少し補足します。
経緯からESLはカナダ開発された手法でアメリカなどで普及。
定義はないわけではなく、やや曖昧なのです。
高温短時間殺菌牛乳よりも保存期間が長い牛乳 (おそらくこれが定義)
保存期間は25日~45日を目標とする
主たる利点は流通管理の合理化
従来の無菌製品に比べ焦げ臭がない など(国際酪農連盟 B-Doc 298)
日本におけるESLの対応は
120℃以上15分以上の殺菌(セレウスなどの芽胞菌を考えてのとと思われます)
基本的にはチルド用の設備を使用、アセプテックの技術を使用、
コストの低減(イニシャル、ランニング)
あと、消費期限についてですが、基本的に消費期限の表示義務は法で定められていますが、その決定は各企業の自己責任にあります。通常は製品についての保存試験、虐待試験(通常の保存条件より厳しい条件下での保存性)などの試験を実施して、科学的な検証を行い、それから推定される保存可能な期間に安全率(例えば0.7など)を掛け合わせて決定しています。ですから、消費期限が延びているのは企業努力の結果と解釈する事もできます。
日本におけるESLの14日間というのは国際的な目標から見るとかなり短く見えます。
もうひとつだけ加えると牛乳の保存性の向上には殺菌前の細菌除去が大きく関与していると思われます。殺菌工程はある意味で確率的なところがあります。ある条件の殺菌で目的の細菌を1/10にできた場合を1Dと表現します。このときの時間がD値と呼ばれます。レトルト殺菌などの場合ボツリヌス菌の12Dが目標です。だから仮に細菌が10の13乗存在すれば殺菌後10個生存することになります。初発が1000個ならば10のマイナス10乗個生存することになります。理論上殺菌後の菌数を0にする事はできません。ですから殺菌前の菌数を少なくすることは非常に重要です。事実初発の菌数を抑えると賞味期限はかなり延びます。
ESLではマイクロフィルトレーションやバクトフュージョンと呼ばれる物理的な細菌等のろ過が行われることがあります。実際に企業がどうしているのかはわかりませんが、このような処理で初発の菌数を抑え、保存期間は可能とかんがえられます。
補足
有り難うございます。 アセプでもなく、定義も無いとすれば、業界の情報に明確な基準(指針)が無いのも解ります。 とは言え、極論を言えばメーカーが勝手に消費期限を延ばしているのでしょうか? 多分そうでは無いと思うのです。 食品衛生法(かどうかは知りませんが)なり、JASで、消費期限の表示日は定められていると思うのですが。 ESL製法であれば、期限を延ばしても良い、という根拠は何処にあるのでしょう? また、何を基準に期限を延ばして良い設備と認めるのでしょう。 仰有る「チルドのラインにアセプティクの手法を組み入れていって・・・」のあたりに ヒントがあるような気もします。 とは言え、 なにがしかの基準に基づいて期限を延長しているのではないかと思うのですが。 (手法はさておき)要は衛生管理のレベルが違うという所までは理解できました。 アセプに近いプロセスであることも解りました。 じゃあ、何処がどう違うからESLだと名乗り、期限延長が出来るのか、 ついでながらそこのトコロをお教えいただくと、疑問が氷解します。 「うちの会社はきっちり・しっかりやってるので、消費期限を延ばします。」 と言って出来るものでは無いと思いますので。