知恵袋でも質問されているようですが、フォトトランジスタの直線性が悪いというのは少々誤解があります。知恵袋の回答と同じ主旨になりますが、光強度と出力電流が比例関係にあるような(直線性の良い)光強度の範囲が狭いというのが正確な表現だと思います。その原因は増幅回路(トランジスタ)を付加しているからです。したがって、フォトダイオードの電流をトランジスタで増幅した場合も同じことが起こります。
フォトトランジスタはフォトダイオードとトランジスタを組み合わせた素子で、フォトダイオードの信号をトランジスタで増幅しているので、フォトダイオード単体よりも出力信号(電流)が大きくなります(下図)。
フォトトランジスタ
↑ ・
電│ ・ ・フォトダイオード
流│ ・ ・
│・ ・
└────→
光強度
したがって、取り出せる電流の大きさが決まっている場合、光強度と出力電流が比例関係にあるような(直線性の良い)光強度の範囲は、フォトダイオードに比べてどうしても狭くなってしまいます。つまりフォトトランジスタは直線性が悪いのではなく、直線性の良い範囲(ダイナミックレンジ)が狭いのです。ダイナミックレンジが狭いのはトランジスタを付加したためで、本質的にフォトトランジスタの特性が劣っているわけではありません(もちろん、フォトトランジスタのトランジスタ部分の特性は直線性重視で設計されているわけではないので、単体のトランジスタよりも劣るでしょうが)。
一般に、精密な光強度の計測にはフォトトランジスタは使われません。そのような用途では、フォトダイオードとOPアンプの組み合わせが用いられます(トランジスタは増幅率のバラツキや増幅率の温度依存が大きいのであまり使いません)。フォトトランジスタは欠点だらけのように思われるかもしれませんが、トランジスタを内蔵しているのでフォトダイオードより感度が良いのはもちろん、後の信号処理回路が簡単になったり、微小電流が流れる信号を外部に取り出さずに済むのでノイズに強いなどの利点があります。フォトトランジスタの特徴については参考URLの回答が参考になるかと思います。
お礼
丁寧な説明ありがとうございました。とても助かりました。