- 締切済み
出版差止めの法的根拠について
憲法を勉強していますが、名誉・プライバシー侵害に対して、著作物の出版を差し止める法的構成がよくわかりません。 エロス+虐殺事件(東京高決S45)※出版ではありませんが 北方ジャーナル事件(最判S61) 石に泳ぐ魚出版差止請求事件(最判H14) の関係はどのように考えたら良いのでしょうか? いずれも、憲法論として、名誉・プライバシー権保護の観点から、 差止が認められる立場からの判示なのはわかるのですが、 民事保全法上の一般的な仮処分(民保23、24)の話と、民法723条の「適当なる処分」の話と憲法論の関係が、どうなっているのかが、 教科書を読んでいてもわかりません。 もし、ご存じの方がいたら、アドバイスいただけませんか? 宜しくお願いいたします。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
みんなの回答
- utama
- ベストアンサー率59% (977/1638)
名誉やプライバシー侵害を防止するために他人の行為を差し止める法的根拠は「人格権に基づく差止請求権」です。 もっとも、民法上(その他の法律上も)、人格権に基づく差止請求権を明文で認めた条文はありません。しかし、人格権の性質上、その保護のためには差止請求権を認める必要があるというのが、通説であり判例です。 財産権の侵害であれば、財産的な損害賠償によって被害を回復することが可能です。しかし、人格権侵害については、慰謝料という形で被害を償うことはできても、お金をもらったからといって、侵害された人格権そのものが回復されるわけではありません。したがって、人格権侵害の発生が予測されるときには、あらかじめその行為を差し止め、人格権侵害を回避するべきであるという法的価値判断が理由です。 この差止請求権は、憲法と民法(特に不法行為分野)の総合的な解釈によって認められるもので、民法723条という特定の条文の類推や拡大解釈であるとは通常考えません。 また、民事保全法上の仮処分(23条2項の仮の地位仮処分が問題なります)は、憲法論上考慮する必要はありません。正式裁判で差止請求ができる、すなわち、差止できる地位にあることを認めてもらうのが本来です。しかし、正式裁判では時間がかかるので、仮処分によって、仮に差止できる地位にあることを認めてもらうことができます。
お礼
早速、ありがとうございます。 723のの類推や拡大解釈であるとは考えないとこと、勉強になりました。 なお、仮処分の件ですが、北方ジャーナル事件(最判S61)は仮処分としての差止めが憲法上許されているか、という論じ方をしているので、まだ、ピンときていません。