仕事上の愚痴や上司への批判などはサラリーマンやOLの世界では当たり前の出来事です。もちろん業務中の愚痴や批判は好ましいものではありませんが、私的な時間でのものなら取り立てて問題にすべき事柄ではないでしょう。
名誉毀損ですって? この言葉ほど軽々しく扱われる犯罪名は他にありませんね。名誉毀損とは「公然と事実を指摘して人の名誉を毀損する」ものです。つまり大事なのは「公然」、そして「人の名誉を貶める」、この2点です。
最初の「公然」を簡単に言い換えると、不特定、または多数の人々の前で、あるいはその人々が認識しやすい可能性のある場所や時刻で、という意味です。ですから、飲食店で数人の同僚達との間で会社や上司の批判をしても「公然」とは言えない訳です。しかし例えば同僚達と話した批判内容をチラシにして会社前で社員に配るのは「公然」に当たります。
次の「人の名誉」ですが、この名誉とは上司が感じる名誉とかプライドなど主観的なものではありません。社会、世間が認めるその人の社会的な評価や人望、と言えばいいでしょう。地位や職名と連動するものではありませんから、社長にも新入社員にもそれぞれ名誉があります。
今回の事例では最初の条件である「公然」を満たしているとは思えないので、名誉毀損の罪に当たることはありません。
営業妨害という罪も存在しません。刑法にあるのは「威力業務妨害」と「偽計業務妨害」の2つだけです。今回の事例では威力(実力行使、大声、嫌がらせなど)がありません。また偽計とは文字通り人を騙したり、風説の流布(相手の業務を妨げることを目的として嘘を広める、が代表例)をすることです。あくまでも相手(今回は上司)の業務を妨害する目的=故意がなければなりません。今回の事件ではその故意はなかったと思われます。
正当な理由がないのに、給与を減らすだのと部下を恫喝することは重大なパワハラに当たります。企業では従業員の減給や停職などの処罰は労基署に届けてある従業員規則、特に懲戒規定に拠らねばなりません。怒りに任せて部下の減給を宣言すること事態は非常に重い規則違反です。
もしその上司の行動が目に余るなら、労基署への相談を真剣に考えましょう。無事の解決を祈ります。
お礼
ありがとうございます。 自分のほうに非があるのでつい受け入れてしまいそうでしたが、相手の言葉に何の根拠もないことがわかって安心しました。 可能な限りお互い矛先を収めるよう努力して、ダメなら労基を頼ってみます。