>国会の場合法律案の発議は、その法律案が予算を伴うものであれば、贅成議員数はそれぞれ50人以上、20人以上必要とありますが(国会法56条1項)、これは地方議会でも議会で予算の提出について意見をすることが
認められているとの前提に立っているという証拠ではないでしょうか?
取り合えず、議会と行政の長が反発した場合に関しては、長野県田中元知事の「脱ダム宣言」絡みの攻防が参考に成るかと。
議会がダム建設の事業計画実施を決議(97条に基づく予算の増額決議)
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田中元知事が拒否。
(拒否権で決議を無効にしたかは、ちょっと記憶には有りませんが、一応知事には決議に対する拒否権は存在します。)
地方自治法 176条
1.普通地方公共団体の議会における条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定があるものを除く外、その送付を受けた日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
2.前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。
3.前項の規定による議決については、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。
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議会が知事不信任決議を可決。
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知事失職を選択し、再び知事選が行われる。
(この時は、田中氏は知事に再就任しています。)
まあ、ドロドロですね。(知事による議会の解散と言う手段も有りますし…。)
ちなみに、一応予算の減額に関しても決議は出来ます。ただ予算不足等(減額しすぎて足りなくなったり、増額しすぎて収入が追いつかなかった場合)で行政が執行できなくなった場合、議会での再議を行わなければ成らないので…。
地方自治法 177条 1項
普通地方公共団体の議会の議決が、収入又は支出に関し執行することができないものがあると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
まあ、一般的には「予算を伴う条例、規則等についての制限」と言う条項がありますから、議会は前もって賛同していた筈なのですが…。
地方自治法 222条
1.普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。
と言う訳で、私の解釈なのですが議会が出来る事は、行政の方向性を条例や議決で決定する事が出来、予算額について増減する決議をする事が出来るが、その予算の中からはみ出さない限りにおいて、細目を調整する権限は行政の長の専権事項ですから、100有る予算の内、10程度必要な事業が議決されていても、当年度予算で全額支出するとは限らない。(1とか2しか出さず翌年度へ繰越)
アメリカとかだと、議決毎に予算を決定する為、議会の意思を強固に行政の長に義務付ける事が出来るのですが…。
まあ、普通はそんな極端なのは…。まあ行政の長が頑強に抵抗すると、いくらか行政の長が有利に事態をすすめる事が出来る訳です。
(議会と紛糾しているからと言って、行政サービスを停止する訳にはいかない為)
そして議会が出来る最後のそして最大の抵抗が不信任決議です…。
お礼
具体的な事例、条文をもとに説明していただき、大変に勉強になりました。議会、行政ともにそれぞれ武器は持っていますが、日本の法制度上 行政のほうが若干有利なのですね。行政サービスを停滞させることは できないという理由付け、なるほどと思いました。私は今まで憲法41条 の国会の最高機関性(国の最終意思決定機関)を理由に、地方議会でも 議会の判断が長に優先するものと思っていました。議会と行政とは微妙な均衡の上に成り立っているのですね。どうもありがとうございます。