京都議定書が及ぼすリスクについて.....です。
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じつは、こちらについては「余り影響が無いのでは?」と考えられます。
といいますのも、京都議定書に関連する諸規制(基準)は参考URL「新たな地球温暖化大綱(全文)」を見れば解るんですが、自動車業界にとっては結構楽な物みたいなんですね。
例えば、表3に各車種の省エネ目標が出ていまして、確かに、「省エネが進んでいる日本としては、これ以上の削減は辛い」とも言えますが、実情を見ると、トヨタが既に目標を達成しつつある等、技術面では解決策が見えている様子です。
となると、残されるのは「トップランナーへの政策面でのインセンティブ」などでしょうが、これも経営リスクとなるほどの影響度を政府が出せるか....となると、相当疑問だと思いますし、インセンティブが大きな場合、遅れているメーカーは改善策を早急に打ち出すでしょうから、実質的には差が僅少となるように思います。
(各社とも、そういう面では十分な技術力を持っていますし、車が売れる要素としては、他の影響が大きいですから。)
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ただし、「自動車の利用も視野に入れた削減」がどういう風に響いてくるか....でしょうか。
日本の燃費規制は、言い切れば「クラス別燃費改善目標」ですんで、実際にどういう車種が売れるか、更には、どういう車種がどの位の距離を走るか(どういう交通状況に遭遇するか?)によって、効果が相当変ってくるでしょう。
例えば、ガソリン車が減少して、(ガソリン車より効率の高い)ディーゼルが増えれば炭酸ガス面では効果が出るでしょうが、「輸送の海運へのシフト」が上手く行かず、かつ大型車が増大した場合等は、効果が出ない可能性もありますよね。
で、効果が出なかった場合....。
車関係に、より厳しい環境税が導入される可能性は有るでしょう。
環境税というのは、大気汚染物質の抑制を達成するために、例えば環境に負荷を与える商品とかサービスなどに課税して、それらを財源にして環境保全等を更に推進すると共に、「消費者の選択の自由を尊重しながらも、消費者がより低負荷の製品を選択する場合のインセンティブ」として導入するものです。
自動車業界ですと、1998年にハイブリッド車・電気自動車等の自動車取得税の軽減がなされましたよね。
で、環境税がどのくらいで出るか?というのは、これはその時点の炭酸ガス削減状況と景気動向によりますが、大きなものとして出た場合、販売台数自体の減少として出る可能性は幾分あるでしょうが、これは現時点では算定不可能な(少なくとも私には)リスクです。
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結局、「現時点では、削減目標が示されていても、現在までの技術および技術開発の延長線上で達成可能なものであり(※)、それゆえに、既に経営リスクと言う面では折込済みの物とみなすことも出来よう。(影響は殆ど出ないのではないか?) ただし、仕上がり値は国際的な合意としての縛りを受けており、達成率如何によっては、状況が変化することも十分予測され、その場合は何らかの影響(追加対策等)が出ることも考えられるが、それについては現状では予測不可能である。」という辺りが妥当では無いかと思います。
お礼
ホント感謝です。三回も回答していただくなんて。 これでかなり卒論のほうが進みそうです。 ありがとうございました。 最高です 良良良回答でした。