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ウイルスは薬で死なない!?
病気になるのは、「細菌」か「ウイルス」の2種類の原因があり、ウイルスは薬では殺せないと聞きました。 また、逆に細菌は何故薬で死滅するのでしょうか。 ご存知あれば、教えて頂ければ幸いです。
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獣医師でウイルスの専門知識を有する者です。 まず、「病気になるのは細菌かウイルスの2種類」というところがまず違います。病気といっても他にガンとか糖尿病などの感染症でない病気もたくさんありますからね。 ですから、質問の趣旨からここは「感染症になるのは細菌かウイルスか・・」ということになるかと思うのですが、それでもまだ間違っているのは、いわゆる「病原体」には他に真菌や原虫、寄生虫など様々な種類の微生物が関与するものがあるからです。まあ寄生虫病を「感染症」というかどうかは微妙ですが。 というところを踏まえて本題のウイルスの話に入ります。 ウイルスが細菌や真菌などの他の微生物と決定的に違うところは、微生物も含めた他の生物の全てが"細胞"を構成要素としているのに対し、ウイルスはそうではない、という点です。 細菌には抗生物質が効くのですが、それは抗生物質が例えば細菌の細胞壁合成を阻害したりといったように「細胞のとしての生命活動を阻害する」からです。 ところがウイルスは細胞ではなく「生命活動」をしていないので、抗生物質はそもそもウイルスには無意味、というわけです。 細菌を含めた「細胞」は、自らの設計図すなわち遺伝子を細胞内に持ち、そのコードに従って細胞外から取り込んだ物質を細胞内で他の物質に変換し、その過程で生じた不要な物質を細胞外に排出するという作業を行っています。抗生物質に限らず、ほとんど全ての「薬」は、その過程のどこかを阻害したり促進したりするものなのですが、そういった作業を何も行っていないウイルスに対しては無意味、というわけです。 ヒトに毒を飲ませれば身体を壊したり死んだりしますが、プラスチックの箱に毒をかけても何も起こりません。それと同じです。 ではなぜウイルスが「生物」と呼ばれているのか、ですが(生物ではないという人もいたりしますが)、それはウイルスも遺伝子を持ち、増殖するからです。 ただし、ウイルスは遺伝子は持っていても増殖するための機構、すなわち遺伝子を翻訳したりそのコードに基づいてタンパク質を合成したりする細胞内小器官を持ちません。 なので「生きている細胞」の内部に侵入し、その細胞の"工場"に自分の設計図を読ませて製造してもらう、という増殖の仕方をしているわけです。 例えば細胞を、設計図を納めた書庫があり、その設計図をコピーするコピー機を持ち、材料の搬入口と完成した製品やゴミを外に出す排出口、それらの間で働くオペレーターがいる小さな工場に例えれば、ウイルスは中に設計図が1枚入っているだけの小さな箱、をイメージしていただければ、まあ大筋では間違いないかと。 抗生物質や"薬"は、工場内部をかく乱させる工作員だったり、意図的に作成された指示書だったり、すり替えられた材料だったりするわけですが、ウイルスには無関係なのはイメージしていただけると思います。 ちなみに「抗ウイルス薬」ですが、上ではシンプル極まりないウイルスのイメージを例えましたが、実際はもう少しだけ複雑な構造で、しかも非常にバリエーションに富んでいます。 箱といってもちょっと濡れただけで壊れてしまうダンボールの箱や、丈夫なプラスチックの箱もありますし、箱が風呂敷で包まれているものもあったりします。 さらに中に入っている設計図、すなわち遺伝子がまたバリエーションに富んでいて、感熱紙のようなちゃちな紙の設計図、白黒反転された設計図、1枚じゃなく何枚にも分けて書かれている設計図など、非常に多様です。 で、例えば白黒反転の感熱紙で書かれた設計図を遺伝子に持つウイルスだと、この設計図は細胞のオペレーターには読めませんからもう一度白黒反転してまともな感熱紙の設計図にコピーしてやる必要があります。 そういうコピー機は細胞は持っていませんから、これはウイルスが自分で箱の中で持ち込む必要があるわけです。この「白黒反転された感熱紙をまともな感熱紙にコピーするコピー機」を選択的に破壊する薬剤が「抗ウイルス薬」です。 なのでお判りかと思いますが、この抗ウイルス薬は"このウイルス"にしか効きません。他の種のウイルスは設計図が普通の紙だったりまともな感熱紙だったりするので、そんなコピー機は最初から持っていないからです。 また、同じようなコピー機を持っているウイルスがあったとしても、そのコピー機はまったく違う形をしているのでその薬では破壊できません。もちろん、同じウイルスでも遺伝子が変異してしまってコピー機の形が変わってしまえば(もちろんそのコピー機の設計図もウイルスの設計図に含まれているので)、やはり効かなくなります。 変異ですが、他の動物に比べるとやはりウイルスは非常に早いです。 感熱紙の設計図だとちょっとしたことですぐ変色するため、非常に変異スピードが速いですし、まともな紙の設計図でもサイズが極端に小さいので、やはり他の動物よりは変異していく速度は速いです。ウイルスが自分で持ち込むコピー機がまたちゃちなものでミスコピーだらけ、というような場合もありますし。 そういう非常にクリティカルな薬剤でないとウイルスには効果がないので、抗ウイルス薬の開発は難しいという面もあります。 なんせウイルスは細胞内で増殖するので、「細胞を破壊せずに中のウイルスだけを破壊する」薬剤でないと有効な薬にはなりません。 で、ほとんど箱の中に紙切れが入っているだけ、という構成要素が少ないウイルスに対して、きちんとヒットする薬を開発するのは非常に難しいことです。 なお、発症の早さや進行の早さは、薬剤開発に対しては別に関係ありません。そもそもウイルスでもエイズウイルスや狂犬病ウイルスのように、発症も進行も遅いものはけっこうありますし。 最後に大きさですが、先ほどの例えだと「細胞」を工場に例えましたが、小学校の教室くらいの大きさくらいの部屋をイメージしていただければ、ウイルスはサッカーボールから一抱えくらいあるダンボール箱を想像していただければ、当たらずとも遠からずといったところでしょうか。 だいたい 20~400nmくらいです。1mmの1/1000が1um(マイクロメートル)、そのまた1/1000が1nm(ナノメートル)です。
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- mitsuki57
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細菌>ウイルス です。 明らかに細菌の方が大きさが大きいんです。 つまりウィルスは小さいので人間に影響を及ぼしやすく、 病気が発症するのが早く、悪化するのも早い。 ということは、対応する抗生物質(殺菌作用がある薬)の種類も、 ウィルスの方が少ない、ということになるのではないでしょうか? 私は薬剤師ではないので詳しくはないですが・・・。 OKwaveさんの医療専門サイトに聞いてみるのもいいと思いますよ。
- geeen001
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抗ウィルス薬が無いわけではありませんが、ウィルスは変異しやすく、種の間の差異も大きいため、細菌に対する抗生物質のような汎用性が期待しにくい、ということだと思います