いえ、むしと共産主義の考え方の一部は、現在ほとんどの先進国に取り入れられていると言って良いでしょう。
資本主義=自由競争。国家・政府は競争に対して放任して、民間に任せる。勝ち組・負け組みの差が開く短所がある代わりに、勝ち組はどんどんその能力を高くして、世界レベルで戦える企業となり、その国の経済を支えてくれる。
共産主義=結果平等。競争を自由に任せると、能力や資本の違いによって結果に差が出てしまうので、国家・政府がそれに介入して、皆の結果を合計して、その報酬は皆に均等に分け与える。国民の間で所得に差がなくなり、平等な社会に近づける。ただし、結果がどうあれ報酬はきちんともらえるので、仕事を怠ける人も出てくれば、有能な人は仕事をするのが馬鹿馬鹿しくなり頑張らない状況を生み出しやすい。その結果、資本主義を取り入れている国と比べて、国力が伸び悩む。
このように一長一短ありますので、ほとんどの資本主義国は一部共産主義的な考えをベースに政策を取り入れています。
日本でも、農業への補助金や、地方への補助金がそれにあたります。東京などの都市部に集中している工業や情報産業の方が儲けていますので、儲けの少ない地方や農業に回すことで、日本国民を少し平等にしているわけです。
特に昔から言われているのが、「民間がある程度大きな力をもてば資本主義に基づく自由競争をさせるべきだが、まだまだ民間が弱い段階では、国の介入で民間がある程度の力を持つまで助けてあげた方が経済はうまくいく。」という考えです。
日本の工業で言えば、戦後間もなくはどの産業も壊滅状態だったので、国が外国製品に関税をかけるなどして日本製品が売れるように介入することで日本の産業を守れたが、現代のように日本が世界的に強くなれば、むしろ外国製品の輸入も自由化させたほうが、値段競争・技術競争に揉まれてより産業が強くなる、という感じでしょうか。
そういう意味では、共産主義は、自立を積極的に助ける目的があり、資本主義には自立した個のさらなる発展を邪魔せずに見守る目的があるといえます。
人なり産業が成長していく過程で、必要なのは「自立のための支援」なのか、「進化・発展のための努力を邪魔しないこと」なのか、タイミングによって使い分けることが必要になってくるのだと思います。
お礼
回答ありがとうございました。とても分かりやすい説明で、参考になりました。