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南オセチアの価値
グルジアが南オセチアのロシア占領軍排除にかかって、ロシア側の迅速な反撃に完敗しましたが、そもそもグルジアにとって南オセチアは必要なのでしょうか? チェチェンみたいに交通の要衝だったり、地下資源で儲かったりするのでしょうか?一思いに成金状態のロシアに売却でもしたほうが皆幸せに思えるのですが。
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南オセチアには鉛や亜鉛などの地下資源があります。 グルジアとロシアの国境であり、南オセチアやアブハジアも面している大カフカス山脈は、鉱物資源の豊かな地として旧ソ連時代から注目されていました。 その為、グルジアは旧ソ連時代には鉱物資源の供給地としての役割を担っていました。 ソ連崩壊と、それに伴う内戦や、開発した鉱山の資源が枯渇してきた事で、最近は鉱物資源の生産も減りましたが、それでも国内には、まだ有望な鉱脈が多数あると言われています。 特に、これまでは険しい山岳地帯の開発は、交通網などのインフラ整備が大変である事から避けられ、開発しやすい鉱山や鉱床が選ばれ採掘されてきました。 その為、大カフカス山脈にはまだ未調査の地域がかなりあるそうです。 南オセチアの地下資源の詳細はわかりませんが、先にも述べたように鉛と亜鉛が産出します。また近隣にはグルジアでも有数のマンガン鉱山があったり、金が産出します。国境を挟んだ反対側の北オセチアでは、亜鉛、鉛、銀が産出します。内戦で今は無理ですが、詳しい調査をすれば南オセチアに、さらに地下資源が発見できるかもしれません。大カフカス山脈に面した地域など有望でしょう。 かつてアジャリアの独立がグルジアに潰されたのも、アジャリアに国内最大の港があった事の他に、鉱物資源があった事もその理由です。 現在、グルジアは鉱物資源開発を経済復興の柱の一つとして力を入れ、外資なども呼び込んでいます。そうしたグルジアの地下資源を求める動きも一つの要因として南オセチアを求めたのかもしれません。 あとは他の回答者の方も言っているように、南オセチアを手放すとアブハジアやアジャリアなど、他の民族の独立を求める動きが加速し、グルジアに分裂の危機が起き国力を削がれる事になるからでしょう。 グルジアの防衛的観点から言えば、南オセチアは確保していた方が有利です。グルジアの仮想的はロシアです。(実際に戦っているのでもはや仮想的とは言えませんが) ロシア軍がグルジアに侵攻する場合、空から空挺部隊を投入するか、海から上陸作戦か、または地上軍により大カフカス山脈を越える事になります。大カフカス山脈からの侵攻は道が限られています。 もし南オセチアを確保していれば、北オセチア方面からの攻撃は山岳地帯で地形を利用し食い止める望みも出てきます。他のルートは別問題としてですが。 しかし、南オセチアが最初から敵で、ロシア軍がそこから攻撃を開始するとなると、首都方面にも黒海方面にも自由に大軍を送り込め、それをグルジア軍が阻止する望みはありません。 まあ、現状でこのような事を言ってもしかたありませんが。 なお、首都トビリシから黒海方面に行く主要道路は南オセチアを通過していません。近くは通っていますけど。 また、アゼルバイジャンの石油をグルジアを経由してトルコのジェイハン港に送る石油パイプライン「BTCパイプライン」は、2年前の2006年に完成しており、2006年6月4日には、ジェイハン港から最初の石油がタンカーに積み込まれています。完成式典も行われ稼動しているのです。 このパイプラインの計画が持ち上がった時、ロシアは自国領を通過するルートを採用させようとしましたが、失敗しました。もう過去の話です。ロシアは現在、新たな石油輸送戦略をとろうとしています。それはまた別の話になります。 なお、BTCパイプラインは、南オセチアを通っていません。
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- sudacyu
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No1です。 グーグルアースをインストールして地形を確認することをお勧めします。 グルジアの首都、トビリシは可航河川であるクラ川を下ってアゼルバイジャンを通りカスピ海まで出ることができますが、当然カスピ海は世界最大の湖であって、隣国やそれに近い外国のとの貿易港としてしか機能しません。 トビリシから、川をさかのぼって黒海側に進めば大きな盆地に至りますが、ここが南オセチアです。(盆地南部の川の南岸はオセチアではありませんが、事実上この地帯は一体の経済圏です。) オセチアの盆地から峠を越えれば、黒海に注ぐ河川の上流に出ることになります。 (トビリシ→ゴリ→カレリ→カシュリ→ツェスタフォニ:発音表記が違っているかもしれませんが。) トビリシから、オセチアやその南に接する平地を通らず、まっすぐに西に向かう街道はいくつかありますが、山岳地帯の谷間を通る街道でオセチアのような肥沃な平地はほとんどありません。
お礼
ご回答ありがとうございます。 交通の要衝とまでは言わないが、主要ルートをかすめているわけですね。
No.2です。 先の回答で問題の根底に触れていなかったことをお詫びします。 >ただ質問はロシアが南オセチアをほしがる理由ではなく、グルジアが南オセチアを必要とする理由です。 >そもそもグルジアにとって南オセチアは必要なのでしょうか? これは資源の問題に限らず、No.3様やNo.4様が仰るように、 グルジアの国力そのものの低下を防ぐことにあります。 通常国家の目的とは、如何に犠牲を最小限に抑えながら永続的に繁栄させるかにあります。 そのためにも自国を繁栄させるために、上手に重要な資源や交通ルートを押さえることも求められますが、 他国との相対的な地位を低下させる要因である、領土の割譲や重要な資源の死守をはじめ、 国力そのものを大幅に低下させることは、何としても回避しなければなりません。 >一思いに成金状態のロシアに売却でもしたほうが皆幸せに思えるのですが。 資源を除いても、短期的に考慮すればそのとおりかもしれませんが、 中・長期的な視野から見れば、マイナス面(ロシアのアメリカへのアラスカ売却)も多く、 それが必ずしも適しているわけではありません。 >民族問題が強いのでしょうか? 先にも触れましたが、バルカン半島全域の国々の特徴として、母体と成る一つの民族で構成されるのではなく、 様々な民族で構成されるため、慣習や風俗、価値観そのものが大きく異なることも多いのが挙げられ、 この地域全般で、些細なことからも内部摩擦にまで発展し、独立運動まで発生するケースはあとを絶ちません。 多民族国家の致命的な欠陥ともいえるのですが、他国から脅威とみなされたり、 潜在的な弱体化に加担させられる煽りに弱いことが挙げられます。 特定の民族に対する浄化が起こるのもこうした背景に原因があります。 我々日本人にとって、グルジアにとっての視点がわかりにくいと思います。 国民が均質で、本質的な価値観も近く、大きな政治的な摩擦の少ない日本(あまり多くの日本人は気づいていないが、日本の政治形態や社会基盤などは全体主義そのものといっても過言ではない)ではわかりにくいのですが、 もし、沖縄に華僑(大陸より)の人間が大量に住み着いたあげく、独立運動を展開した場合のケースを想定するとわかりやすいかもしれません。 >他にも何か合理的な理由があるのでしょうか? これは私見に過ぎませんが、 グルジアのサーカシビリは米英側とロシア側のどちら側についた方が、 自国にとって望ましいかを天秤にかけて判断した結果なのだと思います。 サーカシビリという人間は、アメリカ留学組ということもあり、 「アメリカの傀儡ではないか?」 という疑惑が一般には強いものの、 問題は彼が愛国者であるのか、単なるアメリカの傀儡に過ぎないのかということです。 私はこの男は、単なる傀儡ではなく、愛国よりの人間であると判断しております。 この男は少し前にも、西欧諸国が最も忌み嫌う、戒厳令発令や弾圧抑圧に手を染めたこともあり、 主に西欧諸国から疑惑の目で見られたこともあります。 (国家の安定を最大の課題とすると、通常、バルカン半島のような多民族国家を含め、国民の成熟度の低い国々では、指導者にカリスマ性があり、独裁政権下であるのが望ましい。) 私はそのこともあり、この男は愛国よりの人間ではないかと思います。 先にも述べたとおり、地政学的(安全保障上も含め)に重要であること、バルカン半島という特殊な地域であることから判断するに、 アメリカとロシアのどちら側についても、諸外国による分離独立運動の餌食になったであろう、と判断しています。 問題はアメリカではなく、ロシア側についたついたとしても、 米英側による国力の弱体化につながる分離独立運動を仕掛けられ、どちらにせよ国の存亡は危ぶまれていたと思います。 それも南オセチア、アブハジアというロシア系住民が多数占めることもあり、ロシアに頼るにしても、 何れ裏切られる運命にあったことを予見していたのではないか?と思うからです。 「願わくばNATOに加盟したい!」 これがグルジア上層部の人間の本音ではないでしょうか? 長文失礼しました。
お礼
ご回答ありがとうございました。 只グルジアはバルカン半島には含まれませんよ。
- oska
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>グルジアにとって南オセチアは必要なのでしょうか? 政府・国の「面子」だけですね。 (確か?)日本よりも狭い国土に、9民族が住んでいます。 ですから、(ロシアと戦って負けると思っていても)政府・国の強い意思を示す必要があるのです。 何もしなければ、各々の民族が「独立国家」を宣言し、グルジアがばらばらな小国家に分裂します。 つまり、国の存亡に関わるのです。 複数の民族を抱える国家では、(勝ち負けに関係なく)統治権力の意思を常に誇示する必要があるのです。
お礼
ご回答ありがとうございました。
平たく言うと、南オセチアの価値は、戦略上極めて重要な位置にある、地政学上の資産であることです。 地下資源や交通の要であるという問題ではなく、ここがカスピ海経由のパイプライン上きわめて重要なルートを保持しているのです。 ユーラシア大陸全般に言えるのですが、単一民族だけで国家が構成されるというより、 周縁国にさまざまな民族が混在する多民族国家であることが特徴として挙げられます。 例えば、ウクライナひとつとっても、国は真っ二つといっていいほどで、 ウクライナ国内にはロシア語しかできず、ウクライナ語のできない人間も大勢存在します。 また、多民族国家の一つの特徴として、国民がある程度成熟していないと地域全般が不安定になることがあげられます。特にバルカン半島全般ではその傾向が極めて顕著です。 例えば、質問者様が今回例に挙げた、 グルジア領土内の南オセチア(ほぼ独立しており、中国と台湾との関係に近い)に限らず、 アブハジア(こちらも同様)に至っても、 住民の過半数は、ロシア正教会を基盤としたロシア系の住民で占めていることが挙げられます。 嘗ては共産主義国の一つの大義名分の下で、民族問題を制御し舵取りを行うことができましたが、 旧ソ連の多面的な統治から開放されたこともあり、 現在では、遺産としての面影よりも、本質的な民族問題が噴出している状況であり、 元々燻っていた火の粉が本格的に噴出した状況であることがいえます。 現在のロシアの状況を少し整理しておきましょう。 石油と天然ガスに特化してしまうと、ロシアは欧州のエネルギー需要の1/4も押さえており、 加えて、ユーラシア大陸のかなりのパイプラインを掌握しております。 現在のロシア経済の好調が、石油や天然ガスといった資源の高騰による恩恵を享受している結果であるのは紛れも無い事実です。 化石燃料の高騰が続く限り、海外からの輸入品が急増したところで、経常収支の悪化にも十分対応ができ、 対外債務の問題も発生しにくくなるので、十分外交的にも優位な状況が作り出せます。 しかし、当然、資源高に自国の経済を委ねるので、 価格の乱降下により自国の経済の舵取りを困難にさせることが予想されます。 実際に、高価格化を維持するために、外交的なコストも計る必要があります。 今回の背景がまさにそれで、カスピ海油田を中心としたエネルギー資源争いにあり、グルジア→トルコ→バルカン半島→欧州というラインが完成されれば、 ロシアとしてはエネルギー資源外交の一部を失うことにもつながるため座視できないようです。 また、想定されるのは、戦略上の争いであるものの、 ロシア国内のナショナリズムの煽りも後押したことも無視できません。 グルジア共和国のサーカシビリ大統領が親米の人間(仮面を被って振りを演じているだけかも)であり、 南オセチアのエデュアルド・ココイティ大統領はロシアよりの人間であることは押さえておいてください。 これらのことからも米露(間接的であれ主要各国の思惑もあり、様々な国々が後ろに控えている)間の代理戦争として勃発した経緯であることを整理しておきましょう。 日本国内ではあまり実感がわかないでしょうが、 海外メディアでは北京オリンピック以上にこの模様を伝えております。 尚、情報が錯綜していることもあり、単純な善悪二元論で片付けられない背景があります。 下記を参考に、自分なりに地理的な要因を確認してみてはいかがでしょうか? また、今回の発端を日本国内でも見事に予想していた人間も存在します。 «参照» ・Google earth http://earth.google.co.jp/ ・露機関紙の不気味なシグナル http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200807020015o.nwc
補足
ご回答ありがとうございます。 ただ質問はロシアが南オセチアをほしがる理由ではなく、グルジアが南オセチアを必要とする理由です。 民族問題が強いのでしょうか? 他にも何か合理的な理由があるのでしょうか? グルジア→トルコ→バルカン半島→欧州のパイプラインルートに南オセチアを通っているのでしょうか? アメリカがカスピ海油田のパイプライン網を親米国で寸断したいのでしょうか?(それにしては、グルジアがロシアの手のひらの上で転がされているばかりに見えますが。)
- sudacyu
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グルジアの地図を見た上での質問でしょうか? グルジアの国土は二つの大きな山脈に挟まれた形になっており、その首都トビリシは内陸部にあり、農業地帯である平野と貿易港はトビリシとは反対側の黒海に面した地域にあります。 このトビリシと黒海沿岸を結ぶ交通路部分に接している盆地で、ロシア国境までの地域が南オセチアです。 日本で言えば、関東と関西との間の、甲信越地域(山梨・長野・新潟・富山)という感じでしょうか。 南オセチアがなければ、グルジアの国土の中心部分の幅が半分以上なくなり、首都と黒海沿岸が、国土の背骨となる川とその谷(と言っても、大陸ですからかなり広いですが。)だけでつながっていると言う形になります。
補足
ご回答ありがとうございます。 wikiを見た程度で地図はありません。 ただ南オセチア自治州はグルジアを南北で見た距離の3分の一から5分の一程度で、甲信越地域に例えるのはあまりに過大に見えます。 単純に首都と黒海を直線で結ぶと国土の南側を通ることになりますが、南オセチアがグルジア東西交通の要地ということでしょうか?
お礼
ご回答ありがとうございました。 現状では地下資源はそれほどないが将来の可能性は見込まれる、ロシアに戦略上の策源地を渡したままにしとくわけには行かないといった理由ですね。