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ファセット成長
大学の課題でファセット成長を調べています。これは一種の結晶成長の一つなのですが、文献には難しい計算式ばかりが書かれています。どなたかファセット成長の成長過程を知っている方は回答をお願いします。
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ファセット成長(の過程)といっても全部話し出すときりがなく、yatchies0810さんのおっしゃる「難しい計算式」までここで説明することになってしまいます。 そこまでは無理ですのでファセット成長について簡単にお話しします。ファセット成長を含めて結晶成長全般に関し大変参考になるページ[1]を見つけましたので、必要に応じ詳細はそちらで読んでください。 結晶成長時の界面は特定の結晶面からなる場合と、特定の結晶面にならない場合があります。 例えば塩の結晶を食塩水から作るときのことを考えて下さい。塩の結晶は成長中もきれいな立方体をしており、その各面は結晶の{100}面と一致します。成長界面が結晶の特定の面になる場合は当然ながら界面は平坦です。 これに対し成長界面が特定の結晶面にならない場合もあります。例えば不規則形状だったり、湾曲していたり、波打っていたり、枝状の突起が出ていたり、といった具合です。 ↑液相や気相 □□□□□□□□□□□ ↓固相(=結晶) ファセット成長時の界面 □ □□ □□□ □ □□□□□□□□□□□ ノンファセット成長時の界面(の一例) 前者のように界面が特定の結晶面となっている成長を「ファセット成長」、その結晶面のことを「ファセット」といいます。後者のように界面が結晶面と一致しない成長を「ノンファセット成長」といいます。上の図はそれぞれの界面を模式的に描いたものです。□は結晶を構成する原子や分子に対応すると思って下さい。ファセット成長となるかノンファセット成長となるかは決まっているとは限らず、成長時の条件(温度とその分布、過飽和度、不純物の存在など)によって変化することもあります。 さてファセット成長とノンファセット成長で、成長が進みやすいのはどちらでしょう? これは一般にノンファセット成長です。 下の図にはノンファセット成長の界面の様子を再度、模式的に記してみました。結晶を構成する原子や分子が界面に到来し、結晶に取り込まれることで結晶は成長していくわけですが、その際には「到来した原子や分子が付きやすい場所」というものがあります。大雑把に言えば段差のへりの部分(●や▲)がそれです。このようなへりの部分を「ステップエッジ」などと呼ぶこともあります。 ●□● ●□□▲□□□● ●□ □□□□□□□□□□□ ノンファセット成長時の界面 ところが、ファセットではそのようなステップエッジがほとんどありません(全くないわけではない)。ですからせっかく原子や分子が到来しても簡単には結晶中に取り込まれません。 このようなファセット成長の場合に、どのように成長が進んでいくかを説明した理論が「2次元核生成理論」と「らせん転位による成長理論」です。いずれも結晶成長の分野では古典とも言える理論で教科書には必ず書かれており、もちろん参考ページ[1]の講義内容pdfにも載っています。説明の必要上計算式が入ってきてしまいますが、重要なところですからぜひ読んでおいて下さい。 同じ結晶でもファセット成長で成長した部分と、ノンファセット成長で成長した部分では結晶の物性(結晶欠陥の数、不純物密度など)に違いが出ることがあります。 とりあえず最低限の説明をしました。 大学の課題とのことですので、この先は参考ページなどを見ながらご自分で調べてみてください。 [1]「機能材料・プロセス工学」(大阪大学) http://www.mpd.ams.eng.osaka-u.ac.jp/lecture/FunctionalMaterialsProcess/ 講義内容をpdfファイルでダウンロードして読むことができます。大変分かりやすくまとめられていますからぜひご自身で一読ください。凝固現象1~凝固現象3あたりが今回のご質問と関連しています。
お礼
PCに不慣れなのでお礼を投稿するのが遅くなりました。回答、助かりました。今必死で課題をやっています。ほんとうにありがとうございました。