歯科医師です。
3歳児が、神経を取るような重症の『虫歯』になるということはめったにあるものではありません。そういう意味では、3歳児の『虫歯』の神経を取るのは『通常はあまりない状況』に対する治療ですから、『通常行う治療』ではありません。
しかし、まれに、『外傷』により神経が死んでしまう場合があります。この場合には、他に方法がないので、神経を取ります。私自身は、転んでぶつけたために神経を取らなければならないような状態になってしまった乳歯は見たことがありませんが、ぶつけた拍子に乳歯が半分抜けかかってしまい、元に戻すことができなかったのでその乳歯を抜いたことが1回だけあります。
いずれにしても、『通常よくある状況』に対する治療ではありませんから、普通の人が耳にする機会は少ないと思いますが、神経が死んでしまった場合には神経を取ります。
死んだ神経に対して適切な処置を行わないでおくと、場合によっては死んだ神経が感染をおこして永久歯に悪影響を及ぼしたり(永久歯が生える前に虫歯になる)、永久歯に生え変わるときにうまく抜けてくれなかったりすることがあります。
ところで、お子さんの歯に関してですが、神経が死んでいるのか生きているのかを直接的に調べる方法がありません。もしかすると死んでいるかもしれませんし、もしかすると生きているのかもしれません。
神経が死んでしまっている場合には数か月から数年すると歯の色が変色してきます。もしも歯が変色してきたらそれは乳歯の神経が死んでしまったということですから神経を抜かなければなりません。しかし、生え変わるまで歯の色が変色せず、ぽろっと抜けてくれるようなら、神経は生きている(た)ということですから、神経を取る必要はないわけです。
現時点ではどちらになるのか調べる方法がないので、歯科医師は『もしかすると・・・』という話をしているだけです。