環境への負荷量からすると、最終的には原発から外に排出された放射能の量が問題になります。
チェルノブイリ事故で放出された放射能は5000万キュリーですが、今回の東電福島事故で放出された放射能は(現時点で)200万キュリーとされています。放出された放射能の量は今後も増えていくでしょう。
現在原発から出る配管から汚染された一次冷却水が漏れています。これはたいへん汚い水ですから、漏れを止めることができなければ、汚染量は短い期間に10倍とか100倍になってしまいます。福島からの放射能漏れが総量でチェルノブイリを越える危険性はまだあります。そしてその場合は海洋汚染が中心になるでしょう。
一方で個人への影響は、放射能が短期間かつ小さな範囲に集中するかどうかが問題になります。
海水の汚染データから分かるように、汚染された大量の水は原発内に閉じ込めることができずに海に漏れ出ています。
海水で基準値の1250倍=5万ベクレルです。タービン棟地下のたまり水=1300万ベクレルです。
海水に出たとたんこれだけ希釈されますから、接触したひとに健康被害が起こるリスクも希釈されます。
また海に流れ出した放射能は、陸地に広がる放射能と異なり空中放射線からの被曝量を増やしません。
ですから海水の放射能汚染を介して個人が健康被害を受けるリスクは、陸上の放射能汚染に比べると低いものになります。
茨城~宮城の海水浴場がどうなるかですが、いまテレビに出ている放射線の専門家なら「泳げます」と言い切るでしょう。
海洋汚染が起こった場合、生物濃縮についてもモニタリングが必要です。海の食物連鎖では、魚介類の放射能汚染は30倍から100倍に濃縮されます。いま魚介類を調べても影響がで出ないのは当たり前で、夏からじわじわ放射能が測定されるようになるでしょう。東日本の海草類や魚介類の放射能汚染調査は数年間~十数年の間、欠かせない調査になりそうです。