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エントロピーって何?
熱力学における「エントロピー」が何なのかよくわかりません。例えばエントロピーが増大するとはどういうことを言うのでしょう? 物理が苦手な者でもわかるような説明をお願いします。
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ここでは、「熱力学における」だけに応えます。 熱力学は、その名の示す通り、熱現象を扱うものです。熱力学は、開発の動機付けや開発過程の偶然から、現象論として確立します。ここで言いたいのは、熱力学は内部機構に踏み込まない、という事です。 例えば気体の温度は、気体分子の運動エネルギーの平均であるといった事は、本来の熱力学には含まれません。現在では内部機構の事もかなり良くわかっているので、そのような内部機構による「支援情報」も使って、講義されるのが普通ではありますが。 熱力学は現象論なので、熱現象一般にみられる2つの経験事実を、基本仮定として認めたところから出発します。 (1)熱力学の第1法則:エネルギー保存則 (2)熱力学の第2法則:クラジウス/ケルビンの原理 (1)については、力学のエネルギー保存則というのは聞いた事があると思うのですが、力学では不浄なもの(?)として顧みられなかった摩擦熱なども、含めて考えます。熱現象に対してもエネルギー保存則が成り立つためには、熱エネルギーが必要だという、普通とは逆の導入のされ方をします。これが「内部機構に踏み込まない」の意味です。熱エネルギーの増減(温度の増減)は、力学的仕事(力学的エネルギーの増減)によって起こせるという、ジュールの実験が根拠の一つです。 (2)は、「外から仕事をせずに、低熱源から高熱源に熱は移せない」と表現できます。その代表は冷蔵庫です。お湯は自然に冷めますが(高熱源→低熱源)、冷めた水を凍らせるためには、冷蔵庫で電力を消費しモーターを回し、仕事を加えなければ無理という話です。 熱力学のエントロピーとは、(1)のもとでの、(2)の数式表現です。その過程で、(孤立系の)エントロピーは自然に増大するという結果が得られます。逆に、(孤立系の)エントロピーは自然に増大すると仮定すると、(1)のもとでの(2)の数式表現である、エントロピーの定義式が得られます。何を言いたいかというと、エントロピーは最初、(1)のもとで(2)を表すための、数学的パラメータとして導入された、という事です。 熱力学は内部機構に踏み込まないので、この数式表現は逆に、全ての熱現象に適用できる強力なものになります。例えば融解熱や気化熱の理論的計算は、エントロピー増大則に根拠を持つ事になり、理想気体のエネルギーが温度のみで決まる事もみんな、エントロピー増大則の結果です。 言ってしまえば熱力学におけるエントロピーとは、これだけです。(1)のもとでの(2)を、数式で言い換えただけです。エントロピーを最初に導入したのは誰だったか忘れましたが、「よくもまぁ~、こんな事を考え付いたもんだ」と思うとともに、「これじゃあ、エントロピー意味なんか、わかるわけない」とも思います。それは熱力学が内部機構に踏み込まないからです。何故エントロピーが増大するか、問わないからです。 何故エントロピーが増大するかを問うためには、内部機構に踏み込む必要があります。それが、分子運動論や統計力学です。これらはエントロピー増大則を、力学に基づいて(分子や原子の運動に基づいて)基礎づけます。 ところが現実の歴史はもう少し複雑で、熱/統計力学が確立した後、通信産業(通信理論)や電子計算機(計算理論)が興り、情報理論が出てきます。そこでは、ノイズの扱い(乱雑さ)や、情報量の数学的定義などが必要とされました。 で、その結果を見ると、情報理論の数学が、熱/統計力学の数学と、そっくりなのが気がつかれます。そうして、 >エントロピーは、系の微視的乱雑さを表すものと「考えられる」 といったような記述のされ方が出てきます。このような経緯なので、エントロピーの意味はとりあえず、わからなくて当然と思えます(わかったと思う方が危険)。 という訳でどなたか、後半の経緯をコンパクトにまとめて頂けませんでしょうか?。自分でやると長くなりそうなので・・・(^^)。
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- 雪中庵(@psytex)
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物事の“単位”は、その周りの単位と相互作用します。 その結果として、外部からエネルギーを投入して相互作用を 選択的に制限しなければ、「なりやすい方向になる」事に なります。 それを「エントロピーが増大する」と言います。 「増大する」「高い」というと良い事のようですが、この場合は、 たとえば分子が秩序よく並んでいた(&酸素と分離していた) 食物が、体内で消化された結果の、ウンコがエントロピーが 高いのです。 ちなみに、「乱雑になる」とひとくくりにはできません。 重力場のように、均質ではない与条件においては、 たとえば「水に泥をまぜて泥水になる」のがエントロピー増大 かというと、時間が経って沈殿して分離する方がエントロピー が大きいのです。
お礼
「なりやすい方向になる」が進行してそれ以上の変化が起こらなくなった状態がエントロピーの最大なんですね。 皆様の回答のおかげでエントロピーというものが何を指し示すものなのか、より理解に近づいたと思います。しかし、この理解を表現する上手い言い方が思い浮かびません。 「エントロピーとは~~というものです。」という一言で誰もが「ナルホド!そういうものか」となるような単純な物ではないのですね。 回答ありがとうございました。
- freulein
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どうやら熱力学的な理解をお求めでなく、人文科学的なイメージを整理したいとのご質問のようです。勝手にこの線でお示ししようと筆を執りました。 「エントロピー」を秩序と想像し、「エントロピー増大」を秩序の劣化・崩壊と捉えましょう。物理化学的にも不合理ではありません。「もっと立派な私」「もっと純粋な願い」に対して「もっと怠惰な私」「もっといい加減な衝動」とを比較して前者をエントロピーの小さな状態とします。後者がエントロピーの大きな状態です。自然界では容器中の純粋な水はいずれ汚れたもの(エントロピーの増大したもの)に移って行きます。逆はありません。(広い系での蒸発などを目下考えないで下さい。) 命あるものだけが「もっと立派な私」「もっと純粋な願い」を持つようです。生命体といえどもいずれは「もっと怠惰に」「もっと動かない」方向即ち「死」に至ります。自然界の物質系は必ず秩序崩壊の方向に移ろい行くという法則がエントロピー増大の法則といえます。
お礼
いえいえ、そんな高尚な質問ではないです(笑) 本当は本質を把握していないがために何かに例えないと伝えられなかっただけなんです。 わざわざこちらの水準にあわせて回答していただいたことに感謝いたします。 >「エントロピー」を秩序と想像し、「エントロピー増大」を秩序の劣化・崩壊と捉えましょう。 >自然界の物質系は必ず秩序崩壊の方向に移ろい行く この辺の文章からエントロピーのイメージがうっすらと掴めてきました。 回答ありがとうございました。
- htms42
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不可逆変化であるか可逆変化であるかを教えてくれる指標になる量です。 閉じた系の内部で不可逆変化が起こればエントロピーは増加します。 可逆変化であればエントロピー変化は起こりません。 △S≧0 と表します。 熱力学関数の中で不等号をその本来の形として含んでいるものはエントロピーだけです。 熱力学の第一法則はエネルギー保存則です。 エネルギーの保存則では変化の方向を判断することはできません。 熱力学の第二法則は自然界に不可逆変化の存在することを認めたものです。 高温から低温に熱が移動する変化は不可逆変化であるということから出発します。 逆の変化が自然に起こることはありません。 エントロピーはこの第二法則の内容を表してい関数だと考えればいいでしょう。 自然に起こる変化の方向の予測にエントロピーを使うことができます。 フリーエネルギーがそういう働きをする関数だと思っている人がいるようですが違います。 △S≧0と第一法則を組み合わせて得られる関数を変形してフリーエネルギーと名前を付けただけです。 フリーエネルギーの表現にでてくる不等号はエントロピーの表現に含まれていた不等号です。
お礼
わあ、難しい!!でも。 >エントロピーはこの第二法則の内容を表してい関数だと考えればいいでしょう。 この一文はわかり易い。この表現でかなり理解に近づいた気がします。 回答ありがとうございました。
- fjnobu
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エントロピーは、何か仕事の出来る量、又は情報量といった意味です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%94%E3%83%BC 良く似た言葉でエンタルピーが有ります。 こちらは、熱含料で外部に仕事に関わる数値です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%94%E3%83%BC 紛らわしいですね。
お礼
回答ありがとうございました。 >何か仕事の出来る量 例えば有名大卒と高卒の新入社員をくらべたら有名大卒のほうがエントロピーが高いっていうことでしょうか? エントロピーが増大するというのは、高卒の方がどんどん勉強して資格を取得していったりとかそういうことですか? もちろん比喩表現ですけど。あってますか?
補足
すみません、お礼したあとにウィキペディアを参照しました。 >系の微視的な「乱雑さ」を表す物理量という意味付けがなされた。 この文章が私のイメージに近いんですけど、イマイチなんだかよくわからないです。
お礼
他の回答でもありました。要するに数式(関数)なんですね。皆様の回答のおかげで理解が一歩深まりました。単純に物理量を示しているという思い込みが混乱の元でした。 >エントロピーは、系の微視的乱雑さを表すものと「考えられる」 >このような経緯なので、エントロピーの意味はとりあえず、わからなくて当然と思えます(わかったと思う方が危険)。 少しホっとしました。ちょっと詳しい人なら別の物に例えたりして簡単に表現できるものだと思っていたんですが、そうではないってことですね。 「独立系で冷めたお湯が再び熱湯になることはない」ってことなら中学生でもわかるのに、それを説明しようとすると複雑すぎて手に負えないというジレンマからの質問でした。 回答ありがとうございました。