>階級制で生きている犬は、上位の者にしか従いません。
>これは相手が人間でも同じことで、
>犬から「自分より下だ」と思われているかぎり、
>どんなに立派なトレーニングを施そうとしても、
>犬はあなたのいうことを聞きません。
「犬と楽しく暮らそう」59頁より
これは1970年代に流行した「狼の群れ理論」に立脚した考え。
この説を代表する単語は、かの有名な「アルファシンドローム」です。
これは、1980年代に入ると犬の行動の科学的な探求によって否定されます。
そして、この科学的躾法が、今や、欧米式、英国式をも過去のものとしつつあります。
しかし、残念ながら、手元の躾本には堂々と1970年代の「狼の群れ理論」が・・・。
2年間棒で叩かれて飼い主に牙を剥いた体重35キロのオスのシベリアン・ハスキー犬。
救急車とパトカーとが出動する騒ぎの末に取り押さえられて、その後、空き地の檻暮らし。
自宅から10mばかり離れた空き地の急ごしらえの檻に閉じ込められること7年。
その間、飼い主は檻の外からフードと水を差し入れるだけで散歩も一度もなし。
私が発見した時には、近寄る人間には誰かれ構わずに牙を剥くまでに荒んでいました。
「ウーッ!ガウーッ!」
私が檻に近づくと、それはそれは恐ろしい形相で威嚇。
「そうかい!そんなに人が信用できないかい!」
「でも、俺を噛んだら、お前は一生、この檻暮らしだぞ!」
檻の戸を開けて近づくと、鼻筋に皺を寄せて歯茎を剥きだして威嚇。
「座れ!よーし、いい子だ!」
私は、ハスキー犬に真新しい首輪をしてやって素早くリードをしました。
「よし、出ろ!」
こうして、ハスキー犬は7年ぶりに檻の外に出ました。
私の会社の近くに清水山という山があります。
「山にシベリアン・ハスキー犬が捨てられているそうですよ!」
と、出勤した私に従業員が耳打ち。
(私とハスキーとの関係は、どうやら社内でも有名だったらしい)
昼休みに山頂まで走って「出ておいで!」と呼ぶとハスキー犬が藪の中から。
夕方、退勤する社員が物珍しさに近寄ると「ウーッ!ガウーッ!」。
余りの威嚇ぶりに、誰一人、近寄ることはできませんでした。
でも、私が「座れ」「待て」と命じると喜んで従いました。
家に連れて帰ったら、喜んで一緒にお風呂に入って私に抱かれて眠りました。
こうして、このハスキーと私は大の仲良しに。
>階級制で生きている犬は、上位の者にしか従いません。
真っ赤な嘘ですね。
初対面でも、警戒すべき相手か?それとも従ってよい相手か?を犬は判断できますよ。
特に、シベリアン・ハスキー犬は・・・。