一言で言えば、制度(趣旨)の違いです。
法令違反に対しては、一定の制裁を科す場合があるのですが、その制裁も色々種類があります。「刑罰」もその一つですし「行政罰」というのもあります。その他の「罰」というのもあります。他に一応「罰」とは違う制裁もあります。
制裁の中で最も重いのが「刑罰」です。この刑罰は更に種類がありますが、その一つが「罰金」です。刑罰なので、刑事手続に則らない限り科すことはできません。罰金を科されるということは、資格制限の理由となったりして法律上の不利益になる場合もあります。刑罰が「最も重い」たるゆえんです。刑罰は基本的には「行為(と結果)に対する責任」であり、違法な行為をしたからその責任を取れという意味のものです(細かい話は省きます)。
「過料」は一様ではなく色々なものがます。「秩序罰」とか「執行罰」とか色々。その性質は、「刑罰ではない」ということ以外は、目的によって違いがあります。ごく簡単に言ってしまえば、法的な義務違反に対する制裁という意味では「罰金」と同じですが、過料は基本的には「一定の法令上の義務を履行させるため」のものです。即ち、刑事罰則として一定の行為(と結果)に対する「責任を取らせる」ことを目的としているのではなく、金銭による制裁によってあくまでも法令上必要な一定の義務を守らせることを目的としています(刑罰も裏側から見れば同様の機能があるのは事実ですが)。
ですから、刑罰としての「罰金」とそれ以外の罰としての「過料」は、法令上の一定の義務違反に対する制裁という意味では同じであるが、その制度趣旨が全く違うということになります。ちなみに罰金を科す場合と過料を課す場合の手続き上の差ですとか、効果(法律上一定の条件を満たしたときに法律上、認められる一定の結果のことだと思ってください)の差ですとかは、全てこの「制度とその趣旨」による違いから生じる結果に過ぎません。形式的には、手続き上、罰金は刑事訴訟手続によるが、過料は非訟事件手続による他、各種の法律の定めによるという違いがあったりします。
なお、道路交通法違反の「反則金」などは、過料とは違います。政策的な一種の罰金の代用としての制裁とでも捉えておけばよいと思います。
「罰」ではない制裁は、営業停止など。営業停止は「罰」ではなくてあくまでも営業を認めることが法律的に不適切であるから行っているだけで、事実上「罰」のようなものであっても法律的な本質としては違います。
なお、参考に。
「罰金」と類似の刑罰に「科料」というのがあるわけですが、この違いは、金額の違いと法律上の重さの違いです。「罰金」は1万円以上、「科料」は千円以上1万円未満であり、また、法律上、「罰金」と「科料」は区別され、資格制限の対象になるかどうかなど法的な効果に違いがあります。なお、「罰金」を減軽して1万円以下にすることは可能ですので、1万円以下の罰金になることはありえますが、その場合でも「罰金」としての法律的な効果が生じるので、「科料」になった場合とでは結果が一応異なります。「科料」もまたあくまでも刑罰なので「過料」とは制度とその種師が違うというのは「罰金」の場合と同じです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 大きな違いは前科がつくかつかないかという点なのですね。 「科料」という言葉もあるのですね。刑法上の刑罰ということですが、こちらも前科がつくということでしょうか?