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ボルトやナットを強く締め過ぎると余計に緩み易くなる理由は?

自動車ディーラーで働いていた友人が以前、『力任せに締め付けると、余計に緩み易くなる』 と言っていました。 人のイメージとしては強く締めた方が緩み難い気がするのが普通なのでしょうが、 私もその話は他でも聞いた事が有るので、多分本当なんだろうと思います。 しかし、じゃあ何故、力任せに目一杯締め付けた方が緩み易くて、トルクレンチを使って、適度に 締め付けた方が緩み難いのかの理由や原理が分かりません。 どなたか説明出来る方、教えて下さい。 また、それは自動車以外で、工作機や家電製品等でも同じ事が言えるのでしょうか?

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  • LB05
  • ベストアンサー率52% (593/1121)
回答No.5

 クルマの研究で食ってる者ですが・・・ねじのメカニズムはかつて自分の研究テーマの一つでした。  これはねじ設計の基本の話ですね。 >イメージとしては強く締めた方が緩み難い気がするのが普通なのでしょうが、  何故ねじが緩まないか?メカニズムを考えてみると、オーバートルクで締めたねじが緩む理由も自ずと判って来ます。 ※ねじとは、要するにばねなんですね。  ねじを締め込んでいくと、ねじが(この場合ボルトが、と言った方が判り易いでしょう)引き延ばされます。(ボルトの頭は座面にぶつかり、しかしねじ山部分はそれ以上にねじ込まれて行くワケなので、結果、ボルトは引き延ばされるというメカニズムです。)  で、締め込みをやめると、引き延ばされたボルトが戻ろうとします。  この戻ろうとするチカラ(軸力と言います)でねじ山やボルト、ナットの座面に摩擦力が発生し、この摩擦力がねじの緩みを止めているのです。  とすると・・・もうお判りですね?この、ねじ山や座面に働く摩擦力が弱くなったらねじが緩み易くなるワケで、摩擦力が弱くなる理由は2コだけ、即ち、 (1)ボルトの軸力が小さくなる (2)ボルトの座面とナットの座面間の距離が短くなり、ボルトを引き延ばしているチカラが解放される ・・・です。 (1)軸力が小さくなる  金属材料を引っ張っていくと、塑性域(そせいいき)と言う範囲に入ります。この範囲に入ると、引っ張りをやめても永久ひずみが残り、引っ張っているモノが元の長さに戻らなくなります。  ボルトを締め過ぎるとこの塑性域に入ってしまい、締め込みをやめても軸力が小さくなり、結果、ボルトが緩み易くなります。(ボルトを締めている間は、ボルト本体をムリムリ引き延ばしているので強い締め付けトルクが必要ですが、しかしボルトが塑性域に入ってしまうと締め付けを止めてもボルトが戻ろうとしないので、締め付け力に対してねじ山や座面の摩擦力が小さくなります。) (2)ボルトの座面とナットの座面間の距離が短くなる  ボルトが塑性域に入らない範囲内で設計値以上のトルクを与えてボルトを締めると、ボルトの軸力もそれだけ大きくなります。  すると今度は、ボルトの頭やナットが乗っている座面の圧縮応力が負けて、座面が陥没します。座面が陥没するとボルトの頭~ナット間の距離が短くなるので、当然軸力が失われて緩み易くなるワケです。 ※実際には、ねじ山や座面の摩擦力はボルトを締め付けている間も発生しているので、実は締め付けトルクで軸力を管理するのはあまり意味がありません。  その為、エンジンや変速機内部の『絶対緩んではいけない』ボルト類は、敢えて塑性域まで引っ張って締め付けるという設計法があります。(これを塑性域角度法と言います。)  この締め付け法に使うボルトには、塑性域でも十分な軸力が出せる様に、また『遅れ破壊』というボルトの破断現象を防ぐ為に、非常に強力な材料を使います。よって、塑性域角度法で設計されていないボルトを塑性域まで引き延ばして締めても、緩んだり千切れたりするだけです。 ※座面の陥没し易さは相手(座面側)に関係しており、相手がショボい鋼板やアルミなどのヤワい材質だったら、過大トルクで締めなくても座面陥没は常に起こり得る現象で、故に平ワッシャが必要になるのです。(足がメリ込むほど柔らかい新雪の上を歩くのに、かんじきやスキーを履いて歩けば荷重面積が増え沈みませんね?あれと同じリクツです。平ワッシャで座面面積を増やせば、座面の陥没を防げます。勿論、平ワッシャが陥没してしまっては意味が無いので、ワッシャは材質までよく吟味する必要があります。) >また、それは自動車以外で、工作機や家電製品等でも同じ事が言えるのでしょうか? ・・・というワケで、この辺りの事は自動車に限らず、ボルト設計では基本中の基本です。締め付けトルクも平ワッシャも、工学的計算の上に選定されているという事ですが、最近の若い設計者の多くは、平ワッシャ1枚満足に設計出来ないんですよねぇ~コンピュータによる解析技術が進んでしまい、目の前に映し出されている解析結果がどういう計算で成り立っているのか、深く考える事がなかった様です。全く、大学でナニを勉強してきたのやら・・・。  尚、現実に売られているクルマやバイクで、規定通りの締め付けをしていても平ワッシャが陥没しているという不愉快なケースがありますよね?アレは完全な設計ミス、と指摘しておきます。

akakitu
質問者

お礼

とても詳しい回答ありがとうございました。 とても勉強になりました。

その他の回答 (6)

noname#91889
noname#91889
回答No.7

1本で考えるより、数本のボルトを使った面として考えるという視点もあるような気がします。 面で考えると、一本だけ強く締めたり弱く締めれば、面のバランスが崩れ、その時点で面がゆがんで数本の締め具合に影響が出る気がしますし、走るうちにいずれ一本あるいは数本に大きな負担が出るような気がします。 一本の締め付けを管理するというより、どちらかというと、全体を面として数本のボルトでじわじわと締めていって、全部のボルトを同じようになるべく同時に締めるような視点のほうが大事な気がするのですが。 面として均等にかつ締め付け過ぎずに、面とボルトにある程度?の弾力を残して締めることができれば、全体のボルトに同じように力がかかると思うので、ゆるみにも効果が出るのではないでしょうか?

akakitu
質問者

お礼

回答ありがとうございます。

回答No.6

ボルトを締めすぎると、ねじが塑性変形して、加工硬化し、弾力が無くなります。 一度オーバートルクで締め付けられたボルトは、交換しないと緩んできます。 緩むからといってむきになって締め付けていたボルトを、トルクレンチで適切なトルク(ねじのサイズやピッチ、ボルトの強度区分、潤滑状態で変わります。)で締めたら、嘘のように緩まなくなった、なんてことは機械に携わっていると時々経験します。

akakitu
質問者

お礼

回答ありがとうございます。

  • chiezo2005
  • ベストアンサー率41% (634/1537)
回答No.4

ねじの変形後のピッチの問題です。 雌ねじと雄ねじのピッチ(1回転で進む長さ)は普通は同じです。 雄ねじのアゴがあたってさらにしめると雄ねじは伸びます。 (雌ねじも伸びますが通常は雌ねじのほうが強いです) その結果雄ねじのピッチが雌ねじのピッチより長くなります。 つまりピッチがあわなくなるので、雌ねじの中で山と谷が一致せず、 一部のみ(普通は手前側、つまりネジの頭側)でかみ合った状態になってしまいます。 これが、強く閉めすぎた場合にねじがゆるみやすい原因と考えられます。 また、強度的にも、かみ合った山と谷の数が減り弱くなりますので、 強く閉めすぎることはよくありません。 何かの本で、 正しい雄ねじと雌ねじの設計は 目的のトルクで締め付けたときに、両者のピッチが一致するように 多少雄ねじのピッチを短く設計するというのを読んだことがあります。 JIS規格をみてもこんなことは書いていないので、 ごく特殊な用途用で特別仕様のネジを使う場合の話だと思いますが、 本当かどうか知りません。 なおネジの締め付けには弾性限界内でしめる方法と 降伏点近くまで締め付ける塑性締め付けという2通りの 方法があります。 以下を参考にしてください。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AD%E3%81%98%E7%B7%A0%E4%BB%98%E3%81%91%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%96%B9%E6%B3%95

akakitu
質問者

お礼

詳しい説明ありがとうございました。

  • ROMIO_KUN
  • ベストアンサー率19% (432/2249)
回答No.3

単に力任せに締めるなよといいたいだけなのでは? やっぱりめいっぱい締めれば緩まないと思います。 しかし緩めたとき妙に固くなり次に締めるときも固くてネジ山がおかしくなっているのを感じることになります。 または破断します。 トルクレンチも持っていますが手ルクレンチ(?)でもホイールのネジも その他のネジも緩んだことはありません。 気が付いてないだけかも知れませんが知人も事故&故障になったと言われたことは無いですし。

akakitu
質問者

お礼

回答ありがとうございます。

  • k-ayako
  • ベストアンサー率39% (1225/3109)
回答No.2

緩み易くなるというのも状況によるかな。場合によっては最高の締め付けトルクとなることもあります。 #1さんの回答のように締めすぎるとボルトが伸びてしまい「再使用が不可」になるだけでなく、緩める段階で「切れる」リスクが生じます。 実際、伸びきった状態というのが一番緩みにくいと言われていてエンジンのシリンダーヘッドの固定には「塑性域締め付けボルト」と呼ばれる「戻らなくなるまで伸びきった(瞬間)状態まで締め付けて最高の締め付けを得る」というボルトを使っています。 塑性域でない通常のボルトは締め付けによってボルトが伸びる、伸びた分が戻ろうとすることで突っ張って緩まない・・・という理屈です。 塑性域を超えて伸びてしまうと張力がなくなるので緩む可能性がありますね。 また塑性域締め付けボルトは一度使ったら再利用できないので注意が必要です。 一般人がこのレベルのボルトを使うことはなく、通常使うようなものでトルクをかけすぎるとほとんどが「ネジの頭が切れる」という状況になるでしょうね。もちろん、ハブのボルトも同じことが言えますから締めすぎは非常に危険です。

akakitu
質問者

お礼

回答ありがとうございます。塑性域締め付けボルトなんて初めて知りました。

  • myeyesonly
  • ベストアンサー率36% (3818/10368)
回答No.1

こんにちは。 >工作機や家電製品等でも同じ事が言えるのでしょうか? いえると思いますよ。 自動車の場合は振動が激しいので、その傾向が顕著なのではないかと思います。 ナットを強く締めすぎると、ねじ山が変形してなめやすくなったり、ボルトに引っ張る力がかかりすぎ、降伏点まで行ってしまうとボルト自体が伸びてしまい、緩んでしまいます。 なので、力が加わっても降伏点まで行かない、余裕を持ったポイントまで強く締める、のがもっとも理にかなった締め方になると思います。 降伏点を超えて伸び始めても引っ張り続けると破断します。

akakitu
質問者

お礼

回答ありがとうございました。

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