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1コ、2コはなぜ1ケ、2ケともいうのですか?
1個を1ケと表記する仕方がありますが、あれはいつからどういういきさつでそうなったのでしょうか?普段何気なくつかってるけど、あれはイッケ、ニケ、とは読みませんよね???・・・謎です。ご存じのかた、よろしくお願いいたします。
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「ケ」という表記のもとの字は「箇」で、ものを数えるときの助数詞です。平安時代末期の『今昔物語』に例があります。 「法会を行ふ事、五箇日」 しかしこれだけでは、「箇」をなんと読んだのかは分かりません。そこで室町末期にキリシタンが全部ローマ字で書いた『平家物語』を見ると、 「十四五箇国」をjuxigocacocuと書き、「三箇年」をsanganenと書いています。つまり、「箇」は前後の音によって「ka」とも「ga」とも読んでいたことが分かります。 明治に入って、森鴎外(鴎の正しい字がネットで扱えない)は「一箇月」と書き、「ケ」は使わなかったようです。一方、夏目漱石は、 「授業が始まって、一ヶ月ばかりすると」 と、「ケ」を使っています。 では、「ケ」は明治以降にできた書き表し方かというと、先の『今昔物語』で、鎌倉時代の写本に、 「既に三ケ日夜を経たり」 とあります。したがって、「ケ」という書き方が鎌倉時代には行われていたことが分かります。一方、このころのお坊さんは写しものをするとき、「菩薩」を「草かんむりにカタカナのサ」の一字で代用したそうです。「菩」の草かんむり、「薩」のサです。このような大胆な省略法を日常行っていたので、「箇」の字も竹かんむりの片側だけを取って、「ケ」にしてしまったようです。 以上は助数詞としての「ケ」の始まりの説明でしたが、長い間に、助数詞ではない格助詞の「ガ」を持つ地名などにも、真似て「ケ」が使われるようになりました。「自由ヶ丘」「緑ヶ丘」などです。 なお、現代仮名遣いなどでは、助数詞の場合は「個」や「コ」「こ」、格助詞の場合は、固有名詞を除いて、「カ」や「ガ」を書く方がよいとされています。 ここまでは朝日新聞社『大野晋の日本語相談』2002年8月発行を参考にしました。 「ケ」を小さく書く理由ですが、現代仮名遣いで、「ハ」を「wa」と読む例はあっても、「ケ」を「ka」または「ga」と読んでもよいなどということはありません。日本語の原則からはずれるので、あえて小さく書き、仮名文字ではなく記号のような意味合いを持たせたのではないかと思います。これは私の想像です。
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- dr_shim
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韓国語でも「1個」「2個」は、「ハン ゲ」「トゥ ゲ」といいます。「個」を表す韓国語は、「フH」と書き、日本人には「ゲ」と「ケ」の間の発音に聞こえます。特に「5個」「6個」「7個」「8個」「9個」「10個」の場合は、リエゾンの関係から更に「ケ」に近い発音となり、それぞれ「タソッ ケ」「ヨソッ ケ」「イルゴプ ケ」「ヨドル ケ」「アホプ ケ」「ヨル ケ」となります。 もしかして、このことと関係があるのかも知れないと思ったのですが・・・。ほら、日本語で「ハナから始める」という時の「ハナ」は、韓国語で「一つ」という意味の「ハナ」が起源だと言いますし・・・。
お礼
なんと!韓国語からのご指摘もいただけるとは思いませんでした。斬新なご回答有難うございます。更にハナから始める、のハナは韓国語がルーツだったと聞いて逆に勉強になりました。どうもありがとうございました。#6さんのご回答をもって締切とさせて頂きましたが、大変参考になるご回答ばかりでした。「ケ」の謎は解明できましたが、言語の成り立ちって面白いですね。更にいろんなルーツなど勉強してみたい、と思います。皆さんありがとうございました。
- shiga_3
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#1です。 「ケ」の語源について、 ・「箇」の竹かんむりの片方 ・「个」の行書体 の2つの説でどうやら落ち着きそうですが、私の考えについてもう少し補足を加えます。 #4さんのおっしゃるように、中国では1個、2個の「個」を簡体字では「个」と表記します。また1箇(ヶ)月の「箇」も同じく「个」と書きます(ちなみに繁体字では前者後者ともに「個」と表記されます)。手元の漢和辞典によれば、「个」の成り立ちについて「竹の一方を取った字」「人と|の合字」の2つの説を挙げてあります。前者は「箇」後者は「個」に通じます。 一方日本では、「こ」と読む前者は「個」、「か」と読む後者は「箇」と使い分けています。 実は昭和29年の国語審議会による「当用漢字表補正試案」では、「箇」を当用漢字から外し、「個」に「か」という読みを新たに加えようとしたことがあります。 http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/hyoki/toyohosei.htm その後昭和47年に作成された「当用漢字改定音訓表」で「箇」は「か」、「個」は「こ」という読みで掲載され現在にいたっています。 http://www.konan-wu.ac.jp/~kikuchi/kanji/toyokai.htm したがって日本において「こ」と読む「ヶ」と「か」と読む「ヶ」は別のものではないかと考えます。 もう一度、中国の方に戻りますが、下記ページに「元明期の文字表記-<個>の出現をめぐって-」という論文が掲載されています。 http://www.kobe-cufs.ac.jp/kyoin/kenkyugyoseki/sato-h.html 残念ながらこの論文は読んだことがありませんが、キーワードに<文字表記、箇、个、個>とあるので、おそらく中国では元々「箇」という表記があって、その後、元から明の時代にかけて「個」という表記に代わったのではないかと思われます。 「こ」が新しいことは、漢和辞典で「箇」の読みに「唐音」として「こ」が挙げられている(つまり漢や呉の時代より後にできた読みである)ことからも推測できます。 #3さんの回答を参考にさせてもらうと、鎌倉時代には「ヶ」という書き方が見られるということですが、これはおっしゃる通り元明期以前に伝わっていた「箇」の略字だと思います。「箇」は古くは竹を数える数詞として古くから用いられた言葉で、その後一般に転用されるようになったと考えられています。 一方「個」は元々「一人、一つ」の意で、その後「箇」と通じて物を数える意に用いられるようになったと辞書には記されています。 以上のことから私なりの結論ですが、 ・まず「箇(か)」という文字が中国にあってそれが日本に伝わり、やがて竹かんむりの一部を取った「ヶ」が使われるようになった(もしくは、中国で既にあった竹の一部を取った略字「个」が伝わりそれが変化した) ・その後「箇」の代わりに使われるようになった「個(こ)」が伝来し、個の略字である「个」から「ヶ」という表記が生まれた。 と考えますがいかがでしょうか。(参考文献が少ないので自信なしとしておきます)
お礼
参考URL、並びに各種文献等々大変参考になりました。これまでの各ご回答をまとめていただいた上での言語学的ご指摘。大変勉強になりました。「良回答」に指定させて頂きます。どうもありがとうございました。
- 70633
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中国語でも、「個」の略字体「个」を用いています。 そこからきたのでしょうか、 それとも、「箇」のかんむりからきたのでしょうか 「个」は中国語では、「ga(ガー)」と発音します。
お礼
ご回答有難うございました。その2説がメインのようですね。参考になりました。有難うございました。
- naomi2002
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私も以前から不思議に思ってました。 No.1さんのご回答を読んで、なるほどと思いました。 似たような例なのですが、「一箇月」、「一箇所」などという場合も「一ヶ月」、「一ヶ所」と書かれることが多いですね。 私はこの場合の「ヶ」は「箇」の一部、つまり竹カンムリの半分だけを書いたものだと思っていました。 違うでしょうか。 全然自信なしです。
お礼
ご回答有難うございました。諸説あるようですが、タケカンムリ説は有力説のようですね。参考になりました。ありがとうございました。
- shiga_3
- ベストアンサー率64% (978/1526)
個数を表す「個」を簡略化した「个」が変化したものというのが通説です。 詳しくは下記ページ一番下のコラムを参考にして下さい。 http://www.gifu-u.ac.jp/~satopy/kini007.htm
お礼
サイト拝見させて頂きました。参考になりました。どうもありがとうございました。
お礼
歴史学的、言語学的なスタンスからのご回答(!)有難うございました。大変勉強になりました。参考文献も載せていただいたこと、並びに更に突っ込んで自説もご披露いただいたことも含め、今回の質問に対する「良回答」に指定させて頂きました。有難うございました。