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昭和30~50年頃の風俗が描かれた小説
最近、林真理子さんの『RURIKO』『ファニーフェイスの死』や、山口洋子さんの『ザ・ラスト・ワルツ』を読んで、高度経済成長期を背景にした風俗が書き込まれた小説に惹かれるようになりました。同じような小説やエッセイがありましたら、紹介して下さい。お願いします
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中井英夫『虚無への供物』は推理小説として必ず名前が出てきますが、 昭和30年前後の風俗も(時代の風俗に敏感だった作家ですから)濃厚に書きこまれていたはずです。 54個の連作短編からなる『とらんぷ譚』は、こちらは1970年代の色濃い反映になっていそうです。 三島由紀夫からは三点くらいを上げておきます。 『鏡子の家』昭和34年発表。まさに同時代を描ききろうとした小説です。 『宴のあと』プライバシー問題にも発展した、当時の政治の内幕をあばいたもの。 『絹と明察』ワンマン社長が率いる一企業の、戦後的労働争議を扱っています。 野坂昭如は昭和40年代になってデビュー。長編も短編もエッセイも強烈に、 あの時代の猥雑にして涙ぐましい、笑い飛ばしてやるべき性風俗ではなかったでしょうか。 1969年を舞台にした受験生生活、庄司薫の「薫くんシリーズ」 『赤頭巾ちゃん気をつけて』『さよなら怪傑黒頭巾』『白鳥の歌なんか聞こえない』『ぼくの大好きな青髭』 は、サリンジャーとともに、次に来る世代による青春小説のさきがけとなったところがあります。 当時厳然として存在した「教養主義」の産物という指摘もあり、この方向から読んでも面白いかもです。 村上龍『69』は題名の通り、1969年の風俗から何かからを畳みこみ、ぶちこんだ感があります。 村上春樹が最初の長編『風の歌を聴け』で1970年(昭和45年)を薫じこめ、封印しようとさえしたのとちょうど対(つい)。 三田誠広『僕って何』の学生風俗もたぶんこの前後。 ところで、以上あげてきたのはすべて男性作家。 女性作家のものをほとんど読んでいないので、こんなアンバランスになりました。 けれども本当は、時代の風俗を具体的に具体的に、臨場感たっぷりに描きこむのは女性作家の方がはるかに熱心だし、たぶんとても得意なんです。 それともう一つ。その当時の小説家には、時代の風俗を書くのは、(風俗というものはどんどん変化してやまないものだから)、そこからまっさきに小説が古びてしまう、という考えが支配的で、風俗を正面から取り扱うことに必ずしも積極的でないという傾向がありました。 実際には小説は時代の風俗とともにある。時代の風俗を描くしかないものだと、あらためて気がついたのは両村上世代以降のことかもしれません。 あとから振りかえったほうが、その時代の特徴がよく見える、ということは言えると思います。 といって、その時代のまっただなかにあってどっぷり浸っていなければとうてい書けないものもあります。 むつかしいところですよね。両方当たってみるのがいちばんいい。 同種の本を探されるときのヒントになればと思いました。 ご参考まで。
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まずは、私の大好きな井上靖さん。 昭和30年におきた「ナイロンザイル事件」を元にした 『氷壁』 あとは『紅花』『遠い海』なんかもご希望の時代じゃないかと思います。 他にもたくさんありますので、興味が湧いたらどうぞ読んでみてください。 他にも戦後~昭和の時代の小説にはその時代の風俗も含め 描かれていると思います。 あとは渡辺淳一さん。 性描写ばかりが話題になり、偏った女性観には反感を持ちますが ちょうど、まさに昭和の30~50年頃のものなどは割りと面白く 特に服装や、夜遊び、食事や建物などへの描写や薀蓄が多いので その時代の風俗は面白いと思います。ただ庶民とはちょっと違うかもしれませんが。 活躍された時期も40年~50年代なので一読してもいいとおみます。
お礼
ありがとうございます。 「氷壁」は2年ほど前にNHKでドラマやっていましたね。玉木宏さん(ファンです)がでていたので覚えています。井上靖さんは他にも映画で「敦煌」を見て感動しました。でも、今まで一度も井上靖先生の原作本を読んだことがないことに今更気づきました。「紅花」「遠い海」も読んでみます。 渡辺淳一さんは短編集を中心に昔よく読んでいました。最近は「愛ルケ」のことばかり話題ですよね。
- inoue-a
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山崎豊子「不毛地帯」 宮本輝「泥の河」 はどうでしょう?
お礼
ありがとうございます。 山崎豊子は、「白い巨塔」「華麗なる一族」「沈まぬ太陽」は読みましたが、「不毛地帯」は未読でした。アマゾンでの評価もいいので、読んでみます!宮本輝は、「青が散る」は大好きでしたが、「泥の河」も未読でした。ご紹介下さって感謝です。
- tachan28goo
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○『水曜の朝、午前三時』(蓮見圭一著、新潮文庫) 戦後日本の高度経済成長期を代表する二大イベントといえば「東京五輪」と「大阪万博」。 この小説は「大阪万博」を背景とした恋愛小説ですが、万博の舞台裏やコンパニオンたちの確執などがリアルに描かれていて楽しめました。 http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E6%9B%9C%E3%81%AE%E6%9C%9D%E3%80%81%E5%8D%88%E5%89%8D%E4%B8%89%E6%99%82-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%93%AE%E8%A6%8B-%E5%9C%AD%E4%B8%80/dp/410125141X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1218755042&sr=1-1
お礼
ありがとうございます。 「大阪万博のコンパニオンの確執」、おもしろそうですね! こういう業界内幕ものを探していました。 アマゾンの評価では、読者によってばらつきがありましたが、一度読んでみます。
- reviewer
- ベストアンサー率34% (165/484)
下記の作品はどうでしょうか ・山本甲士 「三丁目の夕日」、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 小学館文庫 昭和30年代の古きよき日本を舞台に家族の触れ合いを描いた心温まる人情を描いた西岸良平原作のベストセラー漫画『三丁目の夕日』 その作品を映画化した『ALWAYS 三丁目の夕日』、その続編である『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の世界を作家山本甲士が小説化した本 西岸良平の原作漫画は巻数及びヴァリエーションが非常に多いので 原作の雰囲気を損なうことなく、映画化された世界を小説化した 山本甲士の作品を勧めておきます ・日本放送協会 NHKその時歴史が動いた 昭和史復興編 コミック版 集英社 NHKで放映されたドキュメンタリー番組「その時歴史が動いた」の戦後経済復興期を題材にした回をコミックで編集した本
お礼
ありがとうございます。 「3丁目の夕日」の小説があるとは知りませんでした。逆に「その時歴史が動いた」がコミックがあることも・・。 どちらかといえば、家族やドキュメンタリーというようりも、その当時の業界の内幕ものや人間関係が描かれた小説を探しています。
- dulatour
- ベストアンサー率20% (327/1580)
60年安保当時の 『二十歳の原点』高野悦子箸。恋愛と学生運動の間で自殺した京都の女子大生の自伝小説です。当時の実名の喫茶店や学生の風俗も描かれています。 ずっと下って 『限りなく透明に近いブルー』村上竜著。昭和50年ぎりぎりでしょうか。かなり当時としては前衛的な風俗です。
お礼
ありがとうございます。『二十歳の原点』、『限りなく透明に近いブルー』は有名ですが読んだことがなかったので、チャレンジしてみます。 ほかにも、高度経済成長期の業界内幕ものみたいな本を探しています。 林真理子さんの本は芸能界やファッション業界、山口洋子さんの本は銀座のクラブが舞台なので、そのようなぎらぎらした時代を感じれる本があればいいんですが・・。松本清張の小説のテイストも好きです。
- k16399638
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小説でもエッセイでもなくおこられそうですが、 サザエさん は、終戦直後から昭和50年代の風俗を楽しむ、調べるのにはもってこいです。
お礼
ありがとうございます。 サザエさんは大好きで、最近長谷川町子さんの妹さんの書かれた『サザエさんの東京物語』も読みました。良かったですよ!
お礼
丁寧な解説付きの回答をいただきまして、ありがとうございます。 リストアップしていただいた作品を一つ一つ見てきたいと思います。 (zephyrusさんのリストの中で私が読んだことがあるのは、村上春樹『風の歌を聴け』だけでした。) >その当時の小説家には、時代の風俗を書くのは、 >(風俗というものはどんどん変化してやまないものだから)、 >そこからまっさきに小説が古びてしまう、という考えが支配的で・・ そうだったんですか。でも、そうかもしれません。 その時代に書かれた小説よりも、現代からの視点で当時を書いた創作小説のほうがおもしろく感じると思います。 林真理子さんの『RURIKO』『ファニーフェイスの死』などのあとがきでは、その当時の資料を丹念に調べたと書いてありました。 他にも、『アッコちゃんの時代』なんかでも直近のバブル時代のことが描かれていますが、現代の視点から描かれていますので、その時代の滑稽さがより強調されていておもしろいのです。