アンモニアは弱酸なので、それを水に溶かしたときの化学平衡(下式)は、圧倒的に左に片寄っているので、わずかな量のOH-を生じるのみであり、弱いアルカリ性しか示しません。
NH3 + H2O ←→ NH4+ + OH-
それに対して、HClは強酸であり、水に溶かしたときの化学平衡(下式)は圧倒的に右に片寄っており、多量のH+を生じ、強い酸性を示します。
HCl ←→ H+ OH-
塩化アンモニウムを水に加えた場合の「考え方」は、まず、塩化アンモニウムの加水分解(下式:こう書くと加水分解とはいえないが)を考えます。
NH4Cl ←→ NH3 + HCl (NH4Cl + H2O ←→ NH4OH + HCl でもよいかも?)
この時に生じたNH3は弱酸なので、OH-を増やす作用はごくわずかです。それに対して、HClは強酸なので、H+を増やします。結果的に、そのH+と系内のOH-が結びついて水になります(なぜなら、こうならないと「水のイオン積」[H+][OH-]が10^14 (mol^2/L^2)にならなくなるからです)。
すなわち、NH4Clを加えることによって、相対的にOH-が減少し、アルカリ性が弱くなります。また、加える量によっては、酸性になることもあります。フェノールフタレインの変色域は、ややアルカリ性側によっていますので、NH4Clの添加によって色が消失したと言うことでしょう。
塩化ナトリウムの場合には、形式的に、加水分解によって生じるのがHClとNaOHであり、それぞれ強酸と強塩基なので、pHに及ぼす影響は小さいと言うことになします。
NaCl + H2O ←→ NaOH + HCl
なお、上述の「加水分解」というのは、あくまで説明のための考え方であって、それが現象の本質と言うわけではありませんので、念のため。
それにしても、今時の高校ではpKaを習うのでしょうか?