較なので、熱力学的な最大効率とは無関係と思われます。
以上を踏まえまして、異なるサイクル間の熱力学的な意味での効率の比較について、ご意見を賜りたいと思います。
お礼
ありがとうございました。 やはりコンバインドサイクルなんだなと思いました。 原発は厄介に過ぎます。徐々にやめていくしかないと考えてます。