こんにちは、517hamaさん。
大筋はold98bestさんのお答えで合っていると思いますが、細かい部分が正確でないようですので補足説明させてください。
非常通信の定義は「地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう」(電波法第五十二条第四項)です。
船舶や航空機が遭難した際に行われる通信は「遭難通信」(電波法第五十二条第一項)、船舶や航空機が急迫の危険に陥るおそれがある場合に行う通信が「緊急通信」(電波法第五十二条第二項)であり、(電波法上の)非常通信とは別物です。
なお無線局運用規則第百三十六条で「非常通信の取扱を開始した後、有線通信の状態が復旧した場合は、すみやかにその取扱を停止しなければならない」と定められています。
またこれと別に「非常の場合の無線通信」(電波法第七十四条)の規定があり、「総務大臣は地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通信を無線局に行わせることができる」と定められています。
目的外通信については電波法第五十二条第六項に規定があります(詳細は省令で定められる)。もっとも近いものは電波法施行規則第三十七条第二十一項の「人命の救助又は人の生命、身体若しくは財産に重大な危害を及ぼす犯罪の捜査若しくはこれらの犯罪の現行犯人若しくは被疑者の逮捕に関し急を要する通信(他の電気通信系統によっては当該通信の目的を達成することが困難である場合に限る。)です。
さてこれに照らしてご質問の場合を検討してみます。アマチュア局でその種の通信が許される根拠条文は
(1)非常通信(電波法第五十二条第四項)
(2)非常の場合の無線通信(電波法七十四条)
(3)その他省令で定める通信(電波法第五十二条第六項)
の3つが考えられます。
その交通事故が大規模で渋滞が広範囲に及び、「非常の事態が発生し」「交通通信の確保のために」の条件を満たすのであれば(1)の「非常通信」として通信を行うことは可能と考えられます。
交通事故で総務大臣が命令を行うことはまずないでしょうから、(2)の「非常の場合の無線通信」は考えなくてよいでしょう。
また(3)は「(交通事故で負傷した人の)人命の救助」が目的であれば認められますが、渋滞情報提供は規定にありませんから認められません。
実際にはその種の渋滞情報提供を行ったとしても、old98bestさんもおっしゃっているように違法性は薄いとして処罰の対象にはならないとは思います。
よって結論は「事故の規模や状況によっては合法である。グレーゾーンであったとしても処罰の可能性は低い」となりそうです。
なお非常通信はその重大性に鑑み運用上最優先の取扱いがなされます。従って小さな規模の人命に関係しない事故で軽々に「非常通信」をやるのは控えた方がよろしいかと思います。
その他についても補足しておきます。
【報告】
報告に関しては電波法第八十条で「無線局の免許人は、左に掲げる場合は、総務省令に定める手続により、総務大臣に報告しなければならない」と定められていて、その事項の一つに「遭難通信、緊急通信、安全通信又は非常通信を行ったとき。」が挙げられています。
電波法第五十二条の六の通信については報告義務はありません。
【電波の発射の停止】
「通信が行われている間は他の通信は全て禁止され」は、正しくは「OSOを前置した呼出しを受信した無線局は応答する場合を除く外、これに混信を与える虞のある電波の発射を停止して傍受しなければならない」(無線局運用規則第百三十二条)です。
混信を与えるおそれが明らかにないならば他の通信も可能です。
参考URLは電波法の条文です。
お礼
こんにちは、詳しい解説ありがとうございます 法律的な部分も詳しくわかりました。 参考にさせていただきます