遺伝子ということになるでしょうけど、現在では「ゲノム」という用語のほうがいいでしょうね。これの解読が非常に大きなプロジェクトとして行われています。
ヒトのゲノムについて、どういう構造(5000万~3億くらいの塩基の配列)のものがあるかまで、解読作業は終了したとされています。1980年代に開始されてから、ようやく2003年のことです。
これが、約3万種類と言われていたのが、約2万種類と下方修正されています。多いようですが、生物学の人が言うには、「そんな少ない種類で人間になれるものなのか!」という驚きなのだそうです。
ゲノムの構造までは分かりましたが、各ゲノムの機能はほとんどが未解明です。
構造解析が終了する前に、一部の遺伝子由来の現象、たとえば鎌状赤血球や遺伝子由来の障害、個人や親子関係の特定、考古学(ヒトの世界への進出経路等)、進化論研究等々に、一部の知見は、既に用いられています。ごく一部の知見で足りますし、急ぐことについては推測で動く必要もあるためです。
それ以外は、ほとんど分かっていません。
特に個人の特徴、たとえば性格や才能との関連については、全く分かりません。
逆に分かっていないからこそ、様々な仮説の出し放題になっています。あまりにも未知なため、何を言っても、それが間違いかどうか、ほとんど何も言えないからです。
先日の某番組でも、あたかもある性格の遺伝的影響が解明されているかのような説明が行われていました。
それ以前にも、同様のことはありました。才能、肥満等の体型、数え上げるとキリが無いでしょう。
嘘だと断定できないけれど、本当かどうかも、まさに五分五分、サイコロを転がして判断んする以上の判定精度もありません。
遺伝子から子どもの才能が分かると称するビジネスがTVで紹介されていたこともありました。
判定結果で示されるのは、芸事や技術重視のスポーツでした。つまり、子どものころから始めると、必ず大成するものです。
まあ、子どものころからやって、大人になっても続けるなら、確かにその筋では一角の人になるでしょう。遺伝は関係ないですけど。
こうした詐欺的商売や売名行為等々、問題となることが増えて来ています。何せ、内を言っても嘘と断定できないからです。
嘘と分かるのは何十年も先と思えば、嘘を言って有名になったり儲けることを自制するのは自分の良心以外には何もありません。
詐欺的行為に憤慨して、「それは間違いだ」「これは嘘だ」と公然と言えば、名誉棄損で訴えられ、慰謝料を支払うのは告発した人になりますから。
研究者も成果が確定するのはずっと先になりそうなことから、予算が欲しいとかの理由で、あえてそういう輩の手先的な行為に手を貸すこともあるようで、危惧されるべき状況です。
そういうことに惑わされないためなのか、自分や自分の子ども(今後生まれてくる子も含む)の遺伝的影響についての相談に関するカウンセラーの国家資格も新たに設けられました。
遺伝情報について、その機能も分からない名前だけで良ければ、知ることはできます。
それで良ければ、遺伝に関するカウンセラー国家資格の勉強をすればいいでしょう。ごく一部は推定にせよ機能が分かります。
お礼
参照先を沢山教えてただきまして,ありがとうございました.