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最高裁判例、無罪と有罪の判断基準
- 大阪の母子殺害事件の最高裁判例で、「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠に含まれている必要がある」という判断基準が示されています。
- 凶器の指紋など被告と事件を直接結ぶ証拠がなかったため、一、二審では間接証拠の吸い殻や目撃証言を積み重ねて有罪とされました。
- 最高裁判決では、新証拠である動物の毛のDNA鑑定や吸い殻の実験結果が「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実」に当てはまらない場合、無罪が言い渡される可能性が高まります。
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>「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠に含まれている必要がある」という意味がよく判りませんし、 うむ。事実認定の問題であるな。 刑事訴訟において、被告人が有罪の認定とされるには、「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証」あるいは「合理的な疑いを超える証明」が必要であるとされる。 しかし、直接証拠がない事件においてはしばしば顕在化するのじゃが、、「合理的な疑いを超える証明」とは、裁判官がどういう状態に至ることをいうのか。司法研修所内でも教わる教官によってまちまちであったりや下級審裁判所内でも大きく二つの見解にわかれておった。 従来は、総合判断説がきわめて有力じゃった。この説は、すべては裁判官の自由心証にゆだね、さまざまな間接証拠を総合して、裁判官が「合理的な疑いを超える証明」がなされたと感じれば、被告人を有罪にできるというものじゃ。 具体的にいえば、強盗事件をたとえると 間接証拠1*被告人は当時金に困っていた。 間接証拠2*被告人にはアリバイがない 間接証拠3*被告人には動機がある。 間接証拠4*被告人は犯行当時現場付近にいた。 間接証拠5*被告人は事件後に急に金回りがよくなった。 ・ ・ ・ etc など、これらはどれも被告人の犯人性を結びつけるのに根拠の乏しい証拠じゃが、こういうのも「塵も積もれば山となる」の言葉如く、コツコツ数をそろえていって、「合理的な疑いを超える証明」がなされたと思えば、被告人は有罪にできる。 という説である。お主もわかると思うが、冤罪を生む可能性が高いというデメリットはあったものの、柔軟な判決を下すことができるため、多くの実務家はこの説を採用しておった。 しかし、質問者がいっておられる。その事件によって、最高裁は、当時少数説であった少数説を見解をとった。 それが、記事にある「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠に含まれている必要がある」とする基準とするB説である。 つまり、いくら間接証拠を積み上げようとも、その中に決定的な証拠、たとえば目撃証言だとか、DNAだとか、秘密の暴露だとか、まあとにかく、この証拠を否定するのが無理筋になる決定的証拠が1つはなければだめだと判じた。この説によると、上のような間接証拠を100個検察官がいくら積み上げても、「ご苦労様でした。被告人は無罪」となる。 大阪母子殺人事件は、そういう事件であったため、最高裁は控訴審に、この基準を使って裁判やり直せと差し戻しをした。という経緯がある。あとは記事のとおりじゃ。 >又、この解説もよく判りません。 >「この基準に当てはまらないと判断されれば」ではなく、当てはまれば、「無罪が言い渡される」のではないですか? ご指摘のとおりであるる。正確には、質問者の理解が正しい。 記事は間違っておるな。よくわかってない奴が記事にしたのじゃろう。
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- 森 蔵(@morizou02)
- ベストアンサー率77% (197/255)
直接証拠とは、被告人と犯人を直接に結びつける証拠のことを言う。 つまり、被告人が犯行を犯したときに犯行現場を見ていた被害者、目撃者等のの証言やカメラなどが直接証拠である。 現場に残された凶器、DNA、指紋かどは、あくまで現場に残された遺留品に過ぎず、犯人と被告人を直接結びつける証拠ではないから、間接証拠である。 しかし、勘違いすべきでない。間接証拠だからといって、直接証拠より証明力に乏しいというわけではない。むしろ、耄碌した爺の目撃証言(直接証拠)より、現場に残されたDNA(間接証拠)の方が証拠としての価値は高い場合が多いのはわれわれの常識から見ても明らかである。
お礼
なるほどなるほど。「直接証拠」という概念というか定義と「間接証拠」と言う概念と言うか定義の違いはよくわかりました。どちらにしても、ゴミンダ氏のケースはこの最高裁判断基準、有罪無罪の判断、評価基準、つまり、この法的言語、法的規範力からすれば、無罪となりますね。、有難うございました。問題点あれば、ご指摘頂ければ大変ありがちのですが。
- osakajapan2001
- ベストアンサー率16% (236/1442)
裁判官と言う人物は法の執行者ですが 私たちには理解しにくい言葉を乱発する事も又事実ですね 「疑わしきは被告人の利益に」 と言う有名な白鳥裁判長の言葉が今の再審制度の扉を開いた事は 事実として認識を有する事柄でしょう この様な表記を用いて解釈すると言うのは如何でしょうか ※この人間が真犯人だからこそ 説明が出来る事実が状況証拠に存在しているではないか※ と言う言い方ですが 逆説的に使用しましたが 以下は勝手なたとえ話でゴメンね 駅から電車を降りた人間がその自宅までにある家々を全て放火して回った可能がある 事実容疑者は駅から自宅まで帰っており 容疑者の自宅までの家々は放火されているが 駅から見て容疑者の家以遠には放火の事実は無い と言う例文を提示したならば 容疑者の最寄駅から自宅までは全て放火されていて 全焼しているのに容疑者の家を含む家から先の家々は放火されていない 以上は状況証拠になるでしょうが 決め手にはかけます この人間を真犯人にする為には 放火した際にこの人間しか知り得ない事実が容疑者の口から出てくる必要があるのです これで如何でしょうか 非常に理解に苦しむ事は事実ですが 法曹関係者は こう言う言い方をしますものね またご質問をどうぞ
補足
東電女性殺人事件のゴミンダ氏のケースを当てはめてみれば、なんとか理解できたようです。被害者の体内からゴミンダ氏以外の精液、又、室内において、髪の毛も精液と同一のDNN鑑定結果が出た。ということは、最高裁判決が言う、 「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠に含まれている必要がある」 ということになりますね。したがって、この基準からすれば、論理として言えば、ゴミンダ氏は無罪ということになりますね。しかし、これが、「間接証拠」というより、明確な化学的な証拠に、直接の証拠と言えるのではないでしょうか?
- 森 蔵(@morizou02)
- ベストアンサー率77% (197/255)
>名張毒葡萄酒事件との関連 この事件は、秘密の暴露および鑑定結果という「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠に含まれてい」た。そういう意味で新基準であっても、有罪だったはずである。 しかし、その証拠がかなり怪しいものとされた。だから、今の段階で新基準によると無罪の可能性があるかもしれぬ。
補足
東電女性殺人事件のゴミンダ氏のケースを当てはめてみれば、なんとか理解できたようです。被害者の体内からゴミンダ氏以外の精液、又、室内において、髪の毛も精液と同一のDNN鑑定結果が出た。ということは、最高裁判決が言う、 「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠に含まれている必要がある」 ということになりますね。したがって、この基準からすれば、論理として言えば、ゴミンダ氏は無罪ということになりますね。しかし、これが、「間接証拠」というより、明確な化学的な証拠に、直接の証拠と言えるのではないでしょうか?
- osakajapan2001
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以下の部分が問題なのですね 産経新聞社の記事からの抜粋 ※差し戻し前の1、2審はマンション踊り場の灰皿にあったたばこの吸い殻72本中1本から森刑務官のDNA型が検出されたことを最大の根拠に有罪と認定。 しかし最高裁は22年4月、問題の吸い殻が茶色く変色していたことから、事件以前に捨てられた可能性を指摘。さらに状況証拠による有罪認定について「被告が犯人でなければ説明できない事実が含まれる必要がある」と新たな基準を示し、審理を差し戻した。 この人間が真犯人でなければ説明のつかない事実が間接証拠に含まれていなければ 状況証拠だけでは犯人足り得ない と言う解釈が成り立つでしょう 逆にこの人間しか知らない事実が間接証拠にあるのであれば この人間を犯人とする事が出来る と解釈すれば良いのでしょう 被告の権利を優先した解釈であると言えるでしょう 従ってこの文章自体は成立しています 表記方法に混乱を招来する書き方がある為に混乱する記事ですね
補足
名張毒葡萄酒事件との関連で説明していただければありがたいのですが。以下引用 ============================================== [52年目の決定](中)特別抗告 時間との闘い(連載)=中部 2012.05.27 中部朝刊 27頁 写表有 (全1,359字) ◇名張毒ぶどう酒事件 ◆「科学論争」長引く恐れ 毒物、ぶどう酒の瓶の王冠、開栓時についたとされる歯形。「それぞれの証拠の担当に分かれ、特別抗告の準備を急いでいます」 名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求の差し戻し審で、名古屋高裁が25日に出した奥西勝死刑囚(86)の再審開始を取り消す決定に対し、弁護団は徹底抗戦の構えを見せる。 決定書を手分けして検討し、意見を交換。毒物担当の稲垣仁史弁護士(48)は26日、名古屋市内の自宅で、決定への反論のため、毒物に関する資料を読み込んだ。特別抗告の期限は30日。「万が一の事態」を想定し、準備を進めてはいたものの、弁護団は「最高裁での審理を有利に進めるため、ギリギリまで時間をかけて内容を吟味する」という。 週明けの弁護団会議で、抗告の書面の内容が決まる。弁護団のメンバーは、自宅で、事務所で、「命あるうちに死刑台から奪還する」との声明を実現させるため、手を尽くしている。 ■ □ 弁護団は、最高裁でも奥西死刑囚が自白した農薬「ニッカリンT」の副生成物が、最大の焦点となることは変わらないとする。 事件直後の捜査では、飲み残しのぶどう酒だけでなく、毒物を特定するため、対照実験として、同銘柄のぶどう酒にニッカリンTを入れた溶液も、ペーパークロマトグラフ試験という手法で鑑定。飲み残しからは副生成物が検出されず、対照実験では検出された。弁護団が、「凶器」の毒物はニッカリンTではなかったと主張する根拠だ。 検察側は、抽出作業を経ると副生成物がなくなるという差し戻し審での「新鑑定」から、「飲み残しは抽出作業で副生成物がなくなった。対照実験は抽出作業をしていなかった」と主張。弁護側は「当時の鑑定人は、1審で両方とも抽出作業をしたと証言している」と反論していた。 「毒物はニッカリンT」と認めた名古屋高裁決定も、1審の証言を無視した検察側の主張については、不合理だと指摘している。高裁の「解釈」はこうだ。副生成物は、ニッカリンTに水分が加わると、ニッカリンTの成分から生成される。どちらも抽出作業を経てはいたが、対照実験の方は、鑑定までの時間が短く、抽出作業後もこの成分が分解されず残っていた。 決定の推論に対し、検察幹部は「考えつかなかった」と驚きを隠せない。しかし、検察の主張よりも揺るがない内容だとしている。 一方、弁護団は「裏付ける証拠はない」と批判。最高裁では、この点についての評価も争う方針だ。 □ ■ あるベテラン裁判官は「決定は、検察、弁護側双方から提示された疑問点に対し、新鑑定での成分分析を基に答えており、根拠があるものだ」と評価する。 弁護団は、約80本のニッカリンTを集めている。ただ、「抽出作業後も副生成物が検出されるかどうか」を確認するための実験は実施していないという。 弁護団の毒物担当の中心、野嶋真人弁護士(50)は「条件が確定しなければ、実験はできない」と説明する。事件当時の鑑定の記録では「酸性にして抽出」と記されているだけで、時間や室温などの条件の記載はほとんどない。「実験で主張の正しさが証明できても、条件を巡る論争で、審理が長引く恐れもある」。52年目に入った無罪か死刑かの争いでは、時間との闘いも続いている。 写真=再審開始の可否が決定する前に開かれた弁護団会議(4月26日) 読売新聞社
- AVENGER
- ベストアンサー率21% (2219/10376)
新証拠が「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が間接証拠」に含まれないと判断されたら、 無罪の公算が大きくなると言うことです。
お礼
大変丁寧な説明で感謝しております。
補足
名張毒葡萄酒事件との関連で説明していただければありがたいのですが。以下引用 ============================================== [52年目の決定](中)特別抗告 時間との闘い(連載)=中部 2012.05.27 中部朝刊 27頁 写表有 (全1,359字) ◇名張毒ぶどう酒事件 ◆「科学論争」長引く恐れ 毒物、ぶどう酒の瓶の王冠、開栓時についたとされる歯形。「それぞれの証拠の担当に分かれ、特別抗告の準備を急いでいます」 名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求の差し戻し審で、名古屋高裁が25日に出した奥西勝死刑囚(86)の再審開始を取り消す決定に対し、弁護団は徹底抗戦の構えを見せる。 決定書を手分けして検討し、意見を交換。毒物担当の稲垣仁史弁護士(48)は26日、名古屋市内の自宅で、決定への反論のため、毒物に関する資料を読み込んだ。特別抗告の期限は30日。「万が一の事態」を想定し、準備を進めてはいたものの、弁護団は「最高裁での審理を有利に進めるため、ギリギリまで時間をかけて内容を吟味する」という。 週明けの弁護団会議で、抗告の書面の内容が決まる。弁護団のメンバーは、自宅で、事務所で、「命あるうちに死刑台から奪還する」との声明を実現させるため、手を尽くしている。 ■ □ 弁護団は、最高裁でも奥西死刑囚が自白した農薬「ニッカリンT」の副生成物が、最大の焦点となることは変わらないとする。 事件直後の捜査では、飲み残しのぶどう酒だけでなく、毒物を特定するため、対照実験として、同銘柄のぶどう酒にニッカリンTを入れた溶液も、ペーパークロマトグラフ試験という手法で鑑定。飲み残しからは副生成物が検出されず、対照実験では検出された。弁護団が、「凶器」の毒物はニッカリンTではなかったと主張する根拠だ。 検察側は、抽出作業を経ると副生成物がなくなるという差し戻し審での「新鑑定」から、「飲み残しは抽出作業で副生成物がなくなった。対照実験は抽出作業をしていなかった」と主張。弁護側は「当時の鑑定人は、1審で両方とも抽出作業をしたと証言している」と反論していた。 「毒物はニッカリンT」と認めた名古屋高裁決定も、1審の証言を無視した検察側の主張については、不合理だと指摘している。高裁の「解釈」はこうだ。副生成物は、ニッカリンTに水分が加わると、ニッカリンTの成分から生成される。どちらも抽出作業を経てはいたが、対照実験の方は、鑑定までの時間が短く、抽出作業後もこの成分が分解されず残っていた。 決定の推論に対し、検察幹部は「考えつかなかった」と驚きを隠せない。しかし、検察の主張よりも揺るがない内容だとしている。 一方、弁護団は「裏付ける証拠はない」と批判。最高裁では、この点についての評価も争う方針だ。 □ ■ あるベテラン裁判官は「決定は、検察、弁護側双方から提示された疑問点に対し、新鑑定での成分分析を基に答えており、根拠があるものだ」と評価する。 弁護団は、約80本のニッカリンTを集めている。ただ、「抽出作業後も副生成物が検出されるかどうか」を確認するための実験は実施していないという。 弁護団の毒物担当の中心、野嶋真人弁護士(50)は「条件が確定しなければ、実験はできない」と説明する。事件当時の鑑定の記録では「酸性にして抽出」と記されているだけで、時間や室温などの条件の記載はほとんどない。「実験で主張の正しさが証明できても、条件を巡る論争で、審理が長引く恐れもある」。52年目に入った無罪か死刑かの争いでは、時間との闘いも続いている。 写真=再審開始の可否が決定する前に開かれた弁護団会議(4月26日) 読売新聞社