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取消の効果
こんにちは。 ふと疑問に思いましたので質問しました。 AがBをだまして、A所有の家をBに売却したとします。その後、その家が隣家からの火事に巻き込まれて、全焼したとします。BがAの詐欺を理由として、AB間の契約を取り消した場合、Bは支払った代金を返してもらうことができますが、Aは全焼した家を返してもらうだけになるでしょうか。 BはAから何らかの負担を求められることがあるのでしょうか?
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>BがAの詐欺を理由として、AB間の契約を取り消した場合、Bは支払った代金を返してもらうことができますが、Aは全焼した家を返してもらうだけになるでしょうか。 そのとおりです。なぜそうなるかは、不当利得理論に触れる必要があるのですが、不当利得理論は学説で華々しく議論されている分野であり、これから回答する理論構成は、必ずしも学説の支持を得ているわけではないのですが、結論は同じなので、オーソドックスな説明をします。 Bの詐欺取消の意思表示により、本件売買契約は、契約時に遡って無効になります。(民法第96条第1項、第121条本文)そうすると、Bは法律上の原因なくして、Aから建物を取得したことになりますので、Aに対して不当利得として建物を返還する義務が生じますが、Bは善意なので、返還すべき範囲は現存利益だけでいいので、全焼した建物をそのまま返還すればよいことになります。(民法第703条)したがってAとしては、火を出した隣家の人に不法行為に基づく損害賠償の請求(民法第709条)をするしかありません。(ただし、「失火ノ責任ニ関スル法律」により、失火者に重過失がある場合に限られます。) もっとも、Bが例えば火災保険金を受領した場合は、現存利益があることになりますので(焼失した建物が保険金に形を変えている。)、その場合は、BはAに対して受領した火災保険金を渡す必要があります。
お礼
ありがとうございました。理解できました。