ご質問に即して答えると、それほどの違いがあるわけではありません。
ごく簡単にいうと、立憲君主制と共和制の違いは、(現代においては)国の元首を世襲とするか、選挙で選ぶかというほどの違いです。また、ドイツ、イスラエルなどのように、実際の政治は首相が行い、大統領は単に儀礼的なことしかしない国も少なくないので、そうなると単に定期的に変わる国王くらいの感じになってしまいますね。
しかし、形式的な違いはやはり大きいでしょう。特に英国の場合は、現在でも議会で施政方針を演説するのは女王であり(原稿は政府が書きますが)、政府はHer Majesty's Government(陛下の政府)、パスポートでも国民はCitizenなどではなく、Subject(日本的にいえば、「臣民」にあたる)と表記されます。
このようなことを考え併せると、英国においては形式的な主権者は相変わらず女王である、とも言えなくもない状態です。仮に、女王と政府との力のバランスが崩れたら、もとの専制君主制に戻ってしまう可能性だって否定はできないのです。
オーストラリアなど、英連邦諸国には、英国から「総督」が派遣されており、この総督が女王の名代として首相の任命など行っています。これも形の上だけで見ると「半独立国」のような感じがして、ナショナリズムに目覚めた人にとっては屈辱的に映ったのかも知れません(もともとの発端は、この総督の不祥事が次々発覚したことでしたけれども)。共和制に移行すれば、当然総督ではなく自分たちの選んだ大統領が政府を任命することになりますから、形の上でも“一人前”の独立国になるでしょう。それに伴い、「玉座を共通にいただく諸国の共同体」である英連邦諸国との結びつきは多少薄れ、経済的なデメリットもあるかも知れません。事例に則したメリット・デメリットはそういうところでしょうか。
お礼
詳しい御説明有難う御座います。もう一つ質問させて下さい。 >もともとの発端は、この総督の不祥事が次々発覚したことでしたけれども。 という事を知りませんでした。この事が詳しく分かる様なURL等を御存知有りませんでしょうか?御存知であれば是非教えて下さい。宜しくお願い致します。