Jagar39です。
ご指摘の釧路動物園の獣医師のコメントですが、これはニュース映像を見ていただければ判るとおり、「釧路動物園のコーナーの少し高くなった雪の上で寝ているクマ」に対するコメントです。
この雪の山も「クマが積み上げた」ものなのかは疑問ですが、暖かくなった季節では少しでも日当たりが良い高いところを好んで休むことはあるかもしれません。ですが、このくらいの雪の山であれば「クマが積み上げる」ことはないとは言えませんが、3mの高さに積み上げるのはまるきり話が違います。
釧路動物園のクマが「脱走するために」雪を積み上げたとはとても思えませんし、獣医師もそのようなコメントはしていません。「居心地が良いように雪でベッドを作ったのでは」というコメントですから。
居心地が良いベッドを作るために3mもの高さに雪を積み上げる必要はまったくありませんから(先の回答でも触れたとおり、10t以上の雪を積み上げなければなりません)、それとこれを同一視するのは短絡的に過ぎるでしょう。
今朝の某番組では、奥飛騨クマ牧場の「専門家」も名前付きでコメントしていました。営業部長という肩書きだったので、どういう「専門家」なのかよく判りませんが。
まあ奥飛騨牧場の「専門家」は、はっきりと「クマが脱出を考えて雪を踏み固めてスロープを造ったのでは」と言ってますが。
「幼稚園児以上の知能を持っていると思われる」というのは、そんなことを言っているのはこの人だけなので(だとするとチンパンジー並の知能になってしまうのでは)、まあ私は「大ボラ」と思いますよ。
その場の雪をかき集めて踏み固め、自分が寝ることができるベッドを作る、というのと、脱出のための雪山を作る、というのでは、必要とされる知能に非常に大きな差があります。
まず、3mの雪山は「完成型」が頭の中で想像できなければ作れません。無闇に無計画に雪を積み上げても1mかそこらの雪山ができた時点で、それ以上高い山は作れなくなってしまいます。つまり、底面積がどれだけ必要か、という計算が必要になるわけです。
1mで打ち止めになった雪山をそれ以上高くするにはどうしたら良いか、というのはもっと複雑です。1mの雪山の周囲に雪を積み上げて「広い雪山」を造り、その上に登ってさらに雪を積み上げる、という作業が必要で、やはりこれも「できあがりの姿」を頭の中で理解していないとできない作業です。
また、3mの雪山を作るには、その雪はその場だけでは確保できませんから、別の場所で掘り出した雪を運搬する作業も必要になります。下層から順序よく踏み固めながら積み上げないと登ろうとしても崩れるだけですし、10t以上の雪を1頭だけで積み上げることが可能だとも思えません。
もしかして6頭で協力し合って積み上げた?それこそまさか、ですが。
現場の映像を見ても、そのような「工事」の痕跡は見られません。
それに第一、2mの高さまで積み上がった雪山の上で、さらに1m積み上げるためには、2mの高さまで大量の雪を運搬しなければならないのですが(1m×1m×1mでも約1tになります)、クマの身体はそのような作業ができるような造りではありません。雪を抱えて二足歩行で2mの山を登ったのでしょうか?
ぶっちゃけ、脱出のために3mの雪山を積み上げるクマの姿、というものを想像すれば、それは抱腹絶倒の図になるのですが・・・
ニュースサイトをいろいろ調べてみましたが、「クマが脱走するために自分で雪を積み上げた」などと言っているのは、例の奥飛騨クマ牧場の人だけです。
お礼
秋田・クマ襲撃死亡事故 県、経営者に直接脱走の可能性指摘 http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20120423-00000859-fnn-soci 上記ニュースに脱走1月前の写真があります。 すでに雪が積もっています。 一方で釧路市動物園の生駒 忍獣医師は「(クマが雪を)かき集めて作ったんだろうなと。居心地のいい体勢をとれるように、雪でベッドを作ったということなんですね」と語った。 「積み上げ説」を信じている専門家もいるようです。