脳死は、人が死を迎えたとき、1%以下の確率で起こり得る状態で、普通は心臓が停止した結果として血液 (酸素) が供給されなくなって全身の細胞が死んでいきます。
めったなことでは人は脳死にはなりません。
脳死というのは他の臓器・細胞が生きているのに脳は完全に機能を停止しています。
植物状態は大脳小脳が機能を停止していても、脳幹が機能している状態で、脳死はもはや回復の可能性がゼロであるのに対し、植物状態は意識回復することがあり得ます。
この二つはまったく次元の違うもので、植物状態から回復せずに死へ向かうことがあるにしても、まだ死んでいませんから臓器提供などあり得ません。
脳死は人の死かというと、臓器提供する場合のみ死とみなされ、それには厳格な判定を要します。
あ、脳死ですね、なんてことではないのです。
本人に意思表示があったことがベストですが、法改正によって本人の意思表示がなくとも本人が拒否はしていなくて家族が同意すれば脳死臓器提供できます。
その手順は、脳死が疑われて家族が臓器提供を申し出たときに、(いろんな説明や家族だけの話し合いが設定されます)一度目の脳死判定を行います。家族が(まだ遺族でない)臓器提供を申し出たときになってから一回目の検査をするのであり、「脳死宣告」 などということではないのです。
これは微弱な脳波も測定できる精密な機械があることなど、どこの病院でもできるわけではありません。
そこで脳死と判定されたら (脳死に至ってないとされたらそこまででおしまい) さらに6時間だったか20時間だったか、一定の間をおいてまた脳死判定を行います。
ここで二度目の脳死判定が出たら脳死とされます。それから移植のための臓器摘出の準備にかかります。
摘出する医師が待ち構えているわけでありません。二回やって間違いないと判断されるまで、一回目の判断だけでは脳死とはされないのです。
相続など、民法上で死亡時刻が重要な意味をもつ問題については、二度目の脳死判定が死亡時刻とされます。
意思表示について、保健所やコンビニや市役所区役所においてあるカードに自分でまるをつけてサインするのが普通ですが、臓器移植ネットワークのサイトにアクセスして申し込むと、ID番号が付与され、必要事項(自分が申告した通りの内容)がタイプされて、署名欄を空けたカードが送られてきます。
これは臓器提供登録カードといい、移植表示カードよりも重いものです。
脳死の段階でないと、心臓や肝臓など、移植できない臓器もありますが、腎臓をはじめ心臓死=普通の死を迎えてから提供できる臓器も多いのですから、家族にはできれば脳死で提供するように、そのときになって抵抗があっても(体温はあるのだから家族に抵抗は当然) 心臓死の段階では必ず提供するようにと普段から言っておくことです。
本人の意思が残されていても、家族が反対したら、いくら本人の意思だと言っても家族の気持ちを押し切って臓器を摘出することは、医者には許されません。
お礼
そうですね。植物状態で奇跡的に意識を取り戻したということはテレビで見たような気がします。違うんですね。家族に私の意志表示するにも難しそうですね。ありがとうございました。