このような複文において、「は」と「が」で決定的に違うのは、それが及ぶ範囲です。
文の構造は、それぞれ、
「お父さんは帰って来たらすぐ食事だ。」は、「(お父さんは)(帰ってきたらすぐ食事だ)」
「お父さんが帰ってきたらすぐ食事だ。」は、「(お父さんが帰ってきたら)(すぐ食事だ)」
となっています。
「は」という助詞はは主語を示すわけではなく、文の主題を示します。
「~は」というのは、「これから話すことは~についてのことなのですが」と言う意味です。
基本的に、一旦「は」によって宣言された主題は、単文においてはもちろんのこと、複文においても、
主節・従属節を超えて文末まで影響を持ち続けます。
この例文の場合なら、「お父さんは」というのは「帰ってきたらすぐ食事だ」という、残りの文全体に
かかっていると考えていただいて結構です。
したがって、帰ってくるのもお父さんですし、食事をするのもお父さんです。
お父さんの今日これからの予定のことを言っているのか、お父さんの普段の習慣のことを言っている
のか、それはどちらに取ることができます。
いずれにせよ、あくまで「お父さん」と言う人が「帰宅直後に食事をする」ということを述べている
文です。
それに対し「が」は主語を示す助詞です。
「が」というのは、「は」のように文全体に影響を持ち続けるわけではなく、あくまでどれか特定の
述語に対する主語でしかありません。
したがって、従属節中で使われれば従属節の述語だけ、主節の中で使われれば主節の述語だけ
にしか影響力をもちません。
今回の例文の場合なら、「お父さんが」は従属節中で使われたため「帰ってきたら」のみに
かかり、「食事だ」にはかかりません。
また、従属節で「が」によって主語が明示された場合、一般に主節の主語はそれとは異なります。
逆に、もし主節と従属節の主語が同じなら、それは従属節中では明示しないのが普通です。
したがって、この例文では、帰ってくるのはお父さんですが、食事をするのは違います。
今回の場合、お父さんも食事をする中に含まれる可能性が高いですが、少なくともお父さんだけでは
なくそれ以外の人も食事をします。
「お父さん」が帰宅したらすぐに「みんなで食事をする」という意味だと考えるのが自然でしょう。
また以上のような違いにより、従属節の主語を示したいときは「は」を使うことはできず、必ず
「が」が使われます。
× 春は過ぎれば夏がきます。 ○ 春が過ぎれば夏がきます。
× これは私は書いた絵です。 ○ これは私が書いた絵です。
お礼
詳しく教えて頂きましてとても勉強になりました。 本当にありがとうございました^^