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三人吉三廓初買 大川端庚申塚の場 について
よろしくお願いします。 三人吉三廓初買の大川端庚申塚の場の中に、 「そんなら二人が百両を貸す貸すめえと言い募り、大切の命を捨てる気か、そいつぁ飛んだ由良之助だがまだ了簡が若い若い。ここは一番おれが裁きをつけようから、厭でもあろうがうんと言って話に乗ってくんなせえ、互いに争う百両は二つに割って五十両、お嬢も半分お坊も半分、留めに入ったおれにくんねえ、その埋草に和尚が両腕、五十両じゃあ高いものだが抜いた刀をそ のままに鞘へ納めぬおれが挨拶。両腕切って百両の額を合わせてくんなせえ」 という台詞がありますが、これはどういった意味なのでしょうか? とある本に引用されていたのですが、いまいち意味を把握しきれませんでした。
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>この部分の「自分」というのは、和尚のことを指しているのでしょうか? そうです。 >つまり、和尚の片腕に50両分の価値があることにするから、お嬢もお坊も、その50両分の価値のある腕を切ることによって不足分の50両を諦めてもらいたい。(腕を切ることに対する対価として、50両支払ったことにしてもらいたい) 違います。 「その埋草に和尚が両腕、五十両じゃあ高いものだが」と和尚自身が言っているように、三人の誰も、和尚の片腕に五十両の価値があるとは思っていません。 この場面は、お嬢とお坊が、お互い、百両の金を自分のものにするために相手を殺そうとしている場面です。そこへ仲裁に入った和尚が、単に斬り合いをやめろと言っても、聞く耳を持たないし、五十両づつ半分こしろと言ったところで「なにをいい気なこと言ってやがる」でおしまいです。命がけの斬り合いを止めるのに、口だけでは誰も言うことは聞きません。 だから和尚は、一度刀を抜いた以上、そのまま鞘へ納めるわけにもゆくまい、と、自分の両腕を斬れと言ったのです。先に書いたように、お嬢にとってもお坊にとっても、和尚の片腕なんか、一文の値打ちもありません。しかし、その両腕を斬ったら、和尚はまづ生きて行けない。つまり和尚は、二人の殺し合いを止めるのに、自分の命を取れ、と、言っているわけです。ただ、それをそのままいうのではなく、金は折半しろ。足りない分の埋め合わせに、(値付けは高いが)片腕五十両ということにして、両腕を切って、気分を納めてくれ、と、言っている。 単に金の問題ではなく、たまたま行き会った喧嘩を止めるためだけに自分の命を投げ出す男気ある行動に感じ入って、お嬢、お坊は和尚の義兄弟となるのです。
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- Mock_Hatter
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この場面の前で、お嬢吉三が夜鷹から百両巻き上げて大川へ突き落とします。それを見ていたお坊吉三が、その百両を自分にくれ(「貸してくれ」と言っているが、実際にはお嬢から巻き上げる積もりです)といって、二人が斬り合いになります。 それを止めたのが和尚吉三。その仲裁の科白です。 >そんなら二人が百両を貸す貸すめえと言い募り、大切の命を捨てる気か、 金を出せ、出さないで刃物沙汰になっているので、そんなことで命を捨てるのか、と。 >そいつぁ飛んだ由良之助だがまだ了簡が若い若い。 『仮名手本忠臣蔵』の四段目で大星由良之助(史実の大石内蔵助)が家中のものに「まだご了簡が若い若い」という場面があります。それに引っ掛けて「忠臣蔵の由良之助の科白ではないけど」(百両の金で)斬り合いしている二人の了簡が若い(未熟だ) >ここは一番おれが裁きをつけようから、厭でもあろうがうんと言って話に乗ってくんなせえ、 自分が仲裁するので、厭かもしれないが、「うん」と言ってくれ、自分の提案に乗ってくれ >互いに争う百両は二つに割って五十両、お嬢も半分お坊も半分、留めに入ったおれにくんねえ、 争いの元になった百両を、二人で半分にして、それぞれ五十両づつ持ってくれ。お互い百両手にすると思っていたわけで、それぞれ残り半分の五十両が足りないことになるが、それはおれ(和尚吉三)が貰ったことにして欲しい >その埋草に和尚が両腕、五十両じゃあ高いものだが抜いた刀をそ のままに鞘へ納めぬおれが挨拶。両腕切って百両の額を合わせてくんなせえ」 各自五十両の埋め合わせに、自分の両腕を切って貰いたい。(たかが自分の片腕に)五十両という値付けは高いだろうけど、 斬り合いのために一度抜いた刀はそのまま誰も斬らずに鞘へ納めるわけにも行かないだろう。だから自分の腕を斬って貰おう。両腕斬ったら五十両掛ける二で百両。これで埋め合わせにしてくれ こんな感じでしょうか。 歌舞伎では、その後、和尚の意気に感じたお嬢とお坊が和尚と義兄弟になります。
お礼
大変丁寧にありがとうございます。 迷惑ついでに、もうひとつ教えてください。 「各自五十両の埋め合わせに、自分の両腕を切って貰いたい。(たかが自分の片腕に)五十両という値付けは高いだろうけど、 斬り合いのために一度抜いた刀はそのまま誰も斬らずに鞘へ納めるわけにも行かないだろう。だから自分の腕を斬って貰おう。両腕斬ったら五十両掛ける二で百両。これで埋め合わせにしてくれ」 この部分の「自分」というのは、和尚のことを指しているのでしょうか? つまり、和尚の片腕に50両分の価値があることにするから、お嬢もお坊も、その50両分の価値のある腕を切ることによって不足分の50両を諦めてもらいたい。(腕を切ることに対する対価として、50両支払ったことにしてもらいたい) こんな解釈でよろしいのでしょうか?
お礼
重ねて丁寧なご回答ありがとうございます。 文脈が分からなかったのですが、おかげさまでだいぶ理解できました!! またなにかあった時はよろしくお願いします。