溶鉱炉の中には融けた鉄の他にも、燃焼中のコークスや、石灰石や、鉄鉱石中の不純物と石灰石が混ざり合ったノロと呼ばれるものがあります。
これらは何れも高温です。
又、溶鉱炉よりは量が少ないものの、転炉の中にも融けた鉄が大量に存在します。
又、溶鉱炉を運転するためには、大量のコークスが必要になりますから、そのためのコークスを製造するために、石炭を蒸し焼きにするコークス炉が、溶鉱炉と共に、連続運転されていますから、この中の高温の石炭が空気に曝されれば、発火すると思います。
このコークス炉において石炭を蒸し焼きにする際に、可燃性の石炭ガスが発生しますから、これが空気中に漏れれば、ガス爆発を起こす可能性があります。
この石炭ガスは、溶鉱炉中のコークスを燃やすための空気を(溶鉱炉の温度を高く保つために)前もって加熱する装置を、加熱するための熱源として燃焼されています。
ですから、この空気予熱装置が損傷すれば、炎が噴き出す事もあり得ます。
尚、溶鉱炉を停止する際には、中の鉄を全て取り出してから停止しないと、炉の中で鉄が固まってしまい、炉を再び使用する事が出来なくなります。
そして、溶鉱炉の中の鉄やコークスは大量ですから、温度を上げ始めてから、炉内の環境が安定化し、品質が揃った銑鉄が生産出来る様になるまでには、時間やコストも非常に多く必要とします。
そのため、溶鉱炉は、簡単には止める事は出来ず、連続して運転し続ける事になり、それに合わせて、コークス炉や転炉も連続運転する事になります。
この様に、高温の液体や可燃物を、常時大量に扱っている製鉄所では、大規模な災害に曝されれば、どうしても火災が発生し易くなるのは、仕方がないのではないかと思います。