環境、経済を含むあらゆる行為には、常に+の結果とーの結果が生じます。個人の毎日の行為でも、成功や失敗から今度はこうしようと考えるでしょう。この評価と反省、改善と学習がフィードバックです。政府間レベルでの事業では、計画時には+面が強調されて事業や援助が行われており、-面のことは無視されがちです。
たとえば、アフリカの小麦、トウモロコシ、高粱を主食とする地域が食料飢饉になっている現時点で、日本政府が米を援助すれば、当面の飢餓は回避されます。しかし、現地がうまい米を継続して食べたいと希望したら、援助の継続か地域農業に巨額な投資が必要になります。善意の援助物資が結果として農業を荒廃させぬよう、注意深く事業を行わなければなりません。
事業の、事前、中間、終了後に地域に及ぼす、及ぼした影響を、設定したモニタリング項目の変化から事業効果を評価し、的確に対応策を追加したり、中止することが、事業効果を高めるため必須となります。この過程での学習も次の事業に備えるため大切です。
JICA(国際協力機構)がPCM(Project Cycle Management)手法を採用しているのは、巨額な事業費に対する外部の評価に耐えられるよう、必要な対策(フィードバック)を適切に追加するためです。
環境問題を例にとれば、レジ袋の廃止などでお茶を濁したり、原子力発電は運転中は炭酸ガスの負荷量は少ないとPRしても、それが環境全体に果たす効果や核燃料製造、廃棄物の保管、原子炉の解体までをモニタリング・評価すれば、環境への考えも変わる(フィードバック)と思います。