個人的な推測の範囲でお答えします。
ヒトという種が激しい生存競争の中で生き残った理由を考えたとき、この性欲の強さが原因ではないかと考えられます。
ヒトという動物の身体的特徴は、かなり生存に不利です。まず足が遅い。泳ぎも下手で、木にもうまく登れない。大量の汗をかくため頻繁に水分補給が必要。直立二足歩行のため、腰に負荷がかかりすぎて腰痛になりやすい。妊娠期間が長く、さらに生まれた後も親の保護が必要。直立二足歩行が原因の骨盤の変形により出産そのものに危険が伴う。などなど。ヒトという種が出現した当時と現代人とでは、筋力などかなり違ってはいたでしょうが、それでも当時のアフリカで生存競争に勝ち残るには不利な特徴がかなり多いです。
弱い動物が非常に強い繁殖力を持つこと、自然界ではよく見られる傾向です。生存率は低くても、多くの卵(子)を作ることでなんとか生き残ろうという戦略です。これが、ヒトにも当てはまるのではないでしょうか。
ところが先ほども書いたように、ヒトは妊娠期間が長く、さらに生まれた後もしばらく手が要ります。また、一度に妊娠できる子の数も1~2程度と非常に少ないですね。であれば、子の数を増やす手段は一つしかありません。一年中いつでも妊娠を可能にすることです。哺乳類の多くは繁殖期を持ち、ある時期にだけオスもメスも発情し子を作ります。しかし、ヒトは繁殖期を待つだけの余裕がありません。常に、余裕があったら子を作り続けないと絶滅しかねないのですから。だから、女性は妊娠していなければほぼ年中妊娠が可能です。そして男性も年中発情期の状態です。この繁殖力こそがヒトという動物を進化させ、ホモサピエンスが生き残った最大の原因ではないでしょうか。ただし、進化の過程のどの時期から発情期の制限が外れたのかは知りません。
さて、問題は男性の性欲でしたね。
上記のような考えから、ホモサピエンスという種はもともと性欲の強い種であったと考えます。しかし、ヒトの骨盤は出産の障害になっています。直立二足歩行を行うと、どうしても内臓が重力によって下に落ちてきます。そのため、内臓を支える器のような形をした骨盤が必要になります。しかし、そのために胎児の出口を骨盤がふさいでしまい、出産しにくい形状になっています。そのため、出産時に母体を損なうこともまれなことではありません。つまり、女性に性欲はあるものの、あまりに頻繁な妊娠・出産は生命に危険があるため現代人の女性にとっては避けたいものなのではないでしょうか。ただし、何らかの生命の危機を感じると、種の保存のために性欲を高める本能が働くなんてこともよく聞きます。古代のヒトにとっては、生き残るか絶滅かの瀬戸際だったでしょうから、女性も十分に性欲が強かったかもしれませんね。
さて、男性はというとそのような妊娠・出産にリスクは存在しませんので、今も昔も変わらず、年中発情期の状態を維持し続けているのです。
このように、男女の妊娠・出産に伴うリスクの差が、男性の性欲が強いと感じる原因ではないでしょうか。
お礼
納得のいく回答に大満足です。 ほんとうにありがとうございました。