中国に関わる仕事をしている人間として、一言コメントさせていただきます。
まず、大きな誤解を解かなければなりません。
暫く前に世界を席巻したMADE IN JAPANとは、開発設計から生産まで日本が日本人の手でやるということを指していましたが、今言われているMADE IN CHINAとは、実はASSEMBLED IN CHINA(中国で組み立てられた)ということで、設計や部品は外国で行ったもの或いは外国からの輸入品が殆どです。
中国が世界の工場と言われるのはこういうことです。
手元にデータがあれば良かったのですが、確か昨年か一昨年の中国の輸出総額のうち、外資系の輸出額が5~6割ほどを占めていたはずです。残りは地場の農産物とか繊維製品などでしょう。
中国政府は、保税制度という外資優遇措置をとっていて、外資の工場が中国にあっても、輸出する分には関税が掛からないという一種の租界みたいなものを設けてまして、安い人件費でものを作ってどんどん輸出してくださいという制度があります。この安い人件費とは貧しい農村からの出稼ぎで成り立っており、中国政府としても、国民を食わせていく関係上、必要な制度でしょう。
これゆえ、外資系企業が中国にどんどん進出していますが、上に述べたようにほとんどが組み立てのための進出であり、中国独自開発品というのは、ないに等しいです。車でもエンジンなどは、外資から買って組み立てています。
まずこの点が、MADE IN CHINAとMADE IN JAPANの違いです。
従って、どういうことかと言いますと、今の人件費の安さが、実は通貨”元”の不当な安さに基づいているものであり、もし元高が進みますと、人件費が高くなり、従って進出企業は、他国に逃げて生きます。現にベトナムとかインドとかにシフトしだしております。
そうなると、国民を食わせていけなくなるため、中国政府は元を支え続けます。これが元の大量発行となり国内のインフレ、バブルに結びつくわけです。
要するに、外資が逃げれば成り立たなくなる組み立て主体の国のGDPが、日本を抜くとかアメリカに追いつくということはちょっと考えられないというのが正直なところです。
では、技術力が付くかといいますと、もともと職人を軽視する国ですからこれも難しいと思いますよ。