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アハラノフボーム効果について教えて下さい。
http://www.nanonet.go.jp/japanese/nano/primer/nano05.html ここのページに分かりやすく解説してあるのですが、 外村さんが行ったアハラノフボーム効果の実験は、微少なリング状の細線に電圧をかけ、そのリングの中に磁場をいれるとその電流値が振動する、つまり抵抗値が振動する、というものですが、これはベクトルポテンシャルによって細線リングの右からと左からで位相がずれるために二つの電流が干渉しあって抵抗値が振動するものである、ということは分かるのですが、 ・位相がずれることで干渉が起きる、ということは位相がコヒーレントである必要があるわけですが、交流電流とかならコヒーレントな気がしますが、これはそうではなく、電子の波動関数の干渉によるものですよね?どうやって電子の波動関数をコヒーレントにしているのでしょうか? ・それと根本的なところが分かっていないのですが、単純にコイルに磁場を入れた場合、電磁誘導の法則でコイルに電流が誘導されるのはベクトルポテンシャル抜きでも当たり前のことだと思います。つまり、この細線リングに交流電流を流して右からの電流と左からの電流の位相をずらしてやれば、それでもインピーダンスに振動が起きそうな気がするのですが、どうなのでしょうか?
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●コヒーレントについて コヒーレントには、「空間的コヒーレント」と「時間的コヒーレント」がありますが、少なくとも「空間的コヒーレント」が満足されていれば「干渉」は可能になります。 たとえば、1本の電子線を二重スリットで2本の電子線に分けることで得られます。2重スリットからそれぞれ同位相で電子線が出射されます。それぞれのスリットから同じ距離進んで電子が出会う場合は、互いの位相関係が維持されているので、干渉し合います。これが「空間的コヒーレント」です。 「時間的コヒーレント」とは、時間的に正弦波の連続性が維持されていることです。時間的コヒーレント性が増せば、2つの電子線の経路長に差があっても干渉可能になります。 コヒーレント性を乱す主な要素は熱擾乱です。空中よりも導体中で顕著です。 極低温においては、電子のコヒーレント性を乱す要素(熱擾乱)が減りますので、超伝導状態でなくても短い距離であれば導体中でコヒーレント性は失われず干渉可能になります。 念のため、ここで云う「距離」とは、1本の導体からリングの端に入射した電子が2方向に分かれ、リングのもう1方の端で合流するまでの距離(リングの半分の弧の長さ)です。 電子がリングに入射して2方向に分かれるところが二重スリットに相当します。 ●抵抗の振動について ご紹介のHPで紹介されている現象は、直流磁場を印加したときの話です。 リングを貫通する磁束に応じて2方向に分かれた経路の電子の位相がAB効果によりずれるため、合流するポイントで干渉の強度が決まります。 ある磁束印加の際、電子が同位相で合流するとき、強め合うため、出口から流出する電子量は最大になります。 このとき、入口と出口の間の電気抵抗は最小になっています。 また、ある磁束印加の際、電子が逆位相で合流するとき、弱め合うため、出口から流出する電子量は最小になります。 このとき、入口と出口の間の電気抵抗は最大になっています。 印加する磁束をゆっくり増加させてゆくと、その過程でリング内の位相差がAB効果により大きくなり、2πの何倍にもなるため、その間に干渉の強弱が何度も繰り返され、その結果、電気抵抗の増減が何度も繰り返されます。「抵抗の振動」とはこのことを指します。 蛇足ですが、電気抵抗増減の山谷が何回繰り返されたかを数えれば、その間に磁束がどれだけ増えたか(もしくは減ったか)が正確に計測可能になります。
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- leo-ultra
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・>彼は電子が通るリングの金属部分を全て超伝導体で覆ってしまったのです。 というところなのですが、解説ページには、金属部分を超伝導体で覆うのではなく、金属部分自体を超伝導体にすることでマイスナー効果により磁場が直接電子に作用出来なくしたのではないのでしょうか? ひとつの解説に色々な話が載っているので、質問者は混乱されているようです。外村の実験は図2で、超伝導の話は図5で、扱っている内容が異なります。(私も勘違いをしていました。外村の最初の実験は図2の電子線を使った実験で、磁性体を超伝導体で覆って、磁場がもれないのにも関わらず、右周りと左周りの電子線が磁性体の影響を受けるというものだったような気がしてきました。) 解説にも図2の近くに「外村によって漏れ磁場が無いよう加工したフェライト、更に超電導体で囲った鉄ニッケル合金(パーマロイ)を用いた測定により、」と書いてあります。 >この磁場と電流の関係は磁場と電子が直接作用して起こる現象だということなのでしょうか? いいえ、まず最初にベクトルPotができて、それが磁場をつくると考えるべきです。 >リード線の部分を全て超伝導体で覆い、コイルに電流を流した場合、このコイルからは磁場は発生出来ないということなのでしょうか? 発生すると思います。超伝導磁石が有る意味でそういう形になっていると思います。
- leo-ultra
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> どうやって電子の波動関数をコヒーレントにしているのでしょうか? なにも邪魔が入らなければ、電子の波動関数は基本的にはコヒーレントなのです。普通の固体中では、熱振動や不純物などのコヒーレンスを壊すものがあるから、コヒーレントじゃなくなるのです。 この実験では、温度を極低温に下げて、熱振動を抑えてコヒーレンスを伸ばしています。 > ベクトルポテンシャル抜きでも当たり前のことだと思います。 確かアハラノフボームAB効果は、原因は磁場Bなのか、ベクトルポテンシャルAなのかは、簡単には区別できないはずだと記憶してます。ですから、質問者の疑問は当然です。 AB効果が磁場なのかベクトルPotなのかを明確に区別した実験をしたのが外村さんです。この解説でもわかりにくく簡単に書いてありますが、彼は電子が通るリングの金属部分を全て超伝導体で覆ってしまったのです。 超伝導体のために磁場をかけても、磁場は直接に電子が運動する領域には作用できないのです。でも現象は起こるということは、原因は磁場ではなくて、ベクトルPotが効いていると結論したのです。
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ありがとうございます。 でも、どうしても2点分からないことがあります。 ・>彼は電子が通るリングの金属部分を全て超伝導体で覆ってしまったのです。 というところなのですが、解説ページには、金属部分を超伝導体で覆うのではなく、金属部分自体を超伝導体にすることでマイスナー効果により磁場が直接電子に作用出来なくしたのではないのでしょうか? ・それとどうしても分からないことなのですが、コイルに電流を流すと磁場が発生します、逆にコイルに磁場をかけると電流が誘起されます。 この磁場と電流の関係は磁場と電子が直接作用して起こる現象だということなのでしょうか? 例えば鉄芯入りのコイルでリード線の部分を全て超伝導体で覆い、コイルに電流を流した場合、このコイルからは磁場は発生出来ないということなのでしょうか? 電流≠ベクトルポテンシャルなので、上記の理屈でいけば発生しないことになりますが、どうなのでしょうか?