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「~みたく」 という言い方
既出の質問でしたら申し訳ありません。 九州福岡に住む40代後半の男ですが、ちょっと気になったのでお訊ねします。 「彼みたく頑張らなくてはいけない」 先日、TVのバラエティー番組で、ある出演者がこのように言うのを耳にしました。 「彼みたいに~」の意味だと理解していますが、 「~みたく」という言い方、気軽な会話などではよく使われるようですね。 用法には若干の違和感があるものの、最近、TVなどでは聞く機会も増えた気がしますし、 広く使われるようになってきているのでしょうか? ちなみに学生時代の昔、北海道出身の学友が既にこの言葉を多用しており、 「面白い言い方もあるもんだな」 と、不思議に思った記憶があります。
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関東の者ですが、まあ使います。20~30年ぐらい前には口語でちょいちょい耳にしていた気がします。「正しいと思うか?」と問われれば、yesと答える人は少なそうな感じですね。 書き言葉ではどれくらい広まっているのかと思い、ちょっとこの用例を検索してみました。 ●1991年の学習研究社から出た「いつでもこの世は大霊界」という本で、「……霊なんてものは、バイキンみたく、そこいらじゅうに……」という例があります。 手元に本はないので、これが会話文の中なのか地の文で使っているのかは判りませんが、学研が18年前に見逃したというのはおもしろいですね。題名から察するにあまり真面目な本ではないようだとはいえ。 ●1992年、久美沙織著・波多野鷹監修の「軽井沢動物記」という本の中にも「……ただちょっとアクセサリーみたくおいとくひとに飼われて、……」とあります。 ●2005年のyahoo知恵袋の書き込みで「……太ももまであるのと普通のパンツみたくなってるやつがありますが……」 ●同じく2005年yahoo知恵袋で「……できれば新生銀行みたくリアルタイムで為替を……」 ほか、適当に「パソコンみたく」とか「本みたく」とか「お金みたく」「人みたく」と、名詞に「みたく」をつけて検索してみると、かなり広まってるなとわかります。 (ちなみに「お金みたく」で検索したら「……現地人と間違われたみたくお金とられませんでした……」という例がヒットしてきて、活用する語にさえ下接されるようになってきたのかと着目されました。)
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おっと、もう一つ非常に興味深いHPを見つけました。 ttp://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/back/1501-1600/1571.html このページで、『言語生活』1968年(昭和43年)9月号の座談会の中で「みたく」という言葉が取り上げられている部分が引用されていました。 ------ (司会)「いまの若い人、『みたく』ということいいますね。『みたいに』とぼくらはいう。はじめ一人二人から聞いて、あ、これはおもしろいいいかただと思っていたら、もう非常に広がっているように思うんですけれども、どうでしょう。」 (見坊)「『つかれてみたくなった』とか?」 (司会)「そうじゃなくて。」 (曽野)「『こじきみたくなった』といういいかたでしょう、ぼろぼろになって。」 ------ このHPの執筆者も書いていますが、1968年ごろもう使っていたのかと思うと、発見ですね! 司会の方の弁では「もう非常に広がっているように思う」ということですから。 そうしてみると、40年間口語ではかなり使われ続けているのになかなか許容されない、逆に不思議な言葉という気もしてきます。
お礼
興味深いURLのご提示、ありがとうございます。 私は東京にいた頃に(約30年前)、「~みたく」という言い方を初めて知りました。 質問文にも書きましたように、北海道(道東)出身の学友が この言葉を度々口にしておりましたので、奇異に感じたのも事実です。 他にも、東北地方や北関東出身の友人に、この言い方を用いる人が多い印象でした。 ところで、「~みたく」が『東高西低』、あるいは『北高南低』なのは何故でしょう? 私見ですが、方言体系の異なる東海以西(主に西日本)では、この言い方は基本的に異質であり、 そこに住む人々にとっては違和感を拭い切れないからだ、と勝手に想像しております。 ご返事の趣旨とは異なるコメントになり恐縮です。 再度のご回答、ありがとうございました。
- born1960
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大阪でも日常会話で使いませんね。 TVや出版物の中ではみますが。 しかし、TVの影響で数年後には全国区になってるでしょうね。
お礼
関西方面でもこの言葉はまだ使われていないのですか。 参考になります。 こちら福岡でも、以前からこのような言い方には一切馴染みがなく、 現時点においては、若者たちの会話にすら「~みたく」が登場することはないようです。 しかしながら、TV等のマスメディアが与える影響の大きさを考えますと、 西日本にこの言い方が定着するのも、おっしゃるように時間の問題なのかもしれません。 ご回答いただき、ありがとうございました。
ご質問のような「~みたく」という言い方は、年々広まっているようです。方言というわけではありません。 現在のところは間違った言い方ということになっています。 江戸時代に「見た様な」「見た様に」という言い方が出てきました。 大正・昭和に入ってから次第に「みたいだ」「みたいに」「みたいな」「みたい」が使われるようになりました。 A.「みたい」は、当初名詞だけを受ける形で使われていました⇒「まるで彼みたい。」 B.その後、動詞の下に来るようになりました⇒「気がついたみたい。」 そして、Bのような使い方が広まってくると、すなわち「みたい」が動詞の下に来ると願望、希望、欲望をあらわす「~してみたい」との混同が始まります。 「食べてみたい」などの「みたい」とごっちゃになり、「食べてみたい」の連用形は「食べてみたく」ですから、そのような「みたく」に引きずられて「彼みたく頑張る」のように誤用してしまったわけです。 「~みたく」という誤用が生まれたのは、「みたいだ」という助動詞の語幹「みたい」を形容詞に近づけてとらえ、その連用形に引きずられたという説がありますが、美しい文章で有名な作家の丸谷才一氏の見解は、それよりも、先程の「食べてみたい」のような「補助動詞+願望の助動詞」の連用形に引きずられたということのほうが正しいと言っています。 ★結論 「~みたく」という言い方は広まっていますが、間違った語法で幼稚な感じがします。教養のありそうな人が言ったのを聞いたことはありません。 間違いの原因は、「食べてみたい」のような「補助動詞+願望の助動詞」の連用形に引きずられたということでしょう。 (以上は週刊朝日日本語相談を参考にしました)
お礼
詳しくご返事いただき、ありがとうございます。 これもまた大変に説得力に富むご回答で、よい勉強をさせてもらい感謝しております。 「見た様な・見た様に」 は江戸時代に、 「みたいだ・みたい」 などは大正、昭和以降に出現したとのことですが、 様々な言葉が新たな時代と共に生まれ出た……この事実を実感できるよい例だと思いました。 この「みたい」という語と、願望を表す「~してみたい」が混同され、その結果、 「~みたく」という新しい言い方が出てきた。 後者の連用形に引きずられた格好ですね! 私も教養のありそうな人物がこれを話すのを聞いたことはないですが、 TVなどでは若者のみならず、年配者の口からもこの言葉が聞かれるようになりました。 あの「ら抜き言葉」同様、市民権を得る日も案外遠くないのかな…? そう愚考する昨今です。
- sanori
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こんにちは。 「みたく」は、「みたい」の‘連用形的’な言葉であり、何十年も前から使われています。 特定の地域で使われているということではないです。 ではまず、これらの文を見てください。 「今回の成績トップは、どうも彼みたい。」 「あなたがその服を着ると、まるで彼みたい。」 普通の文に見えますよね? しかし、「みたく」だけでなく「みたい」も辞書には載っていません!!! 辞書に載っているのは「みたいだ」という(形容動詞的な)助動詞です。 (です・ます調では、「みたいです」) 「みたいだ」「みたいな」「みたいに」などのように活用します。 「静かだ」「静かな」「静かに」 「自由に」「自由な」「自由に」 「セクシーだ」「セクシーな」「セクシーに」 などと同じ活用です。 つまり、 文末が「みたい」になっていて、「だ」や「です」がついていないこと自体が、あまり正しくないのです。 本来は、 「今回の成績トップは、彼みたいだ/です。」 「その食べ方は、まるで彼みたいだ/です。」 です。 しかし、 「『みたい』は文末に来る言葉だ」という感覚があるために、 「『みたい』は文末に来る言葉だ」 → だから、何かの言葉の終止形だ → 『みたい』の終止形だ → 『い』で終わるから、「みたい」は形容詞だ という勘違いが発生します。 かくして、「みたい」を形容詞的にとらえて、その連用形のようなものとして「みたく」が使われます。 「美しい」→「美しく」 「早い」→「早く」 「みたい」→「みたく」!!! ご質問文の例文 「彼みたく頑張らなくてはいけない」 においては、 「彼みたく」は「(頑張らなくては)いけない」という用言を修飾しています。 用言を修飾するのは連用形です。 ですから、‘「みたい」の連用形’として「みたく」にするのは、感覚的には、ある意味正しいのです。 同様の例として、「好きだ」という形容動詞があります。 「彼のことが好き。」 これも、あまり正しくありません。 「好き」を(誤って)形容詞としてとらえて、その‘連用形’の「好きく」を使う人はいますよね。 たとえば、 「彼のことは好きくない。」 「焼き魚は好きくない。」 といった具合です。 これらも誤りですが、「ない」という用言を修飾するために‘連用形’にするという点では、感覚的には、ある意味、部分的に正しいのです。 【結論】 ・「みたい」「好き」を、「みたく」「好きく」とすること自体は、ある意味、感覚的に正しい。 ・しかし、その前の段階で間違っている。 すなわち、「みたい」や「好き」に「だ」「な」「に」などをつけずに使っている時点で、 すでに、あまり正しくなくなっている。(形容動詞および形容動詞型の助動詞の使い方の間違い) 以上、ご参考になりましたら幸いです。
お礼
大変に分かりやすい理路整然としたご回答、ありがとうございます。 文法などには疎い私にも、「~みたく」という言い方がどのようにして生まれたのかが 手に取るように理解出来ました。 「みたいだ」の「みたい」を形容詞的に捉えた結果、その連用形が「みたく」となり用言につながる。 たまに聞く「好きくない」という言い方も、「好きだ」という形容動詞から同じように派生している。 …… 言葉は生き物だということですね。 丁寧、かつ、すっきりとした長文のご回答に感謝いたします。 とても参考になりました。
三十年以上も使われている日本語です。 私は好きではないですが、東京の山の手でも子供が五十年前に使っていました。
お礼
ご返事ありがとうございます。 なるほど、この言葉は東京ではかなり以前から使われていたのですね。 私も学生時代の数年間を東京で過ごしましたので、関東の言葉には馴染みがあります。 「~みたく」という言い方は、まだ学生だった三十年ほど前にも確かに聞いた憶えがありまして、 「北・東日本方面の方言ではないのか?」 と当時は考えておりました。 早速のご回答、ありがとうございました。 参考になりました。
お礼
ご回答いただき、ありがとうございます。 この言い方は書き言葉にも急速に広まってきているようで、 ご紹介いただいた例は大変参考になりました。 「活用する語にさえ下接されるようになってきた」 ということは、この言い方、 広く日常語として定着してきた証し、とも言えそうですね。 私もつい先日、アンケートのある質問で、回答文中にこの語句を使用してみました。 肩の凝らない気楽な質問でしたので、試しにいいんじゃないかと思いましてね。 自分でも一度使ってみたかっただけなのですが、少しだけ気持ちが若返りました。