お礼、ありがとうございます。#1です。
>しかし、飲み込まれる方から見ると、実際には瞬間に飲み込まれるわけですよね?
ブラックホールに対して一定の距離を保っている系と、ブラックホールに対して真っ直ぐに自由落下する系では、観測する現象が違うんですね。
ブラックホールから一定の距離を保っている系からすれば、ブラックホールに空間的に近づくに従って、時間の流れは遅くなって行き、事象の地平面で時間は停止します。
このため、この系からブラックホールに落下していく物体を観測すれば、最初こそ、重力に引かれて落下速度が増していきますが、近づくに従って、ニュートン力学的な落下速度よりどんどん遅くなって行き、事象の地平面に到達するには無限大の時間がかかります。
このとき、物体に時計があって、それを観測していれば、物体での時間の進み方が遅くなっていることが観測できます。
このことは、事象の地平面を持つブラックホールが形成されるのにも無限大の時間がかかることを意味します。
ブラックホール(になりかけの星)が重力崩壊で、支えるものもなく表面含めてすべてが自由落下で収縮していきますが、最も強い重力が形成されるブラックホール表面で、どんどん時間の流れが遅くなっていきます。事象の地平面では時間が止まるのですが、そこへ向かって無限大の時間を掛けて収縮していきます。
以前に、そういうブラックホールになりかけの星に、大量の物質が降り積もっていくなら、降り積もる物質と合わせた質量を持つ星となるから、事象の地平面が顕わになるのではないかと聞かれたことがあります。
そうはならないです。単純化して、ブラックホールになりかけの内球と、それに向かって落ちて行く外の球殻があるとします。単純化のため、どちらも重力崩壊した一様な密度の物質から成っているとします(時々刻々内部が密度一様ですが、時間経過と共に密度は増大します)。
外の球殻表面に最大の重力があるためには、内球との距離が0であることです。ここまで単純化すると、なんのことはない、一つの星が重力崩壊したのと同じなんですが。
ただ、外の球殻表面の重力のほうが、内球表面の重力より強いということが大事です。これはニュートンの重力式から求められますが、一般相対論といえど、そういう法則的なことまで、ニュートン理論を否定できるわけではないです。
このことは、ブラックホールについて、事象の地平面が重力崩壊した星内部から現われて成長することは無く、まず星表面に現れるということで、あり得る全てのブラックホールの解が示されています(対称性を欠くなどで裸の特異点の可能性のある解は除く)。それが無限大の時間の後ということになります。
こうしたことは、見た目の現象ということではなく、実際の現象です。
これと比べて、ブラックホール(になりかけの星)に自由落下していく場合は、全く異なります。有限時間で事象の地平面に到達しますが、そこには事象の地平面といった特別なものはありません。しかし、この段階で外界は無限大の時間の経過があります。
>そうであれば、ブラックホールは存在しているような気もします。
宇宙が無限の過去から続いてきたとすれば、恒星由来のブラックホールがあっても良かったのです。無限大の時間があればブラックホールができますので。
しかし、宇宙の寿命は現在までで有限なことは、ほぼ確実です。しかも、ブラックホールのホーキング輻射が正しいとすると(まず、そう)、ブラックホール(になりかけの星)は有限時間で蒸発して消えてしまいます。
>また、ブラックホールに飲み込まれた時、強い放射線を出すと聞きます。これは、本当は、飲み込まれたではなく、事象の地平線に辿り着く寸前の状態の意味?
そうです。事象の地平面に到達する前の現象です(もっと正確には、その前の段階の、光を外界に出せない半径の前)。
>他にも、ブラックホールが成長しているという話を聞きますが、これは、正確には、事象の地平線間近に大量の物が集まっている状態なのでしょうか?
おおむね、そうです。ブラックホール(になりかけの星)が事象の地平面を、未だに持っていない以上、その表面に物質が降り積もることは可能です。
この他に、暗黙の裡に「無限大の時間の後」という前提があることもあります。
>また、宇宙誕生後まもなくして出来たブラックホール(事象の地平線あり)があったとします。
そういうブラックホールがある可能性が期待されています。通常では重力崩壊しないような小さな質量が、宇宙の初期に別の原因でブラックホールになった可能性があります。。
そうしたものがあれば、ホーキング輻射が実際に観測されるかもしれません。ブラックホールが小さいほど、ホーキング輻射が激しいので。
>このブラックホールに落ち込んだ天体は現時点に於いては、まだ、ブラックホールには飲み込まれていないのでしょうか?
その通りです。事象の地平面が顕わなため、どんな物質も、光も、事象の地平面を有限時間では超えられないため、事象の地平面の外側です。ですので、ブラックホールは決して質量を増しません。そのため、ホーキング輻射のみの効果で質量を減らし、今の寿命の宇宙で、ホーキング輻射などが観測できる可能性があります。
ただ、事象の地平面と特異点までは、外界から、隠されているとはいえ、光を含むあらゆるものが、無限大の時間をかけて到達せねばなりません。こうしたところを、どう解決して、そういう小さいブラックホールに期待しているかまでは、私はちょっと調べていません(あんまり面白くなさそうなので^^;)。
お礼
回答いただきありがとうございます。 もう少し、具体的に、事象の地平線付近を考えるとどうでしょうかね? 例えば、飲み込まれる予定の物が、事象の地平線までの距離1mm、若しくは、電子一つ分ほどの距離まで近づいているとします。 そうすると、そこでの時間の進み方は、ブラックホールの外側から観測すると、1000億年経っても殆ど(1mmや電子1つ分)進まないくらい遅くなっているのではないだろうか?仮にそうなら、宇宙が出来て100億年なので何一つブラックホールに物は飲み込まれないのではないかと思っているのです。 全てを飲み込むブラックホールですが、実は、何一つ飲み込めないという矛盾があるような気がしてどうなのだろうかと思っています。