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株式交換で完全親子会社関係を作ることの利点
会社法を学んでいます。 バブル崩壊の影響で景気がどん底の1999年に、完全親子会社関係を容易に設立できるよう「株式交換」が設立されましたが、なぜ完全親子会社関係の設立を急いだのかが分かりません。 それまでの「企業買収」により”完全”は難しいとしても、株主総会の特別決議や普通決議の可否決権を取得するのは可能だとは思います。なぜ、”完全”親子会社関係を設立したかったのでしょうか? (疑問を持つ箇所のピントが外れてるのかな・・?) ご存知の方がいらしたら教えてください。 よろしくお願いします。
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実務の立場から、100%子会社であることで得られるメリットとして、 (1) 会社の意思決定に第三者(=少数株主)の意向を介在させなくても良くなる。少数株主が残存する場合にも、持株多数決という形で決議が可能であるが、臨時株主総会開催や少数株主の権利主張(株主代表訴訟・反対株主からの株式買取請求)といった手続面の問題が残る。 (2) 連結会計制度の中で利益が外部に流出させないことが可能。主要株主である親会社が資金・人材といった経営資源を投入した結果で得られた利益を、経営上のリスクを取らない少数株主が応分割合で享受できる部分を修正できることになる。 (3) 100%株式=子会社の経営権の譲渡・取得という形態で、事業・営業権の売買や他社との業務提携(例:子会社同士の合併)が可能になる。選択と集中というキーワードでの事業再編プロセスで、他社との提携・事業単位の売買をする前段階では株主関係を整理することが必須になる。場合によっては、持株会社形式による事業統合・他社との並列・上下合併が可能になる。 (4) 子会社を本体の一事業部として位置付けて、人事・資金・事業・配当といった全体政策について独立把握が可能になる。親会社が経営資源を積極投入して、事業を拡大し得られた利益の中から配当という形で還元を図る。あるいは事業単位での子会社に自主性と事業責任を明確にすることで、親子間や子会社間での競争原理を導入できる。仮に事業がうまく行かない場合の整理・集約の判断もシンプルにできる。 バルブからの経済復活にあわせた、企業側の事業再編の手段として会社買収やM&Aの事例が多発化、あるいは海外との法制度との整合といったことを背景にして対応する法制度が整備された、という個人的な理解をしています。 株主総会の特別決議を要件にしての自治を優先させつつ、少数株主に対しては、適正評価に基づく応分の金銭メリット(上場親会社株あるいは金銭)を得る事で、子会社に対する部分的な経営権を放棄することを求める、金銭メリットへの異議がある場合は裁判所という客観機関での救済プロセスを残しておく、という経済合理性をもって株主平等原則を一部修正する、という感じではないか、と考えます。
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