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賃貸人の必要費償還義務 について

賃貸人の必要費償還義務についてお尋ねします。 十年以上前ですが、私の母が、 自己の家を所有して住んでいる人(Aさん) から、その家を買い取りました。 そしてAさんは引き続きその家に住み、私の母に家賃を払う形となりました。 Aさんは、その家に大変愛着を持っておられ、いずれお金が貯まったら その家を 母から買い戻すつもりでおられたようです。 また家の修繕も、ここ十年以上、自費でなさっていたようです。 しかし、この不景気で思うようにお金が貯まらず、 買戻しに関してはまったく目処が立たない状態のようです。 ●そこで、最近 Aさんから 「過去の修繕費を、全て必要費として請求するかもしれない」 という話があったとのことで、ご相談に乗って頂きたく思います。 一応、債権は10年で時効になると思いますので、 10年以上前の修繕費に関しては支払う必要はないと思うのですが、 それ以降は、こちらに通知の無いままに為された過去の修繕費も、 必要費として払う必要があるのでしょうか? 民法615条(賃借人の通知義務)には、  『賃借物が修繕を必要と』するときは、  『賃借人は、遅滞なくこれを賃貸人に通知しなければならない』 とありますが、賃借人がこの条文に反した場合の効果はどうなるのでしょうか? ●また、もう一点、火災保険の保険料に関してお聞きしたいのですが、 この家は、現在火災保険に加入していないとのことです。 そこで、 Aさんの費用で火災保険に加入してもらうよう請求できるか。あるいは、 こちらで火災保険に加入し、その費用をAさんに請求できるか についてもご教授頂けますでしょうか。 どうぞよろしくお願い致します。

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  • pippy
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回答No.1

○615条の「通知」を欠く場合 民法615条における「通知」は606条における賃貸人の修繕義務の前提になるものでしかありません。つまり、賃借物について修繕が必要な場合に「通知」すれば、その修繕を請求できるという意味でしかありません。 今回のケースでは修繕を賃貸人に請求しているわけではありませんので、この条文とは直接的な関係はなく、むしろ608条の問題です。 ○必要費と有益費について(608条) 民法上、必要費と有益費に分けて規定されています。雨漏りによる屋根修繕費、床抜けによる床板補修費などは必要費に、家屋の美観を向上させるための補修費用などはは有益費に分類されます。 ○必要費の費用償還請求権(608条1項) 必要費についてはその金額に償還しなければなりません。また、この請求は「直チニ」できますから、必要費償還請求権の時効は、賃貸人に修繕費の債務が発生したのと同時に進行し始めます。従って十年以上前に修繕費用の債務が発生していたものについては、償還請求権についての消滅時効期間を満たすことになります。 ○有益費の費用償還請求権(608条2項) 有益費の償還請求については少し複雑です。196条2項の準用により「其価格ノ増加カ現存スル場合ニ限リ」償還しなければなりません。従って、階段に手すりを備え付けたが、すでに毀損しており使えない場合には償還義務はありません。 価格増加が現存している場合の償還額は、賃貸人の「選択ニ従ヒ其費シタル金額又ハ増価額」になります。家屋の場合は経年で価格が増加することはありませんので、通常「増加額」について償還します。つまり、賃貸人がタンスを造り付けた場合、その償還額はタンスの造り付け費用ではなく、そのタンスの現存価値になります。 有益費については賃貸借が終了して初めて償還請求が可能になります(608条2項)。従って、まだ消滅時効期間は進行しておりません。また、請求されても支払う必要はありません。 なお、契約終了時には造作買取請求権を行使される可能性があることもご承知下さい。 ○必要費と有益費についてのまとめ 以上、まず賃借人の出費が必要費なのか有益費なのか判別して下さい。 必要費の内、消滅時効を満たさないものについて請求された場合、即時に支払わなければなりません。 一方で有益費については請求されてもまだ支払う必要はありません。賃貸借が終了時の問題となります。 ○火災保険の保険料について そもそも火災保険は加入が義務づけられているものではありません。したがってその加入および保険料負担は当事者に委ねられています。 契約内容に保険料の負担者が定められていた場合はそれに従います。今回のケースでは賃借人の負担とする旨、取り決めてなかったという事でしょうから、これを請求することはできません。賃貸人が負担して下さい。 もちろん次回更新時に、賃借人の負担にて火災保険に加入する旨、もしくは賃料に保険料相当額を上乗せする旨、契約に盛り込むことは可能ですが、それは全く別の問題です。なお、このような賃借人に不利な方向での契約更新は借地借家法によって厳しい制限がありますから、その点ご承知おき下さい。 --------------------- 民法(抜粋) 第196条(占有者の費用償還請求権) 1 省略 2 占有者カ占有物ノ改良ノ為メニ費シタル金額其他ノ有益費ニ付テハ其価格ノ増加カ現存スル場合ニ限リ回復者ノ選択ニ従ヒ其費シタル金額又ハ増価額ヲ償還セシムルコトヲ得 但悪意ノ占有者ニ対シテハ裁判所ハ回復者ノ請求ニ因リ之ニ相当ノ期限ヲ許与スルコトヲ得 第606条(賃貸人の修繕義務) 1 賃貸人ハ賃貸物ノ使用及ヒ収益ニ必要ナル修繕ヲ為ス義務ヲ負フ 2 賃貸人カ賃貸物ノ保有ニ必要ナル行為ヲ為サント欲スルトキハ賃借人ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス 第608条(費用償還請求権) 1 賃借人カ賃借物ニ付キ賃貸人ノ負担ニ属スル必要費ヲ出タシタルトキハ賃貸人ニ対シテ直チニ其償還ヲ請求スルコトヲ得 2 賃借人カ有益費ヲ出タシタルトキハ賃貸人ハ賃貸借終了ノ時ニ於テ第196条第2項ノ規定ニ従ヒ其償還ヲ為スコトヲ要ス 但裁判所ハ賃貸人ノ請求ニ因リ之ニ相当ノ期限ヲ許与スルコトヲ得 借地借家法(抜粋) 第33条(造作買取請求権) 1 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。 2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。

markn913
質問者

お礼

pippy様 ご回答、どうもありがとうございます。 とりあえず、相手の請求内容を見て、必要費・有益費に分けて 個々に対応しようと思います。 ただその後の話によりますと、今のところ、すぐに全部請求 される様子はなさそうとのことで一安心しています。 火災保険については、やむを得ませんので、こちらで負担しようと思います どうも有り難うございました。

その他の回答 (1)

  • ida256
  • ベストアンサー率14% (2/14)
回答No.2

まず賃貸契約書をご覧下さい。賃借人が修繕義務を負うという特約はありませんか。あれば原則、、それに従います。 必要費ですが、全ての修繕費が家主負担というわけではありません(有益費のことはここでは述べません) 一般的には柱、屋根、壁、床、土台等主要構造部分は家主 負担、襖、障子、畳、建具などの付属部分については借家人負担と言われます。いずれにしましても家賃等との兼ね合いもあり、総合的に判断されるべきものです。 勝手に直したという過失もありますし、常識的な線で落ち着くものと思います。第三者をいれて話し合ってください。

markn913
質問者

お礼

ida256様 ご回答、どうもありがとうございます。 契約書を確認してみましたが、やはり賃借人が修繕義務を負う等の特約はなく、 ごくごく一般的な契約内容でした。 とりあえず、相手の請求内容を見て、必要費・有益費に分けて 個々に対応しようと思います。 ただその後の話によりますと、今のところ、すぐに全部請求 される様子はなさそうとのことで一安心しています。 どうも有り難うございました。

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