事理の弁識を言い換えると,ある法律行為(取引といってもよいと思われます。)が,自分にとって利益になるか不利益になるかを判断する能力と言えると思います。これをさらに具体的に言えといわれてもなかなか難しいのですが,例えば,お金とはどういうものか,お金で何ができるか,財産とはどういうものか,財産が増えるとか減るとかいう意味が分かるか,というような,ごく基本的な「金勘定」ができなくなると,「事理の弁識を欠く」とされることになろうと思います。
次に,後見人,保佐人,補助人の違いですが,後見人は,被後見人の行うべき法律行為のすべてを,自分自身ですることができます。被後見人が自分でできることは,せいぜい日用品を買ってくる程度のことです。それ以上のこと(複雑なあるいは金額的に高額な取引)を被後見人がすると,後見人によって取り消されます。
保佐人は,被保佐人が,民法の定める一定の重要な法律行為(借金,不動産取引,訴訟など)をする場合に同意を与えるというのが主たる仕事です。被保佐人は,保佐人の同意を得なければならない法律行為以外の法律行為は,自分だけですることができます。保佐人の同意が必要な行為について,その同意なしにした場合には,被保佐人,保佐人が,その法律行為を取り消すことができます。
補助人は,被補助人について,家庭裁判所が定める一定の行為(保佐人の同意が必要な行為のうちの一部)について同意を与えるというのが仕事です。
お礼
わかりやすい例えで説明していただき、どうもありがとうございます。