すべての指名手配犯に対し、通常逮捕状が発付され、1か月ごとに有効期間が更新されています。指名手配犯を発見したら、この逮捕状により逮捕します。例えば、神奈川県警察が逮捕状を保管していて、青森駅近くの路上で指名手配犯によく似た者が発見された場合、青森県警察の警察官が、最寄りの警察署などに指名手配犯を任意同行した上、指紋等の任意提出を受けたり、身上事項の確認したりして本人確認を行った後、警察官は逮捕状が発せられている旨と被疑事実の要旨を口頭で指名手配犯に告げて逮捕します。これを「通常逮捕状の緊急執行」と称し、逮捕後に逮捕状請求(司法巡査も請求可)をする緊急逮捕と区別されます。
指名手配犯の場合、現行犯人逮捕や準現行犯人逮捕の要件を満たしませんし、指名手配犯自身が警察官に自首した場合は緊急逮捕もできますが、逮捕状は既に発付されていて緊急執行ができるので、わざわざ緊急逮捕をする必要もありません。
プライベート時の警察官、海上保安官(補)、検察官及び検察事務取扱検察事務官も、指名手配犯を発見した場合、私人として110番通報又は最寄り警察官に通報した上、動静を監視し、逮捕に協力するくらいで、事実上、指名手配犯の本人確認ができませんから自ら逮捕をすることはあり得ません。万が一酷似した別人を誤認逮捕した場合、当該公務員が逮捕監禁罪に問われたり、損害賠償を請求されたり、免職、停職、減給、戒告+昇給延伸措置という懲戒処分(減給以上は併せて辞職勧告)や管理監督上の措置(訓告+昇給延伸措置、厳重注意+勤勉手当減額など)を受けたりするなど法的責任を追求されるリスクもあり、逮捕時の受傷にしても公務災害適用上の問題があり、また別に職権行使について管轄区域の制限も生じますので、プライベートでの職権行使はあり得ません。
検察事務官(検察事務取扱検察事務官を除く。)は、上記問題のほか、そもそも法律により独立して捜査はできず、上司の検察官(検事、副検事、検察事務取扱検察事務官)の指揮を受けなければ逮捕できません。
ただし、私人として警察官の逮捕に協力することはでき、受傷しても法律で補償制度があります。
したがって、職務時間外の捜査官が、指名手配犯を緊急逮捕することはありません。