一般に「共産主義」と言えば「マルクス・レーニン主義」ですので、それを前提に話をします。
共産主義はそもそも「プロレタリアート(労働者)独裁」を掲げており一党独裁を必然のものとします。
また計画経済は中央の命令を絶対として、それに反する事を許さなくなります。
「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」の言葉通り、共産圏の国家は例外なく腐敗し、いわゆる「赤い貴族」という特権階級を生み出しました。
また計画経済に逆らうことが許されない、と言うことは必然的に誤った計画であっても遂行され、かつそれを修正する事が出来ません。
例えば農業の集団化は、伝来の土地にこだわる農民の反発を招きましたが、多くの場合「血の粛清」という形で反対勢力は根絶やしにされ、かつ農民達の労働意欲を削ぎました。
また中国の大躍進政策においては、毛沢東の指示が絶対のものとされた過った農政により大凶作となり、しかも「計画の誤り」を認める事が出来ないため、「大豊作」を前提とした政策が何年も続けられ、最終的に数千万人とも言われる膨大な餓死者を出しています。
程度の違いはありますが、このような問題は全ての共産圏国家に共通しているのです。
言わば「共産主義」は、人間は常に過ちを犯す危険性があり、批判されなければ堕落する存在である、と言った基本的な良い面も悪い面も共にある「人間性」というものを無視して、理想を追い求めた結果、その切り捨てた「人間性」に足下をすくわれ、失敗した体制と言えるでしょう。
なお実在の共産主義を「あれは本当の共産主義じゃない」というのはよく言われる言い訳ですが、それは「ナチズムは本当の国家社会主義じゃない」「太平洋戦争の時のものは本当の大東亜共栄圏じゃない」と言うのと同レベルの話に過ぎません。