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福島原発IAEAへのレベル5報告は過小申告?
- 福島原発のIAEAへのレベル5報告は過小申告ではないかと疑問視されています。
- 住民・国民の不安や放射線被爆の現実、復旧作業の困難さから見て、レベル6相当程度と考えられています。
- 一連の発表や広報の秘密主義や隠蔽体質、対策の遅れに対する懸念が強まっています。
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質問の背景を書いていただけると、回答側としても助かります。 ありがとうございます。 さて。 原子力関係の事故評価については御指摘の通りIAEA他で 決定した基準を使います。 現在は2008年版INESユーザーズマニュアルが使われて いますが、この評価尺度は色々ありまして、主として以下の2 つに分かれます。 1)人と環境への影響に対する評価 (公衆影響) 2)施設における放射線バリアと管理 (施設影響) これらの評価も詳細な評価項目がありまして、該当項目が多い ほどレベルは上がります。 例えば「炉心の深刻な損傷」と言っても定性的で、「炉心状態の 定量的評価」が必須になるんですね。 ここで以下のHPをご覧ください。 http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2010/files/220326-5-1.pdf 経産省の通知ですが、別表として結果系の評価を載せています。 (個別評価項目が知りたい場合は、前記のマニュアルを図書館ででも 閲覧してください。) そこで今回の状況(結果)から推定をしてみます。 (あくまで個別項目の積み上げでなく、結果系からの推定を含む 評価ということには注意してください。) まずは「施設における放射線バリアと管理」です。 放出された放射性物質の計測結果から、炉心に損傷が発生して いることは確実ですし、諸々の状況を見ると、施設に関しては最も 深刻な段階であるレベル5と現時点で評価していることは納得 できます。 次に「人と環境への影響に対する評価」です。 これは今後拡大する可能性もあるのですが、現時点では被ばくを 原因とする死者は出ていませんし避難範囲もせまい、内部被ばくが 大規模に発生していない(ヨウ素剤等の大規模投与が行われて いない)ことから、レベル5で妥当でしょう。 御理解いただきたいので回答が教科書的ですが。 施設面等での評価は既に最悪と考えてください。 最悪ですので、情報の一部を隠ぺいしていようが居まいが、同じこと となります。 公衆影響としては、今後拡大する可能性がありますので「現時点での 対策が妥当としたなら」という仮定つきではレベル5ということなんです。 蛇足ですが。 海外で報道されている「本当はもっとレベルが高いのではないか」と いう意見は、放射性物質と放射線の測定結果・評価・範囲について 政府が下方修正して発表しているのではないか?と疑っているため ですね。 この面の真偽は判断しかねます。 推定ですが、測定が一部抜けている可能性はある、それによってある 地点では重大な被害(汚染)が発生しているかもしれない、しかし震災 被害なので予定されている人員にも被害があるでしょうし、補う人材も 被災している可能性がある。 この可能性を考慮した場合、悪意のない隠ぺい(=測定抜けが発生し ていることが解っており、本来は測定しなければならないが、それが 不可能なので周辺状況からの推定で代用しなければならない等々)が 発生していることは推察されます。
お礼
具体的且つ詳細丁寧な解説・紹介を賜りまして、ありがとうございます。 放射能と言う目に見えず恐ろしい物質に関わることだけに、我が国は被爆国であり、さらに第5福竜丸や東海村放射線事故や関電の福井原発事故等も想起され、何も出来ないけれど、周辺住民の皆様並びに事故対策に携わる方々の困難を推察すると共に大変心配をしております。 徒に騒いでオオカミ少年や懸命に対応されている関係者に雑音・邪魔となってはいけないと思いながらも・・・ ◇政府の予断を許さぬ状況とか、決死の覚悟で、ギリギリ限界だとのコメントや現場での対策の困難さと被害状況や影響リスクに対する過小申告?情報の不確かさにいささか疑問が生じておりました。 ◇他方、外国からの報道やニュースにある外国人の帰国や避難勧告と、我が国政府の見解や対応とのギャップに疑問を感じて質問しました。 結果的には、「大山鳴動・・・」と「杞憂」にと成るよう、早期終息するよう願うばかりです。 kenchin様に於かれましては、大変、参考になる回答を賜り、心より感謝とお礼を申し上げます。 誠に、ありがとうございました。