まず、日本の裁判所は、最高裁も含めてすべてが「憲法裁判所」ではありません。
つまり、特定の事件を裁くために、その事件解決に必要な範囲で、「○○法は違憲」という判断を下せるだけで、「○○法がいかなる状況でも違憲。したがって、無効」という判断はできないことになっています。
出るのは「○○区の選挙は無効」ということです。
全選挙区で訴訟がおこされ、全選挙区の判断が最高裁に持ち込まれて、その結果全ての訴訟で「違憲」という最高裁判決が出るということは「理屈」としてはありえますが、実際にはおこりません。
例えば100万人に一人の議員を選出するA選挙区と、10万人で一人の議員を選出するZ選挙区を比べると「均衡を失って違憲」ということになりますが、それらの間の、例えば50万人に一人のFと60万人に一人を選ぶGを比べれば違憲と言うほどではありません。
そこでは違憲判決はでません。
したがって、「去年12月の衆院選自体が無効」ということはありません。
あくまでも、個々の選挙区、それも極端な選挙区数カ所(AとZ)が違憲になるだけです。
--------
違憲無効とされるA選挙区でも、前の議員が復活するわけではありません。
解散されてますから。
選挙無効の訴訟でも、解散の無効までは判示していません(判決は読んでいないが)から、「解散」は当然有効です。将来のことを言えば、審理している間に任期が切れてしまう場合もあります。
となると、「新議員を選出した選挙無効=衆議院議員不存在」となります。
すると、A選挙区の有権者は一人の議員も選出できていないことになります。
100万人で一人の議員でも少なすぎる。不公平、不均衡なら、100万人の選挙区に議員が一人もいないのは不公平、不均衡ではないのか?
そういう、議員なし選挙区を作り出す判決は、違憲ではないのですか?>裁判所殿
質問者さんはどう思いますか?
------
こういう悲惨というか、理屈に合わない結果を避けるための理論があります。
国会は国権の最高機関です、名目だけですが。
その中の、国民の委託を受けた衆議院を、裁判所のようなごく少数の人間の判断で「選挙無効」「衆議院議員不存在」にできるのか?
国の統治に関わる高度な政治判断(選挙区をどうするか等)は国民自らの判断にゆだねて、最高裁といえども判断しないほうがいいのではないか、という考えもあります。
ぞくに「統治行為論」と言います。
その考え方からすれば、おそらく、「違憲判断なんかするな!」という話になるのでしょう。
お礼
ありがとうございました