『侵犯=犯罪』ではありません。
『犯罪』は『裁かれるべき罪を犯す』ことですので『国家』が『裁く主体』である以上は『国内法』になります。
『侵犯』は『進入するなと言われているのに敢えてそれを犯す』ことであり、海上保安庁の警告がない場合は単なる『領海侵入』、海上保安庁の警告を無視して侵入することは「領海侵犯」になります。
Mass Media の多くは『海上保安庁は領海に侵入されてから警告を発するので、領海に侵入した時点では領海侵犯ではない。我々は海上保安庁が警告を発したことを確認しているわけではないので領海侵入という言葉を選択している』ということなのでしょう。・・・姑息な理由ですが、間違いではありません。
一方、安倍総理は海上保安庁から「警告をしたとの報告」を受けている身ですので、堂々と「領海侵犯」という言葉を使えます。・・・ただし『領海侵犯』は法律用語ではありませんが・・・。
他方、中国も尖閣諸島の領有権を主張していますので、彼らにとっても尖閣諸島周辺海域は『領海』であり、日本の漁船に対して『漁業法』や『出入国管理及び難民認定法』や『領海等における外国船舶の航行に関する法律』等を法的根拠に、旗流信号、発光信号、音声信号(汽笛、無線、スピーカーなど)により停船若しくは退去命令を出し、停船命令により停船した場合、漁船に乗り移って臨検を行い、船籍・目的地・航行の目的・積荷・無通報の理由などを聴取し、場合によっては逮捕、漁船が停船命令に従わず逃走する場合は、警告弾の投擲を行うほか、強行接舷により海上保安官の移乗を行い臨検し、立ち入り検査忌避罪等の容疑で逮捕するという、国際的に定められた手順に則った行動を採る権利があります。
従って彼らは日本の漁船を追っかけて捕らえようとしたわけで、それを阻止するために海上保安庁が中国公船と日本漁船の間に割って入り、日本漁船に対して「中国公船が貴船を拿捕しようと追跡していますので直ちに領海外に向かって全速航行してください!」と警告を発したのです。
中国公船はついこの間までは日本漁船を拿捕する権利を持たない部署が管轄する公船だったのですが、先日、急遽、国内法が変わって日本漁船を拿捕する権利が生まれましたので、日本漁船は海上保安庁が盾になってくれなければ中国公船に銃撃される恐れがありました。・・・盾になってくれる海上保安庁などいなかかった時代には竹島海域で韓国の海洋警察船に日本の漁船が銃撃されて 44 人もの死傷者を生み、3929人もの漁師が抑留された経緯があります。
中国公船は日本の公船である海上保安庁の船を銃撃するわけには行きませんので、日本の漁船は海上保安庁の船を盾にして領海外に逃れたというわけです。
>安倍総理が「領海侵犯(犯罪)」と国会で言った以上、「撃沈する」と威嚇したことになり、中国側もそのように理解しているのではないか?
国際法にそんなことをする権利は認められていませんので、あり得ません。
海上保安庁に中国の公船を撃沈する権利などありません。
しかし、中国の軍艦が海上保安庁の船に向かって射撃管制用 Radar を照射し、砲口を指向すれば、その証拠を記録した海上保安庁の船は国際法上の『自衛権』に則って中国公船を撃沈する権利が生まれます。・・・実際は日本の自衛隊法により、撃たれるまでは撃たないものですので、海上保安庁の船は少なくとも 1 隻は撃沈されることになります。
同様に海上自衛隊も航空自衛隊も相手を撃沈或いは撃墜する際には既に僚船なり僚機なりが撃沈 (撃墜) されていることになります。
なお『領海侵犯』と『領空侵犯』及び『領土侵犯』とでは対応が異なりますので混同しないように(^_^;)。
お礼
くわしい説明をありがとうございました。 今回の8隻進入の件について、詳しくご存知の様子ですので、質問を改めますので、よろしくお願いいたします。