多分、すごい反対運動が起きるかと・・ というか、まず黒人の枢機卿が
法王の選挙に出る段階で、問題発生です。
第一に、すでに古代末期から、カトリックの前身であるローマ教会というのは、
単なる宗教組織ではなくなって、為政者と密接に結びついた世俗勢力の一つと
なっていること。
現在のローマ・カトリックの内部は、殆ど金で動いています。バチカンは、
信者の献金と観光で稼いでる一世俗国家であると考えてください。
カトリックの信者は、東南アジアにもアフリカにもそれなりにはいますが、
信者の大半は西欧出身の所謂白人でして、彼らの多くは潜在的に黒人を
自分の下に位置する人間である、と考えています。
例えば、テレビ局が、ある番組に嫌われているタレントを単独で出しますか?
スポンサーが手を引くから、そういうことは極力避けますね。
もし黒人が法王になれば、アフリカのキリスト教徒には絶大な影響を
及ぼすことがあるかもしれませんが(ただし、アフリカは部族間の
対立が激しいので、その法王の出身問題なども十分に検討するべき)、
黒人は概して貧しく、また明らかに信徒の絶対数が多く、黒人より遥かに金を落す
白人層の支持者が消極的になるのは明らかであるので、そういった不経済なことは
バチカン内部でも問題となるでしょう。
>真に熱心な信徒は人種差別をしないという期待をこめて
現在のカトリック信者は、その大方が「熱心な」信徒ではなく、日本の葬式仏教のような、
「まあ、一応、カトリックといっておこう」的な考えの人間です。こういう層の落す金
は馬鹿になりません。「真に熱心な信徒」以外の人間をバッサリ切り落とせば、
カトリックは一世俗団体として、経営が困難になります。
また、「熱心」であることと、人種差別反対の立場は殆ど無関係であること
も指摘しておきます。「熱心な信徒」が、イコール「イエスの教えに忠実である」
というわけではありません。例えば、一部の「熱心な信徒」が妊娠中絶の手助けを
している医師を殺す事件がおきていますね。
イエスの教えというのは、よく読んでみると現在で言う極左です。ところが、
キリスト教右派というものが、世界各国にあるように、歴史的な変遷や、
伝統的解釈によって、幾らでもキリスト教は変化するわけですね。
ポーランドは敬虔なカトリック教徒が多いことで知られていますが、
同時に差別の激しい国でもあります。特に、同性愛者やエイズ患者に
対しては保守的なキリスト教徒の方が、むしろ差別を推進しているところが
あると聞きます。白人至上主義の「熱心な信徒」も多いだろうことは、
想像に難くないでしょう。
結論: 黒人が法王になることは現在では殆どありえない。仮になったとすると、
バチカン内部も分裂するし、信者も減る。
こんなところでしょう。
お礼
詳しい解説有難うございます。 ユダヤ人に対するジェノサイドやアジア人に対する差別に対しては、黒人はきれいな立場にいると思います。 前提条件としてアフリカの民主化が先かもしれないですね。