こんにちは。
私はタイ・バンコクで事業展開をしている者です。
タイへ進出する際には、どのような業種で参入なされるかが大きなポイントの一つとなります。
つまり大まかに分けますと、製造業か非製造業です。
【製造業の場合】
BOI(タイ投資促進委員会)による投資奨励があり、100%外国資本での参入や法人税減税、輸入免税、日本人駐在員への労働許可書の規制緩和など多くの恩典が与えられます。
*<注意>ただしBOIの投資促進方針が今年2013年に改変されますので、製造業の場合は随時最新の情報をアップデートする必要があります。
弊社の製造業のクライアント様もタイへの工場進出、中国からの工場移転など計画されていらっしゃる方が多数いらっしゃり、タイ国経済は2011年の未曾有の大洪水から大幅なV字回復を見せているのが現状です。
【非製造業】
製造業と同じような恩典は与えられません。
中でも参入される際によく、ご検討をされた方がいいのが下記かと思います。
(1)外国資本規制
(2)日本人を雇い入れる際の条件
前置きが長くなり大変恐縮ですが、ご質問者様にとって本題に入らせていただきます。
ご質問者様の場合、サービス業に該当されると思いますので、上記の(1)と(2)を簡単にご説明いたします。
(1)こちらは新規設立法人の外国資本構成は上限49%までしか認められていません。
つまりタイ人名義もしくはタイ法人が51%以上のマジョリティーとなる必要があります。
もしタイに信用できる個人、法人がお有りでしたら問題はありませんが、海外へ初進出なさる方の大半はそのようなパートナーを持っていらっしゃらないのが現状であります。
そのパートナー探しに苦労される、もしくはタイ進出自体をあきらめるという方も多々いらっしゃいます。
ですがいくつか対応策はあります。
例えば、タイ人資本を表面上51%とみせ、実質の資金の出所を日系とする名義貸し<注意:近年名義貸しへの規制は強まっている傾向がありますので、プロの意向を要確認>、また法律事務所、金融機関などがサイレントホルダー(物言わぬ株主)となるノミニーサービスなどもございます。
いずれにせよどのスキームを使用するかは、事前の調査をしっかりと行われた方がよろしいかと思います。
(2)日本人を雇い入れる際には、資本金規制とタイ人スタッフの人数の規制があります。
具体的には日本人1名を雇い入れる毎に、資本金が200万B、タイ人スタッフ4名以上というルールです。つまり日本人3名を雇い入れる場合、資本金600万B以上、タイ人スタッフ12名以上の雇用が必要となります。ですので事業計画を作成される際には、中長期的に何名の日本人スタッフが必要かを念頭にいれ、資本構成をご検討されることをお勧めいたします。
法人の設立は、概ね1~2ヶ月ほどで完了します。また法人設立前に登記用の住所が必要になりますので、オフィス物件の確定も事前に必要となります。
余談になりますが、タイは現在失業率0.6%ほどであり、人材不足の警鐘が鳴らされております。特に事業をマネージする管理職の不足は深刻であり、管理職育成は急務かつ非常にニーズのある分野だと思います。タイを含めASEAN地域への人材育成ニーズはこれからも更に高まるものと予測しております。2015年のAEC(ASEAN経済共同体)発足に向けて、御社のアジア展開が上手く行きますことを祈念いたしております。
お礼
非常に丁寧なご回答を賜り感謝申し上げます。 拝読させて戴きながら、海外進出の最初は、現地の研修会社とのパートナーシップからが適切かもしれないことも考えさせられました。 タイでの研修会社で有望な会社、もしくは有名企業をご存知でしたら、教えて戴くことは可能でございますか。 よろしくお願い申し上げます。