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原子力工学のテキスト中で
『安定な性質を持つ同位体の中で、陽子の数(原子番号)と中性子の数がともに奇数であるのは4つしかない』という記述(A)と、『陽子または中性子の数が2,8,20,28,50,82,126の原子核は、近傍の他の原子核に比べて安定である』という記述(B)についての質問です。 まず(A)について、その4つとは、重水素(1)、リチウム(3)、硼素(5)、窒素(7)なのですか? (B)について、最後の126というのは、多分陽子を82個、中性子を126個もつ鉛のことだと思うのですが、もし将来、原子番号が126の元素が発見されたら、本当に安定になるのか?ということです。 原子番号がウラン(92)より大きいものは人工的に作られたもので、非常に不安定だと高校の時に習ったもので、にわかに信じ難いです。
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(A)について 正しいです。重水素、Li-6、B-10及びN-14ですね。この4核種だけなんて私も知りませんでした。 (B)について これは原子で言うと希ガスの閉殻に相当して極めて安定することから魔法の数と呼ばれています。現象論的には軌道角運動量とスピンが結合することで縮退が解け、そのエネルギーギャップで説明されます。この功績でメイヤーとイェンゼンがノーベル賞を取りました。 しかし近年、加速器技術の発達と共に不安定核種の研究も劇的に進んでいます。セグレチャート上(中性子数vs陽子数で描いた原子核の地図)ドリップライン(原子核として存在できる境界線)近傍になると16という新しい魔法の数が出現することが分かっています。理論にはやはり適用範囲というのがあるんですね。 陽子数126の核種が確かに認められたという報告はまだないと思いますが(私が知らないだけかも)、そこら辺まで行くとたとえ魔法数であっても安定配位になるとはとても思えません。現在まで名前がつけられている核種(例えば109番のMeitnerium)をざっと見渡しても、もはや長くて数十msの寿命です。更に、「我輩は原子核である。名前はまだない。」ようなものになると殆どがnsオーダーで崩壊するようです。普通の原子核脱励起と同様な寿命しか持たなくなるのです。あまりZが大きくなると安定核種は存在しない可能性が大きいと思います。
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なぜそうなのかは理解不能ですが、陽子に関しては114がマジックナンバーの候補になっており、114番元素は分単位?の半減期になるという予測も出ていたと記憶しています。 テキストの文章でも、安定というのはあくまでも「近傍のほかの原子核に比べて」だと断っているとおり、そのような超重元素が安定核として存在することはありません。
お礼
半減期が分単位だったら、何らかの用途がありそうですね。
お礼
興味深く読ませていただきました。 126はやはり鉛のことだったんですね。
お礼
ありがとうございます。 (A)については原子番号が鉛より大きいものは扱われていませんでした。 多分扱っても安定にならないのでしょうが、125番の元素や127番の元素があまりにも半減期が短ければ(両方とも聞いたことないですけど)、126番が『近傍より安定』といえるのかも知れないですが、やはりあっという間に分解しそうですね。