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警察官と私人、有形力行使の限度の違い、法的根拠は?
質問者が知る以下3つの考察材料を見ると、 警察官と私人では、犯罪者を取り押さえる際の、 力の行使に関して、扱いに差があるように見えます。 実際に、両者による力の行使の限度には、 法的根拠に基づいた違いがあるものなのでしょうか? 【材料1】 数年前、万引き犯が、通りすがりの青年により、 取り押さえられ、その後死亡する事故が起きています。 死因と取り押さえ行為の因果関係は、 報道されていないので、不明ですが、 「業務上過失致死に当たる可能性もある為、 警察が調べを進めている」 旨の報道が、一部でありました。 最近では、警察官が容疑者を取り押さえ、 その後死亡する事故が起きていますが、 この際は、そのような報道はありませんでした。 【材料2】 以前、当Q&Aで行ったアンケートで、 警備員の方から以下のような回答を頂きました。 警備員は、窃盗・暴行・強盗・住居侵入等の犯罪者を取り押さえ、 警察へ通報して身柄を引き渡すまでが、主な役割な訳ですが、 ・警備員は、あくまで私人で特別な権利を持たない。 ・相手の犯罪行為が事実でも、怪我をさせれば警備員は告訴される。 ・取り押さえた犯罪者を、部屋へ連れて行き、 部屋の入口に見張りをつけると、逮捕監禁罪で告訴される。 と、おっしゃっていました。 警備会社の人は、自分が怪我をするより、相手に怪我をさせる事を 恐れているようにも見えます。 【材料3】 ある繁華街で、横断歩道を横断中の人が、 信号無視をして強引に突っ込んで来た、 暴走族まがいの乱暴な運転の車に接触されました。 威嚇の為、嫌がらせで突っ込んだところ、 誤って本当に接触したと思われます。 その歩行者は、当該車のフロントガラスを叩き割りました。 本人は、相手が制止・降車に応じなかった為、 逃走を阻止するつもりで、割ったようなのですが、 接触犯と一緒に連行されてしまいました。 報道を聞く限り、歩行者も逮捕されたと思われるのです。 (考えられるものとしては、器物損壊罪でしょうか。) さて、3つのケースを見てみると、 私人の場合、警官よりも事実上、 有形力行使が大幅に制限されるようにも見えますが、 これらの差異は、単に、 1,個人によるものは責任所在が明確であり 組織によるものは責任所在が曖昧である 2,単に警察が身内に甘い という理由によるものなのか、 a,同じ現行犯逮捕行為でも、警官→義務、私人→権利に過ぎない b,警察官職務執行法、公務執行妨害罪に関する法律などに 特段の定めがある など明確な「法的根拠」に基づくものなのか、わかりません。 以前に当サイトで、 私人による有形力行使の限度に関する判例について 参考サイトのリンクを頂戴しましたが、 上記a、bのように、法律にも明確に定めがあるものなのか、 わかりません。 法律に詳しい方、ご教示願います。
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逮捕に際しては、「その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内」(昭和50年4月3日最高裁判決・判例タイムズ323号273頁)の実力行使が認められることは、「警察官であると私人であるとを問わ」(同)ないというのが、裁判所の考え方のようです。この判決文を読む限り、その行使の程度についても、警察官と私人とで違いがあるようには思われません。 私見ですが…。 【材料1】のケースについては、逮捕者が警察官であっても同じであったと思われます。実際、逮捕の際の有形力の行使というのは大変危険で、逮捕の際の極度の興奮で、被疑者がショック状態を起こしてしまい、最悪では死亡することもあります(そのような国家賠償の請求訴訟が、ときおり係属しているようです。)。その意味では、私人の逮捕は「追い込んでおく」くらいに止めて、本格的に有形力の行使を必要とするときは、なるべく訓練(参考URL)を積んだ警察官に任せる方がよいのでしょうね。 【材料2】のケースについては、確かに、警備員はそのように教育されているようです。学生時代、私も、雑踏警備が中心でしたが、ガードマンのアルバイトをしていました。初任研修では、やはりご指摘のようなことを教えられたように思います。その研修も、被疑者を積極的に逮捕することを目的とするものではなく、自分の身を守りつつ、官憲が駆けつけて来るまで被疑者の逃走を防ぐことに力点があったように思います。結局、私も「警備会社の人は、自分が怪我をするより、相手に怪我をさせる事を恐れて」いたのだと思います。また、有形力(警棒)を行使せざるを得ない場合でも「過剰防衛になりやすい顔は不可。正当防衛と認められやすいので、凶器を持った手(手首)を狙え」と教えられました。ただ、今になって考えれば、私人によるものでも「逮捕」(法律用語としては被疑者の身体の自由を拘束し、引き続き抑留すること)の当然の効果として(必要最小限の)身柄拘束はできるはずですから、被疑者を司法警察員に引き渡すまでの間、部屋に収容したり、監視をつけたりすることは、できるのではないかと思っています。 【材料3】のケースについては、歩行者の方も「やりすぎ」で、前記判例の「その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内」を超えてしまった場合のような気がします。
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- nep0707
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・現行犯逮捕の話 ・法律的な回答のみ という前提で書きます。 まず、逮捕というのは 「被疑者の身体の自由を拘束し、引き続き抑留すること」 です。 >実際に、両者による力の行使の限度には、 >法的根拠に基づいた違いがあるものなのでしょうか? それ自体は別に差異はないでしょう。 「相手を拘束するための必要限度の有形力行使が許される」 の点で同じでしょう。 私人と警察官のもっとも大きな違いは、私人が現行犯逮捕した場合は、 刑事訴訟法214条によって『直ちに』警察or検察に引き渡さなければならない、ということです。 >【材料1】 そもそも報道するかしないかは報道機関が自分で判断することで、 法律が基準ではないですから…。 >【材料2】 アンケートも、回答する側が法律をある程度知っているのでなければ 法律的な考察をする材料としてはあまり参考にならないと思います。 (今後の政策を論ずるうえでは有用な資料かもしれませんが) >警備員は、あくまで私人で特別な権利を持たない。 法的な話としては、 もともと逮捕する「権利」は誰ももっていません。 権利と権限は違います。 >相手の犯罪行為が事実でも、怪我をさせれば警備員は告訴される。 「拘束する必要最小限度を超えたのでは?」と疑われるということでしょう。 ましてや怪我させられたほうは「やりすぎじゃないのか?」と思うのは自然だと思います。 法的には、告訴というのは被害を受けた人が「あいつを処罰してくれ」と訴えるという話に過ぎず、 これをもって犯罪成立という話では全然ありません。 これは「逮捕」も同じです。 >取り押さえた犯罪者を、部屋へ連れて行き、 >部屋の入口に見張りをつけると、逮捕監禁罪で告訴される。 これは可能性があるでしょう。 先に書いたとおり、私人が現行犯逮捕したときは 『直ちに』検察または警察に引き渡さなければなりません。 私人の現行犯逮捕の合法性を検討するときの最大のポイントは 有形力行使の度合以上に、この214条を守ったかどうかです。 法律上の告訴の意味については上に書いたとおりです。 >【材料3】 繰り返しになりますが、報道による情報だけで 法律的な考察をするのは危険です。 >その歩行者は、当該車のフロントガラスを叩き割りました。 これが本当なら、本当に必要な行為だったかどうかは問われるでしょう。 >報道を聞く限り、歩行者も逮捕されたと思われるのです。 状況がわからないので(報道では『絶対に』わからないと思う)断定は避けますが、 1ついえることは、私人、警察官という立場だけで評価の割れる行為ではなさそう、ということです。 >私人の場合、警官よりも事実上、 >有形力行使が大幅に制限されるようにも見えますが、 そう判断するには情報源があやふやというのが率直な感想です。 繰り返しになりますが、法律的には違いはありません。 違いがあるとすれば「警察の身内びいき」とかそういう話はあるかもしれませんが、 いずれ法律(少なくとも現行犯逮捕の要件の議論)とは関係のない問題です。
お礼
ありがとうございます。 やはり私人と警官の間には、法的差異はないようですね。 マスコミが勝手に大げさに取り上げているため、 一般人が当事者の場合、問題があるように錯覚するだけでしょうか。 あとは、身内びいきもあるんでしょうね。 注意は必要な点は、 逮捕監禁罪にならないように気をつける事でしょうか。 あとは、法規則とは関係ない「程度問題」でしょうか? 1と2については回答者1さんの御礼に書きましたが、 3のフロントガラス破砕の件は、逃走を阻止する必要性から、 個人的にはは妥当だと思いますが。 シールド用ガラスは、叩き割っても砕け散らない為、 安全性が高い上、運転手の視界を遮ることが出来ます。 逃げられて新たな事故を起こすより、その場で捕まえるほうが、 結果的には被害が少なくなるはず。
- purity_mv
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> 法的根拠に基づいた違いがあるものなのでしょうか? 限度に違いがあるというよりは、限度を知っているか知らないかの違いだと思います。 例えば【材料1】の事例で言えば、警察官が万引き犯を取り押さえていれば、死亡には至らなかったと思います。 おそらく警察官は犯人に致命的な危害を加えないような取り押さえ方法を訓練しているものと思います。つまり青年が限度を知らなかった故に死亡に至ったのだと思います。これが警察官であれば死に至らしめて良いということにはならないのではないでしょうか。 【材料2】の事例に関しては、警察官と警備員による違いはないと思います。 確かに警備員には特別の権限はありませんが、相手から危害が加えられそうな場合、自らの身体・生命を守るためにの行為は当防衛として認められています。 しかし警備員は致命的な危害を加えないような取り押さえ方法を、専門的に訓練している訳ではありません。ならば義務はないのだから下手に手を出さない方が良いと教育を受けているのです。 明らかに逃亡をはかろうとしている殺人犯を現行犯逮捕した場合、特別の権限がないといって、見張りをしない事が警備員として適切だと思いますか?現行犯逮捕の逮捕行為の一環として認められる行為も事例によって限度は異なるのです。 【材料3】の事例については、フロントガラスを叩き割ることが、逃走を阻止する方法として適切かどうか疑問があります。 一般的に急迫不正の侵害に対する防衛は、侵害によって被る不利益を超えない範囲とされています。訓練を受けていない私人はその限度の判断が正確に出来ず、時として過剰防衛として扱われるのだと思います。
お礼
ご回答ありがとうございました。 > 限度に違いがあるというよりは、限度を知っているか知らないかの違いだと思います。 法的な違いはなさそうですね。 【材料1】についてですが、 限度というのは、力はあっても武道の心得がない人には、 わからないため、力任せに出て、相手を死亡させるという事故は、 起こりえますね。 一流のプロレスラーや空手家であれば、 本気を出せば、刃向かってきた相手を、 簡単に死に至らしめる能力があると思われますが、 プロの武道家は力加減をしますね。 裁判になった際に、武道を身につけているか否かが 正当防衛成立の可否を判断する参考材料にもなると聞きましたが、 腕力の差によるものなのか、力加減をする能力の差によるものなのか、 武道家が一般人を攻撃した場合、相手との力の不均衡により、 裁判で通常より正当防衛が認められにくくなるという話は 一部で聞いたことがあります。(否定する人もいますが) (仮に、本当青年による柔道技が死因だったとすると、) プロの警官より、素人であるが故に、 有形力行使に簡単に正当性が認められそうに見えます。 (ただ、死因の解剖結果に関しては、 報道を見かけませんでしたので、真相は不明です。) ところが、実際には、警官の行動よりも素人の行動による 死亡事故のほうが、風当たりが強いように見えたわけです。 >訓練を受けていない私人はその限度の判断が正確に出来ず、時として過剰防衛として扱われるのだと思います。 この青年は、殴りかかってきた相手に 柔道技をかけて15分間、相手を力任せに押さえ込んだらしいのですが、 武道に精通した人は、もっと違う方法を取ったようにも思えます。 >【材料2】の事例に関しては、警察官と警備員による違いはないと思います。 実際上の問題は別として、 法的違いは私も聞いたことがありませんでした。 上と同様、実際的に風当たりが違うようにも見えたので、 ひょっとすると、何か法的根拠に基づいて、 異なる扱いを受けているようにも見えました。 それで質問投稿に至りました。
お礼
ありがとうございます。 3人とも法的差異はなし、とのことですね。 判例もあくまで判例で、社会通念上必要な範囲というのは、 ケースバイケースで、ここのケースで判決を待たないと、 正確な結論は出せそうにないですね。 程度問題というのも、また抽象的で難しいです。 事後に、結果責任を問われるのが怖くて、 行動に出られない人もいるのではないでしょうか? リンクを拝見いたしました。 必要以上に傷つけないようにするには技術が必要ですね。 ただ、法的差異はなくても、公的な職務と民間の仕事は違うのか、 警備会社は警察と違って、相手を傷つけることに神経質なようですね。 法的差異はなくても、世間の視線、すなわち、 社会的な“お墨付き”の度合いが違うのでしょうか。